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「アナと雪の女王」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート8】


映画「アナと雪の女王」の一場面です。探していた姉のエルサとついに対面したアナは、エルサにアレンデールへ帰ってくるように訴えるが、エルサは自分の居場所は氷の宮殿だと言い張って帰ろうとしません。

アナ: Whoa.  Elsa? It's me, Anna. (エルサ、私よ。アナ)

エルサ: Anna? (アナ?)

< アナはバルコニーでエルサを見上げ、その美しさに目を奪われる >

アナ: Wow. Elsa, you look different. It's a good different. And this place...it's amazing. (エルサ、【     】。いい意味でね。それにここは…すばらしい)

エルサ: Thank you. I never knew what I was capable of. (ありがとう。自分でも驚く魔法の力よ)

アナ: I'm so sorry about what happened. If I'd have known... (私のせいであんなことに… )

エルサ: No, no. It's okay. You don't have to apologize. But you should probably go, please. (いいのよ。謝る必要ないわ。でももう帰って)

アナ: But I just got here. (お願い。来たばかりよ)

エルサ: You belong down in Arendelle. (アレンデールへ)

アナ: So do you. (お姉さまも)

エルサ: No, Anna. I belong here. Alone. Where I can be who I am without hurting anybody. (いいえ、ここが私の王国よ。独りの王国。誰も傷つけずに自分自身でいられる)

アナ: Actually, about that... (そのことだけど…)

映画「アナと雪の女王」


① Elsa, you look different. 【エルサ、      】
姉のエルサの美しさにアナが言った一言です。これを取り上げたのは、意味は「あなたは異なって見える」と簡単ですが、なかなかしっくりといく日本語訳が見当たらないからです。皆さんならどんな日本語を考えますか?

字幕はやっぱり素晴らしい日本語表現だなあと感心するものでした。それは、
          ・
          ・
          ・
          ・

      「まるで別人みたい

です。出てきそうでなかなか出てこない絶妙な日本語だと感心してしまいました。

そして次の “It's a good different.”「いい意味でね」の英語はちょっと文法的に変だと思いませんか。

それは、different が 本来difference であるべきだからです。a good ... とあるので名詞の difference が正しい語です。

でもどうして different なのでしょうか?

私の個人的な見解ですが、それは、アナは”Elsa, you look different.” と直前に言っているので、最後の different が頭に残っており、思わず “It’s a good different.” と言ってしまったのだと思います。即座に自身の感情を伝えたのです。人間味を感じてしまいますね。

こんな言い回しに出会うと、学校の試験で「(    )内の語句を適切な形に直しなさい。」という問題も???になってしまいます。


② You belong down in Arendelle.「アレンデールへ」 /  No, Anna. I belong here.「ここが私の王国よ」

belong” の用法です。belong といえば、I belong to the tnnis club.「私はテニス部に所属している」という英文が思い浮かぶのではないでしょうか。

ただ、belong は “be (...である) +long (長い)” から、所属している(ここではテニス部)場所が自分にとってつながりが強く、生活の重要な一部になっているといったニュアンスがあります。

ですから、「所属している」を何でもかんでも belong to ... を使うのは少し変で、単に楽しむだけの軽い気持ちで所属している場合などは、I’m a member of the tennis club. とサラッと言った方がいいかもしれません。

エルサがアンに言った “belong” を含む英語ですが、この「belong が持つ強い感情的なつながり」がキーになってくるのです。

You belong down in Arendelle.「アレンデールへ」

アレンデール城は、物語の中心となる城で王国の中心地です。わざわざ雪の中をエルサに会いにやってきたアンに対して「あなた(アン)はアレンデールに所属した方がいい」=「あなたはアレンデールにいた方がいいわ」とアンに戻るように促しているのです。

感情的に強いつながりを持つ belong を使うことによって、「アンはアレンデールの方が合っている」とエルサは強調しています。( アレンデールがエルサが建てた氷の宮殿より下(南)にあるので belong down が使われています)

さらに、エルサは “No, Anna. I belong here.”「ここが私の王国よ」と言っています。これも自分は1人で誰も傷つけずに生きていける氷の宮殿が住みやすいので、I belong here. と言ったのです。

次のような belong を使ったユニークな表現もたくさんあります。

I don’t belong here.「私はここに所属しない」=「居心地が悪いよ」「ここ私には合わない」

You don’t belong here.「あなたはここに所属しない」=「お呼びじゃないよ」

This town is where I belong.「この町は私が所属するところだ」=「この町は僕にピッタリだよ」

Corns don’t belong on pizza.「コーンはピザの上には属さない」=「コーンはピザには合わない」
⇨ これも面白い言い回しですね。コーンとピザはつながらないので don’t belong が使えるのです。

Where does this chair belong?「この椅子はどこに所属するの?」=「この椅子どこに置いたらいいの?」
⇨ 引っ越しの手伝いなどをしている時にかける言葉ですが、「この椅子がピッタリなのはどこか?」と belong のニュアンスが出ている面白い表現です。

belong を、「人が所属する」としか覚えていなければ、この英語は口からなかなか出てこないと思います。

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