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はっきり言って答えはなし!?ポスドク留学先の研究室選びについて語る

こんにちは、海外で現役ポスドク(生命科学系)をしておりますポス山毒太郎と申します。このnoteはあくまで毒太郎の体験を元に、偏見に基づいた感想を語っていく場です。ですのでほとんど統計値などは出てきませんので悪しからず。

前回は、米国で多くの人がお世話になるであろうTrader Joe's、Whole Foods Market、Costcoでのおすすめの食料品について語りました。

今回は留学シリーズとして留学先の研究室選びに関して語っていきたいと思います。

今記事ではポスドクとしてどんな留学先を選んだら良いか、またラボの特徴を踏まえて、カテゴリー化しそれぞれの研究室を筆者の経験を交えて語っていきたいと思います。よく奨学金の報告書で「留学便り」みたいなコラムがありますが、匿名なのでそれに比べたらかなーり深い?話となっていると自負します。ただし筆者は留学成功者ではないので参考にするくらいにして下さい。



早速ラボ選びの結論!

上では啖呵を切りましたが最初に謝罪します。

題名でも言いましたが、はっきり言って答えはありません。運ゲーだと考えています。サムネに釣られた方は申し訳ありません。ただし、この記事を読んでいただければ多少の知見は得られると思いますので、最後まで見ていただければと思います。

筆者も行く前は良いと思って選んだ研究室ですが、入った当初は完全に失敗したと思いました。ただ年数を過ごすことで悪いことばかりではないと感じてきて今では現在の所属の研究室でよかったとも感じています。なので最後まで読んでみてください。

Exciting Ride!? 若手PIラボ

筆者はできて数年の研究室を選んで行きました。いわゆる若手PIラボです。理由はそこに最初に採用されたという理由が大きいですが、筆者が学生時代の恩師がこう言っていたからです。

「出来たばかりのラボが良い、なぜならばボスと二人三脚で研究が出来るから。大御所ラボだとボスはほとんどラボにいないしポスドクの相手なんてしてくれないよ」と。

ボスと二人三脚で研究が出来るのは事実だと思います。また、筆者は研究室の最初のポスドクではないのですが、研究室が出来て最初に採用されたポスドク(筆者はファーストポスドクと呼ぶ)はリスクもあるものの明確な大きなメリットがあります。

質問ですが、みなさんPI成り立てのボスは、その前どうしていたと思いますか?

そうです、前のラボでCNS相当の雑誌に論文を通しています。ということは独立したら、その続きをやりますよね?

要するにファーストポスドクはCNSに出た論文プロジェクトの続きをすることができるので、成功する可能性が高いと考えられます。

実際に筆者の近くには、このファーストポスドクの利点をうまく利用して数年でCNSに論文を出した歳下ポスドクがいます。このように初速で成功した研究室は、更にその続きの研究もできれば発展もできるので、このラボはかなり有望だと思います。

以前に紹介した中山敬一先生もブログでこう言っていました(意訳)。

「出来て数年のラボでトップジャーナルに論文を出し始めた研究室、要は上り調子のラボがいい」と。

これは本当にその通りです。古いコラムですが、必読!!(リンク先の”老舗は止めて、キャピタル・ゲインを狙おう”の項目です。)

「大学の意見ではない」って但し書きが出てくるのちょっと面白いですね笑。

引用させて頂いたので、微力ながら本の宣伝もさせて頂きます。興味のある方はどうぞ。PIをたくさん輩出している実力派教授ですので意見はかなり過激と言われていますが、一読の価値はあると思います。

話は戻ります。

筆者はそういう意味で、中途半端なラボを選んでしまいました。出来て数年ですが、筆者はファーストポスドクでもないし、筆者が入った時はまだこのファーストポスドクに論文が出ていなかったのです。

