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台風が来ると思い出す話②

※LGBTについて若干触れているかもしれない部分があります。 クラス替えは、案の定シロちゃんと離れてしまった。マヤちゃんとは、また同じだった。 幸いにも、部活の友達がたくさん同じクラスにいたので安堵した。もう、1人ぼっちになることはない。 そこで初めて、自分が思いの外寂しかったことに気がついた。 「かな、お昼一緒に食べよっ」 2グループから同時に誘われ、私は何が何だか分からないまま適当な席についた、つこうとした。 マヤちゃんが私の腕をきゅっと掴んだ。 「ごめんね、私達

    • 推しがセンターになってヲタ卒する話③

      初めての握手の後は、しばらく放心状態だった。 自分の芋臭さを痛感した私は、とりあえずなんとかせねばと思い受験勉強と並行でおしゃれを始めた。 黒縁の太い眼鏡をやめて、シルバーフレームの比較的存在感の薄いものに変えた。日常的に前髪を巻くようにもなった。 そのあたりから、グループは少しずつ人気が出始めた。メンバーの1人が雑誌のレギュラーモデルになって、表紙を飾り出した。ドラマやバラエティーにも出演し始めた。ファンの間では贔屓だのなんだの言われていたけど、あい子とボブ子が推しの私か

      • 推しがセンターになってヲタ卒する女の話②

         電車で会場に着くと、もう100人くらいが到着してて整理券の配布を待っていた。リリイベはCDを買えば握手とライブが同時に楽しめるので高校生にとってはありがたいイベントだった。  ホッとしたのは女の子が多かったことだった。  だけど、その安心も一瞬で消え去った。  私の前に並んでた女子大生の1人が私の服を見て「え、着こなしダサくね笑」と小さな声で、でもわざと聞こえるように呟いたのだ。女子大生の人達は後から調べてみるとユニドルという擬似アイドルをやっていた人だったみたいで、ア

        • 台風が来ると思い出す話①

          ※最後の方でLGBTについて若干触れています。 台風が来ると思い出すことなんだけど、今でも何が正解だったのか分からないことがあるので聞いて欲しい。 高校1年生の時楽しいことが大好きで大人数のグループに入ってた私は、1人だけ文化部に入っていたこともあってか、自然とハブられるようになった。 今思い返すと、隣と後ろの座席にイケメンが座っていたことが気に食わないとか、初対面の時から「ねえ、コンタクトにしないのー?それか眼鏡変えたら?」と執拗に言ってくる女の子がいたから、その子が

          推しがセンターになってヲタ卒する女の話①

           きっかけはオーディションだった。  高校生の時忙しかったはずなのに暇で、なんとなく受けた歌手のオーディション。  1次審査があっさり通って配信審査をアプリでしていた時に、同じアプリでオーディションをしてたのがそのグループだった。  当時は自分のオーディションにいっぱいいっぱいで(自称ファンに粘着されたり嫌がらせされたりした)病んで結局辞退したけど、その後たまたま動画サイトでおすすめにあがって「ああ、あの時の」と何気ない気持ちでタップした。  一言で言えば、革命だった。

          推しがセンターになってヲタ卒する女の話①