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著者と主人公は混同される(『パムクの文学講義』より)

著者と主人公は混同されるという問題があります。だから、「斗起夫のモデルは誰ですか?」という質問を頂戴したときには、来るべきものが来たという感じがしました。物語を書く人は——一人称で物語を書くたびに——この問題に直面します。

この問いに対して、私がどう答えようとも、質問者は期待していた答えが返ってこない限り、納得することはなく、憶測だけが歪に進行していくでしょう。だから、『斗起夫』を書いて上演するというおこないは、自分を生け贄に捧げるようなことになるだろうとずっと予感していたのです。内容が内容なだけに。

こういう経緯があって、「たとえこの作品が、僕の最後の作品になったとしても、なにひとつ悔いのない作品にしたいと思います」と言っているんです。今のところ、『斗起夫』を最後に作品づくりをやめようとは思っていません。でも、最後になったとしても悔いのないようにしたいとは本気で思っているんです。覚悟みたいなものです。

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