そして筆者が入った後にファーストポスドクの論文が出ましたが、正直言ってあまりパッとしませんでした。

要するにスタートダッシュ失敗ラボです(身バレが怖い。。)。なので当研究室への新しいポスドク志望者もきません。

いいラボは人の出入りが激しいです。

筆者も、現在はあまり不満はありませんが、データが出ない時代はかなり焦っていましたし、アメリカくんだりまで来て失敗ラボを選んでしまったかぁと鬱気味にもなり後悔していました。

ただしデータが出てくると、状況が変わってきます。新しいポスドク志望が来ないということは、筆者がクビになりにくいということです(筆者がそう思ってるだけかもしれない)。ですので今は割と安心して実験できています。

ボスとの関係も良好なので、今のところフルペイでJ1ビザ後のH1-Bビザもグリーンカードもござれと言われています、今のところですが、、、、。

このように最初はラボ選びに失敗したと思いましたが、現在ではこのラボが筆者にとって良かったとも思えるようになっています。

また今のラボは良くも悪くも緩めですが、筆者は共働き研究者ですので、結果としてここも幸運でした。

後から述べる大御所ラボのようなコンペティティブなラボや、拘束時間に厳しいラボではおそらく家族を犠牲にする以外に研究を続けることはできなかったでしょう。共働き研究者に関してもいずれ記事にしたいと思います。

以上のように、筆者の学生時代の恩師が薦めてくれた若手PIラボは、メリットがはっきりしていますが、一方で恩師はこうも言っていました。

「二人三脚なのはいいけど、研究がうまくいかなくなった時のプレッシャーはすごいよ、上がる時は一緒だけど下がる時も一緒だからね」と。

ファーストポスドクの研究が失敗したら、その若手PIもお先真っ暗なので、研究がうまくいかないとラボ全体の空気が悪くなるそうです。

ここら辺はいずれまとめて語りますが、個人的にはフィジシャンサイエンティストPIのラボをお勧めします。

ということでで、できて数年のラボは、明確なメリットもありますが、リスクも高いことと思います。現在のボスの研究資金は心配ないようですが、今後は心配しています。


やっぱり安定の大御所ラボ?

一方で筆者が日本でポスドクしていたラボの教授は言いました。

「若手PI?大御所がいいに決まってるじゃん、大御所ラボに行かないと成功しないよ」と。

隣の田んぼは青く見えるではないですが、筆者も今ではこの意見にも賛成です。

まず大御所ラボは、人が沢山います。ポスドクだけでなく、テクニシャンや学生も含めてです。しかも彼ら彼女らは留学者が多いので、各国を代表するようなトップエリートが集います。ですので日本に帰った後に研究を続けていくのに、必ず役に立つことと思います。

またこれは聞いた話ですが、大御所は政治力もあるので、自分の論文に難癖をつけてきたレビューワーを変えるようエディターに電話して、実際に変えてしまったという話もあります。これ、CNSの話ですからね!!

さらには本当の大御所ラボでは、現在日本で教授をされている方が、昔そのラボに行っていたなんてこともあります。

そうなるとその教授からすると言わば弟弟子に当たるので、その教授からの評価も高くなるでしょう。いい大御所ラボに行くだけで、日本の教授世代とのコネもできる可能性があり、日本でも就活しやすくなること間違いなしです。

ただし、本記事の最初に出てきた学生時代の恩師は言いました。

「大御所ラボのホームページとポスドクの数を見てみなよ。研究室から毎年CNSが出ているかもしれないけど、ポスドクの数と明らかに釣り合ってないぞ!」と。

そうです、当然ですが大御所ラボにいけば、みんながみんな成功するわけではないのです。成功するのは一握りです。我こそはという方は是非挑戦してください。

いいとこ取り!?中途半端!?の中堅ラボ

この中間として中堅ラボがあります。ここは独立して数年以上だけど、大御所というにはまだ早いラボです。ここは出している論文には振れ幅があるものの、論文が定期的に出るという意味では安定感があると思います。

