ぽっぺのひとりごと(39)猫と桜と松並木
河津桜を見に行った。家から歩いて50分。毎年見に行く真冬の桜。
今年は2月26日。強風で雲の流れが速く、曇ったり、雨が降ったり、時折晴れたりという目まぐるしい天気だった。
3本の河津桜が見えてきた。「おお、満開だ!」と、思わず急ぎ足になったとき、猫に出会った。石段の上にいたのは一度見かけたことがあるハチワレくんだった。
ものすごい形相で睨み付けてきた。まるで「通行料を払え!」と言わんばかりに。「ごめんね。今日も何も持ってないの。」
ハチワレくんは石段を下り、私の近くに来て「ニャ~」と言った。私も「ニャ~」と挨拶した。が、何も貰えないとわかると、くるりと背を向け、石段の中ごろにゴロリと横になり、毛繕いを始めた。
舌を使って毛並みを整えている姿にカメラを向けた。
ときどき私を見てはポーズを変えていく。
すごいねー、カチャリ。まるでヨガだねー、カチャリ。ちょっと横顔も見せてよー、カチャリ。
ふと見ると、高い所にキジネコがいた。私達を見下ろしていた。望遠で覗くと、愛らしい顔をしている。パチリ、パチリ。
北風に帽子を飛ばされそうになり、「おっと、桜を見に来たんだった」と思い、猫達にサヨナラをして歩き出した。
静岡県の河津町から寄付されたという河津桜。記念切手にもなったこの桜はピンク色が濃く、花期が長い。
良いタイミングで晴れてきた。今日はメジロが来ていないな。風が強いからだろう。
60代の女性が通りかかり、「これは桜?」と訊かれたので、河津桜の説明をした。「たった3本しかないの?」と言われたので、「伊豆半島の河津町に行かれたら、両側数キロがこの桜で・・・」 あれっ、もういない。
3本でもいいじゃない。三人姉妹のようで。
ピンク色に元気をもらい、「ありがとう!また来年、会いに来ますよ。」と声をかけ、振り返り、振り返り歩き出した。
3、4分歩くと、県の史跡の松並木。江戸時代中期から後期にかけて造られた長崎街道の一部で、長さ約310メートル。
大好きな場所。静かだし、夏は涼しくて気持いいし、松葉の散り敷いた道は足に心地良い。
ここをシーボルトも伊能忠敬も、ヴェトナムから来た象も通ったのだ。江戸時代の人は目を丸くしたことだろう。仰け反ったかもしれない。思いを巡らせていると、タイムスリップしたような気分。
スズメがやって来た。3羽で松の枝に留まったところを撮りたかったが、動きが速すぎて難しい。1枚だけブレずに撮影出来た写真は鋭い目つき。「しつこいなあ。さっさとあっちへ行け。」と、怒らせてしまったかも。
はい、はい、退散しますよ。あっ、本当に雲行きが怪しくなってきた。
おまけ。
象が大きすぎて体の半分しか入らなかったので「半蔵門」と名付けられた、というのは良くできたジョークで、実際は服部半蔵正成が担当していた門なので、その名が付けられたそうです。
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