【読書感想文】BTS オン・ザ・ロード/ホン・ソクキョン
Dynamite勢でもないButter勢である私は、とてもじゃないけどARMYとは恐れ多くて名乗れないのですが、やっぱりBTSがどんな風にして今の姿になっていったのか、どんな道を歩んでどんな作品を作ってきたのか、細かくたくさん知りたいのがファン心理というもので。無料で手に入る情報もたくさんありますが、こうやって誰かが書いた本を読むのもなかなか楽しかったです。
あらすじ
感想
ただのファンブックかと思いきや、思ってた以上に真面目な内容でした。マーケティングの事やヨーロッパや欧米のミュージック文化などにも言及があり、日本や東アジアと違う部分もある事を知りました。著者のホン・ソクキョン氏はファンでありながらも、第三者的目線を保ってとても冷静にBTSとそのファンダムARMYについて語ってくれています。学術的視点…を求める人には薄っぺらく感じるかもしれませんが、私の様に「BTSが好き!」というきっかけで手に取った者としては楽しかったです。また、デビュー当時からのARMYと私の様に新たにファンになった人たちとの間で生じる差、それさえも埋めていくBTSとBig Hit(現:HYBE)の魅力的かつ的確な魅せ方についても書かれていて、色々と納得しました。扉を開けたら、もうそこからは彼らの沼にハマる様になっているんや…笑
K-POPというジャンル、東アジアというくくり、欧米やヨーロッパから見たアジア、見る角度によって物事は変わりがちだけど、BTSはそれを超越して「BTS」という1つの世界観を作り上げたんだと思う。今まで抑圧されていた事や、差別とか区別とか、なんとなく窮屈に思っていた事とか違和感を感じていた事を軽々と超越してくれたのかも。実際、彼らは「軽々」なんかではなくえげつない努力に努力を重ねて今の姿があるんですけど、それさえも私たちに共有して、いち人間として存在してくれているんだなあと思ったり。
第6章で書かれていた、男性性についてはとても興味深かったです。どうしても差別や区別は女性が被害者である前提で話が進む事が多いけど(実際、多くの女性が抑圧されて辛い思いをしてきたのは事実として)男性も同様に辛い思いをしてきてたんだなあと発見がありました。男らしくいなくてはいけない、強くなくてはいけない、大きくなくてはいけない…そうでなくても良い、という概念を見せてくれたのがBTSだったのかもしれない。
BTSをずっと好きな人も、最近好きになった人も、好きじゃないけど「どうしてこんなに人気なの?」と疑問がある人も。どんな人にも興味深く読んでもらえそうな本だったと思います。BTS7人の「人としてのあり方」や、挑戦的ながらも7人を信じて確実に歩みを進めていったBig Hitの存在、どれか1つ欠けても今の姿はなかったんだなあ…と思ったりしました。