花火と花見と月見の共通項は?
先週末に花火を見に行った。出不精でフットワークが軽いとは言えないほうだが、毎年この花火大会を楽しみにしている。例年に比べて多く感じた浴衣姿の若者が、郷愁誘うせつない夏の気分をいっそう上げてくれる。
ずいぶん前だが、日本語クラスの留学生に花火が好きだという話をした(わたしは日本語教師をしている)。花火だけではなく花見も月見も好きだ。それぞれで何をするかとか、どのスポットがおすすめかとか、そんな話をしたのだと思う。
一人の学習者が、「じゃあ、もみじを見に行くのは好きですか」と聞いてきた。答えは、No。紅葉狩りにはあまり興味がない。そう遠くないところに有名スポットがたくさんあるが、「人が多いしな」と二の足を踏む。花火も花見も混雑具合は変わらないにも関わらず。
すると、その彼がしたり顔で言った。
「花火とお花見とお月見は好きなのに、どうしてもみじは好きじゃないか、わかりました」
「えーー?」
他のクラスメートはもちろん、わたし自身にもわからない。
「寒いから!」「花鳥風月にないから!」などの声が飛ぶ。
わたしも自分の心に聞いてみるも、さっぱり心当たりがない。
クラスをぐるりと見回しながら彼は言った。
「花火とお花見とお月見はお酒を飲みながら楽しみますが、もみじを見る時はお酒を飲まないからです」
「あー、なるほどー!」
クラス中が納得し、わたしも「そうだったのか!」と気づかされた。
以前noteにも書いたが、わたしはお酒が好きで晩酌は欠かさない。どうやら各行事の説明の中にも酒飲みエピソードがふんだんに盛り込まれていたらしい。
「花より団子、花よりお酒ですね!」
そう言って、得意げに鼻を膨らませたその彼の表情。花火と花見と月見のたびに毎年思い出す。
いやいや、花や月や花火があるからこその、うまい酒なんですけどね。
*地域や習慣によっては紅葉狩りでお酒を飲むこともあるようです。
*アルコールの話題は学習者によっては控えたほうがいい場合もあります。