U-NEXTで新規入荷作品で上がっていたのでなんとなしに見てみましたが、かなり好みな映画でした。
私が今まで出会ったインテリ男性トップ3のうち2名が好きな小説・舞台として、シラノドベルジュラックを挙げていました。
なんでも辰野隆の名翻訳が「カッコいー!」のだそう。
これは有名なラストシーンのシラノのセリフ、
「C'est mon Panache. ーそれは私の心意気だ。ー」
Panacheていうのは帽子の羽飾りのことだそうですが、これを心意気と訳したのがそれまでのストーリーとマッチしていて、フランスのエスプリがあって「カッコいー!」んだとか。
さて、今回はその名作が誕生するまでの裏話が描かれた映画となっています。
映画のプロットとしては、「恋におちたシェイクスピア」と似ています。
スランプに陥った作家が自分の体験を交えながら脚本を仕上げていく
ロミオとジュリエットのパロディとしてのバルコニーのシーン
いけ好かないライバル作家がいる
借金につきトラブルに見舞われる
なかなかセリフが覚えられないポンコツ役者が混ざっているが本番では成功する
主演女優のトラブルでヒロインが急遽出演「私セリフ全部覚えてます」
観客席側・舞台裏から交互に回るようなカメラアングル
舞台裏のやり取りからシームレスで舞台上へとつながるシーンなど
原作の元ネタを主人公たちのエピソードで巡りながら物語が出来上がっていく筋書きはパクリではなくあくまでオマージュ、とてもテンポがよく挿入曲もとてもセンスがいいです。
演劇人たちが逆境に立ち向かうシーンのラヴェルのボレロはすがすがしさとともに感動すら覚えました。
ちなみにラストの名台詞は「私の品格だ」と訳されており、やはり個人的には品格と言ってしまうよりも「心意気」の方が若干の奥ゆかしさがあっていい気がします。
そして、エンドロールが秀逸なんです。
戯曲誕生から100年以上が経ちますが、歴代シラノの名優たちの映像が紹介されるのです。
演劇・映画ファンは垂涎ものなのではないでしょうか。
最近フランス映画でだいぶ空振りしていたので久々にいい映画を見ました。