これ必見!山西博物院の宝
どうも、旅好きのふーくんです。
中国の博物館に収蔵される中国人がお勧めするこれは必見10個の宝を、過去に参観した体験も含めて書き記そうというシリーズです笑
第一弾は、中国34省中で一番好きな山西省にある山西博物院
山西省は、漢民族発祥の地の一つともいわれ、太原(現在の省都)はかつて晋の国の都として栄え、大同は北魏の時代の都として栄えて、云冈石窟や五台山など当時の仏教信仰を強く感じることができる観光地も多いです
悠久の歴史を誇るゆえに「中国古代文化博物館」の異名をもつ省の博物館はお宝もたくさん
ミドコロ満載な博物館の中でも必見の10個の宝を紹介します
1 山西博物院
2005年にこの地に開館した、鼎をイメージした外観を持つ博物館
文明摇篮 夏商踪迹 晋国霸业など多くのテーマで基本展示をしていて、十二分に山西の歴史を学ぶことができます
山西省の国宝級文物は全部で12件あるらしんだけど、その内の10件はここに収蔵されてるっていうんだから来なきゃ損よね
自分が参観したときは、コロナによる移動制限が終わったばかりなのもあり、多くの展示室を見学することはできませんでした
その分、人も少なくのんびり見れたのも良かったけど。。。
ここで、インターネット上で見学することもできる優れたサービスもあります。。。すごい
2 山西博物院 十大镇馆之宝
古代の宝が、たくさん収蔵されているだけあって、青銅器の収蔵が多いのが特徴
山西博物院のモチーフにもなっている晋侯鸟尊も青銅器だし、博物館自体も鼎の形だし、青銅器を見て下さいと言っているようなもんですね
殷の時代(商)から春秋前期までが中国で青銅器が盛んに生産されたことを考えると、その時代の国宝を一度に無料で堪能できるなんて、ただただ感無量です。。。
①晋侯鸟尊
この博物院一番の見所でもある鸟尊
西周の頃の青銅器で、祭器として使用されたと考えられている
頭を高く上げた鳳凰のようで、躍動感のある姿と背面の羽模様の彫刻や形に魅了されること間違いなしです
これを目当てに来たにも関わらず、私が訪れた時は「晋国覇業」の展示室が改装中だったため、見ることは叶わずでした。。。
また来ることを誓った瞬間でした
②汉胡傅酒樽
前漢の時代に使われた酒樽で、
全体的に金箔が使われていて高級感があるだけでなく、
土台の脚が虎になっていたり、樽に描かれる虎や鹿、馬、象などの絵も描かれていたり、当時の技術の高さを窺わせます
位の高い役人が、
ここから掬って酒をあおっていたんでしょうね
商人好酒という言葉があるように、
商の時代の貴族の墓からお酒にまつわる青銅器が多く出土されていることから、中国の人は昔から酒を飲むのが好きだったんでしょうね
山西の南には汾酒の名産地もあるので、納得がいきます
③兽形觥
殷の時代に使われていたお酒の入れ物
竜の顔が、眉毛がついてたりしてなんとも言えない可愛さで印象に残る青銅器
三層の文様も、細かく、かつどの層も微妙に違うのが精巧さを感じさせます
殷の時代のものが、このクオリティで残っていること自体が、すごいと思うけど、青銅器だからこそ錆びなかったのだろうと思いました
④庙底沟彩陶罐
新石器時代(今から約7000年前)の陶器
仰韶文化(黄河文明)期にあたり、庙底沟(河南省の庙底沟ではじめに発見されたのでこの名で呼ばれる)型の陶器で、赤色に黒色で装飾されているのが特徴的
仰韶文化は知っていたけど、
その中でも山西や河南省周辺に影響を与えて広がっていった文化が、庙底沟文化ということを初めて知りました
⑤彩绘雁鱼铜灯
前漢の時代に作られた銅製蝋燭スタンドで、
ガチョウと嘴に加えた魚という芸術に富んでるなあと
どうやら調べてみると、ガチョウと魚は古代中国人がこよなく愛した動物で、古代中国の芸術作品の中にもよく出てくるらしい
ガチョウのお腹部分に水を入れて、蝋燭の火が部屋の空気を汚さないようにガチョウの首を伝って煙を通す設計や、首の部分が自由に回る様になっていて、光を照らしたい場所へ動かせる機能性にも頭がもげます。
上海で西漢文物展でも、同じようなデザインのランプスタンドが展示されていたので、この時代には環境に配慮したこのデザインがトレンドだったんでしょうね
⑥北魏司马金龙墓木板漆画
北魏の官僚である司馬金龍の墓から出土した木製屏風で、
まだ高椅子がなく床に座る生活が当たり前だった南北朝時代には重要な家具の一つだったそう
北魏の漆絵技術の発展と北魏初期の書道と絵画の様式にとって非常に重要なことから、首批禁止出国(境)展览文物目录に登録されました
⑦刖人守囿青銅挽车
六輪車をイメージした青銅器のオブジェ
装飾が凝っていて、殷の時代の貴族が鳥獣を飼育する領地をイメージされている
⑧虞弘墓石椁
隋の時代まで役人として活躍した虞弘の墓
この人物を調べてみると、北朝時代から太原に住んでいたゾロアスター教を信仰していたソグド人が形成した集落を管理していたよう
そんな古代中国期の東西交流並びに中原の太原の地理的利便性から、
かなり早い段階で多国籍な国際都市となっていたことが分かりうる重要な資料として取り上げられ、中国古代における重大な発見の一つになっているそう
中国の歴史は、底が知れないくらい深くて、
中国の歴史の教科書には出てこない人物がたくさん博物館や史跡では登場するから、理解が追いつかない苦笑
中国の国土の広さ、多くの民族がいること
中国何千年の歴史を、より感じますね。。。
⑨六璜联珠串饰
西周の時代の首飾りで、
位の高い夫人が身につけていたものだと思われる
⑩侯马盟书
晋の時代末期の文物で、
当時の有力氏族の争いや記録が多く記されていて考古学者にとって晋の歴史を紐解く大きな手がかりとなっている
終わりに
いかがだったでしょうか
私の大好きな中国の書籍シリーズで
半小時漫画という本があって、
この本は、歴史や地理、古代の有名な中国物語などを
コミカルなイラストを楽しみながら30分で理解してしまおうという人気本なのですが、
つい先日、
中国全省を擬人化して、各地の特徴を紹介する本が出版されていました
その企画趣旨を見て、面白いなあと思ったのですが
中国やはり広くて、各省毎にそれそれの背景や文化、歴史があって
その一つ一つを理解するためには、歴史理解は不可欠だなと強く感じています
だからこそ
博物館の訪問は、ご当地の歴史を、文物を通して理解できる
良いスポットだと思うので(しかも、無料!)
旅行の行き先に欠かせない場所だなと思っています
ただ、その分
かなりご当地の歴史に触れることが多いので
こちらの理解力とある程度の中国史に知見がないと厳しいなと思うのも常々です。。。
より深い中国史へ誘ってくれるので、
私は心が躍るのですが、疑問や調べなきゃーということが増えていくので、時間が足りなくなりますね笑
山西省の魅力が
少しでも伝わればいいなと願っています
また、
博物館を回る際に宝探し感覚で回れるので
この十大镇馆之宝探しは、個人的に好きなのですが、
皆さんにとっても、中国の博物館見学、ひいては博物館巡りの
助けになれば幸いです
てか、
もう一回、山西博物院行きたいなあ。。。
晋侯鸟尊リベンジしたい。。。