posimedsports「#わらバス」_②目指す景色|2022年9月から1年間をかけて地域のバスケットボールプレイヤーにコンディショニングを普及するスポーツ社会貢献企画「#わらバス-みんな一緒に、笑ってバスケ!プロジェクト-」
#わらバスは【みんなでつくる】企画
▶︎選手から見ると、病院って怖いよね。
―ですよね、私たち医療者も、選手の方々に怖がられている自覚があります(笑)
実は「#わらバス」は、医療者が選手にトップダウンで指導するプロジェクトではないんです。選手を取り巻く指導者/医療者/保護者などのみんなで、「バスケットボールプレイヤーの未来を輝かせるにはどうしたらよいか」の答えを、力を合わせて導き出すことに取り組みます。
このことは、プロジェクトの紹介文で「バスケットボール競技におけるプレイヤーズセンタードのあり方を模索する」と表現しています。
▶︎そっか、コーチやママ・パパなども、一緒に取り組むんだね。
―はい。
例えば、これは「地域スポーツ現場あるある」のひとつなのですが、
選手がけがをして初めて出会ったお医者さん(医療者)に「この状態でプレーするともっと大けがになるよ」とドクターストップをかけられたけれど、いつも指導してくださっている監督さん(指導者)に「大事な試合だから、どうにかして出てくれ」とお願いされた
・・・という場面を想像してみてください。
選手はただでさえけがをして痛くて絶望しパニックに陥っているのに、状況によっては指導者vs.医療者の両極端な意見に挟まれることにより、「今後のことを考えると、今、どっちの言うことを聞くべき?」といった精神的な葛藤を抱えてしまい兼ねません。
また、選手の最も身近な存在であるお母さん・お父さんなどの保護者も、「我が子の選手生命を考えると休むべきかもしれないけれど、我が子のスポーツにかける想いや進学を考えると、どうにかして試合に出られるようにしてあげたい」など、選手の境遇を誰よりも一番に思いやっているからこそ、悩んでしまいます。
選手/指導者/医療者/保護者、それぞれに抱える葛藤
▶︎それぞれの意見に挟まれてしまうんだね。
ー実はこの場面では、関わる全員が、根っこの想いは一緒なんです。それぞれの立場で、選手自身を含む全員が【最善策】を探っています。
・指導者は選手に大けがをさせたいわけではなく、「どうしてもレギュラーから外せないのは、選手のプレーを信頼しているから」なのかもしれない。
・医療者は選手をレギュラーから外したいわけではなく、「選手生命を脅かすような大けがをせず、現役生活を全うしてほしいから」なのかもしれない。
ただ、それぞれの立場における「選手への想い」を指導者/医療者/保護者で確認しあう場の設定が、現状ではどうしても難しい。指導者-選手(保護者)、医療者-選手(保護者)、といった、一対一の関係性になってしまいがちです。
▶︎どうして?
ーチームドクターやトレーナーが常駐していないチームでは、指導者はスポーツ現場に、医療者は病院などにいますから、指導者・医療者が顔を合わせる機会がほとんどありません。そうなると、指導者・医療者のそれぞれに別の場面で出会う選手・保護者が両方の意見を耳にし、ともすれば指導者vs.医療者の両極端な方針の狭間で悩んでしまいます。
またこのような現状では、(もちろん医療者である私自身も含めて)それぞれの立場における【目標、状況、責任、プライド】などを背景に、スムーズな意思疎通がますます難しくなっているように感じます。
プレイヤーズセンタードのあり方を【模索】したい
▶︎解決方法はあるの?
ー正直なところ、ケースバイケースだと思います。いつも当てはまる明確な正解というのは無いと思います。選手個人で心身状態も環境も違う中で、「これが絶対的な正解!」という模範解答を提示するのは、ほとんど不可能じゃないかなと思っています。
でも、今までにない【新たな仕掛け】を模索することよって、選手自身の想いを確認した上で、指導者/医療者/保護者が建設的なコミュニケーションで3者の想いのすり合わせをし、「選手を中心として、落とし所を見つける」ことは目指せると思うんです。
どの立場でも「ここは絶対に譲れないけれど、ここまでは妥協できる」とか、「そういう視点は自分の立場では持ち得なかった」とか、立場間でのコミュニケーションを図る中でのwin-winな気づきがあるんじゃないか、と仮説を立てています。
(「選手」の想いが中心にある、という前提で)
・競技のことは「指導者」が詳しい
・医学のことは「医療者」が詳しい
・背景のことは「保護者」が詳しい
こんな風に、お互いに【詳しい分野が違う】ことを尊重しながら話し合えるスキームを、「#わらバス」の1年間をかけて模索したいと思っています。
具体的には、現状すでに上手くいっている指導者/医療者/保護者の「関係性の作り方」を知ることや、それぞれの立場で大切にしていることを理解し合うことで「想いの伝え方」を見つけることが、解決策になるかもしれません。
参画者は【バスケ好きな人:全員】
▶︎そんなに上手くいくのかな〜?
ースポーツトレーナー活動をしている理学療法士である私自身、「これって、机上の理想論、キレイごとかもな」とも思います。
ただ、「#わらバス」準備期間に色々なバスケ関係者さんとお話しして、みんなそれぞれの立場で同じような問題意識を抱えていることを知りました。
このようにお話を伺う中で、バスケに関わるみんなで「プレイヤーズセンタードのあり方」を模索することで、見えるものはあるのかもしれないと思えたので、まずはやってみることにしました。
1年後の2023年9月にどんな答えが出ているかはまだ分かりません。だけど、何かひとつでも、バスケキッズの未来に気づきを残したいと思っています。
明確な正解のないことに取り組むには、たくさんのアイディアが必要です。
今この記事をご覧いただいているみなさん。ぜひ、あなたの考える「#わらバス」を、下記のフォームから教えてください!