ここは筆者の周りではあまりないので、あまり語ることがないです。中堅ラボで定期的にCNSが出ているラボは良いかもしれませんが、普段出ている論文のIFがあまり高くない場合は、自分が行ったところでいきなりCNSに出せるということはないと思います。流石にそんな甘くありません。

業績が安定して出ているので、メリットは自分の論文も決まった期間で出せる可能性が高い、また掲載雑誌のレベル、IFもある程度想定出来るところだと思います。

もちろんCNSを出してる中堅ラボはお勧めですし、あまり高いIF論文を出してないラボでも、「海外で在住してみて楽しみたい」と思っている留学希望者にはフィットすると思います。

留学中の裏技!?

少なくとも米国での話ですが、留学した後に同じ国で別のラボに移動することは全然可能です。それ相応の覚悟は必要かもしれませんが、留学後に「このラボは違うなぁ」と思った際は、日本に帰国すると共に、同国で別のラボに行くことも選択肢の一つとして考えてみてください。

基本的にJ1ビザで留学すると思いますが、特に問題なくラボを変えることができます(複数の知り合いの実体験を確認済み)。わざわざ日本に帰って書類手続きをやり直す必要もありません(最新の情報ではないかもしれないので、興味のある方はご自身で調べて下さい)。奨学金も種類によりますが、移行可能です。

当たり前ですが、米国にいた方が別のラボの見学や、面接も容易です。

筆者は現状、今のラボに満足していますが、人生に一度大御所ラボで挑戦してみたかったなぁという思いもあります。そもそも採用されない気もしますが。。。

まとめ

筆者個人的には大御所ラボか、若手だけどCNSを出し始めている上り調子のラボが総合的にいいと感じていますが、やりたいことが一番であとは運だと感じます。

ということで答えを求めてこの記事をみた方はごめんなさい。

「答えはない」というのが答えだと思います。

ラボでいいタイミング、いいプロジェクトに当たれば成功するし、そうでなければ残念な結果になるだけです。大御所ラボでも変なプロジェクトに当たることもあれば、若手ラボでいいプロジェクトに当たることもあります。

ボスのとの相性も大きいでしょう。
NIH式?教授、PIの分類記事はこちら!!

ただ旦那についてきて研究したら、自分がいい論文を出してしまって教授になっている女性研究者もいます。当然それ相応の能力と苦労はあったと思いますが、知ってる人は知ってる東大のあの人です。

また当然行きたいラボがあっても相手が迎えてくれるかはわかりません。なので本当に運ゲーだと思っています。

こんな運ゲーを制したはずの医師研究者で、研究を「舐めてる」と思われる方々がままいます。そんな彼ら彼女らに向けて物申す記事はこちらなのでぜひご一読ください!!よく売れている人気記事です。

なので当たり前ですが、一番大事なのは自分がやりたい事が出来るであろう研究室を選ぶのが良いでしょう。

次回はどのようにして留学まで行き着くか、各プロセスを語っていきたいと思います。

最後に販促

留学は奨学金の有無で全く難易度が変わってきます。いいお御所ラボは奨学金取得が前提の場合すらあります。ですが、日本の奨学金ってこんなことがありませんか?

奨学金を申請しようと思ったら、「留学先の許可がいる」と言われ、留学先にいきたいと伝えたら「奨学金があったらいいよ」と言われるジレンマに。他の奨学金でもあるかもしれませんが、学振PDはこの問題をマルっと解決してくれます。

詳しくは筆者のこの記事を一読ください。

ただし奨学金もタダではもらえません。それなりの申請書を書いて15-20%前後の狭き門を通過しなければなりません。なのでもしよかったらこちらも読んで申請書作成に役立ててください。後半は有料ですが、無料部分の前半だけでも知見は得ることができると自負しております!!

さて、次回はどのようにしてポスドク留学まで行き着くか、そのプロセスについて語っていきたいと思います!!

以上現場からポス山毒太郎でした。

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