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【映画感想】シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!

U-NEXTで新規入荷作品で上がっていたのでなんとなしに見てみましたが、かなり好みな映画でした。

世界中で最も愛されている舞台劇の一つ、「シラノ・ド・ベルジュラック」。19世紀末、ベルエポック時代のフランスで大成功を収めた大人の純愛物語で、当時パリを沸かせた熱狂は今も全く衰えることなく、アメリカではブロードウェイで幾度も上演され、ハリウッドで映画化もされた。日本でも、文学座や劇団四季、宝塚など数多くの一流劇団が名舞台を演劇史に刻んでいる。だが、そんな大傑作の初演までの舞台裏は、驚きのトラブル続出だった。この大傑作の愉快で痛快、最後は最高に爽快な誕生秘話の映画化が実現した!

「とんだ駄作だな。1週間で打ち切る」と、パリの名立たる劇場の支配人から宣告されてしまった、無名の劇作家にして詩人のエドモン・ロスタン(トマ・ソリヴェレス)。時は1895年、主演の大女優サラ・ベルナール(クレマンティーヌ・セラリエ)に気に入られたことだけが、若きアーティストの唯一の収穫だった。
 それから2年、エドモンはスランプ一直線。そんな時、サラが名優コンスタン・コクラン(オリヴィエ・グルメ)に口をきいてくれる。だが、それは2時間後にコクランに新しい作品を持って行けというムチャぶりだった。

 カフェでまっ白なノートを前に呆然としていたエドモンは、店主のオノレ(ジャン=ミシェル・マルシアル)からヒントを得て、「醜男だが行いは華麗な人物」という設定を思いつき、実在した剣術家にして作家のシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にしようと決める。しかし、シラノは200年も前の人物、あくまでキャラクターを借りるだけで、ストーリーは自力で生み出さねばならない。思いつく限りのアイディアを並べ立てるエドモンにコクランは、「喜劇」を条件にゴーサインを出すのだった。
 しかし多額の借金から、「パリ中の劇場から追放する」と古巣の支配人にキレられてしまうコクラン。そこで来年の1月1日まで借りているポルト・サン=マルタン座で、急遽「シラノ~」を上演すると決める。今日は12月5日、まだ1ページも書けていないのに、もはや時間がない!

 プレッシャーに押しつぶされるエドモンの前に、友人で俳優のレオ(トム・レーブ)が現れ、衣装係のジャンヌ(リュシー・ブジュナー)へのラブレターにアドバイスを求める。最初は渋々、愛の言葉を紡ぐうちに、エドモンの脳裏に次々とアイディアが! しかも、詩心のあるジャンヌからの返事も、創作意欲を掻き立ててくれる。エドモンはレオに成りすましてジャンヌと文通を始め、胸躍る物語を生み出すのだった。
 レオとジャンヌ、さらに浮気を疑う妻を騙し、台詞に文句ばかりのヒロイン女優をなだめ、台本を書き続けるエドモン。ところが、初日1週間前、予想もしなかった危機が劇団を襲う――!

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私が今まで出会ったインテリ男性トップ3のうち2名が好きな小説・舞台として、シラノドベルジュラックを挙げていました。
なんでも辰野隆の名翻訳が「カッコいー!」のだそう。
これは有名なラストシーンのシラノのセリフ、
「C'est mon Panache. ーそれは私の心意気だ。ー」
Panacheていうのは帽子の羽飾りのことだそうですが、これを心意気と訳したのがそれまでのストーリーとマッチしていて、フランスのエスプリがあって「カッコいー!」んだとか。

さて、今回はその名作が誕生するまでの裏話が描かれた映画となっています。
映画のプロットとしては、「恋におちたシェイクスピア」と似ています。

  1. スランプに陥った作家が自分の体験を交えながら脚本を仕上げていく

  2. ロミオとジュリエットのパロディとしてのバルコニーのシーン

  3. いけ好かないライバル作家がいる

  4. 借金につきトラブルに見舞われる

  5. なかなかセリフが覚えられないポンコツ役者が混ざっているが本番では成功する

  6. 主演女優のトラブルでヒロインが急遽出演「私セリフ全部覚えてます」

  7. 観客席側・舞台裏から交互に回るようなカメラアングル

  8. 舞台裏のやり取りからシームレスで舞台上へとつながるシーンなど

原作の元ネタを主人公たちのエピソードで巡りながら物語が出来上がっていく筋書きはパクリではなくあくまでオマージュ、とてもテンポがよく挿入曲もとてもセンスがいいです。
演劇人たちが逆境に立ち向かうシーンのラヴェルのボレロはすがすがしさとともに感動すら覚えました。
ちなみにラストの名台詞は「私の品格だ」と訳されており、やはり個人的には品格と言ってしまうよりも「心意気」の方が若干の奥ゆかしさがあっていい気がします。

そして、エンドロールが秀逸なんです。
戯曲誕生から100年以上が経ちますが、歴代シラノの名優たちの映像が紹介されるのです。
演劇・映画ファンは垂涎ものなのではないでしょうか。

最近フランス映画でだいぶ空振りしていたので久々にいい映画を見ました。


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