「アナと雪の女王」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート17】
【ネタバレ注意】
「アナと雪の女王」の終盤のシーン。ハンスはアナを殺したとして、大逆罪でエルサに死刑を宣告する。また、アナを助けようとするオラフは愛についてアナと話す。
① Prince Hans, Arendelle looks to you.「ハンス王子、この国はあなたが頼りだ」
“look to ...” の意味を見ていきたいと思います。英英辞典で調べると、
ですから、Arendelle looks to you.は字幕の通り「アレンデールはあなた頼みだ」という意味になります。
問題は look to ... がなぜ「…に頼る」という意味になるかです。それを考えるにはやはり look のコアを考えることが必要になってきます。
look =「見る」と理解してる人がいますが、look 自体は「見る」ではなくて、「視線を向ける」というイメージしかありません。すなわち look のコアは「視線を向ける」です。
look at... の at は「一点に」がコアなので、look と結びついて、「視線を一点に向ける」=「…を見る」になります。
look for... ですが、for ten days「10日間」のように for... には「広がり」を感じさせます。そこから「一点じゃなく、視線を広げる」=「…を探す」となります。
look to ... は “to” のコアがポイントになります。to の簡単な例文として、I go to school. 「私は学校に行く」を考えてみます。
まず “to school” は、「学校という方向」が示されています。次に、「学校へ行く」というのは、「学校という到達点」が示されていることになります。
ですから、”to” は「方向と到達」がコアだと考えられます。そして “look to” を考えるには、「到達」という “to” のイメージが大切になってきます。
We look to him. ー 私たちは(彼に)視線を向けて、彼のところに到達する。
これが look と to のコアを意識した訳ですが、視線を向けるだけでなく、彼の元へ到達する、すなわち、そこから「(彼に)頼る」という意味がでてくると考えられます。
それに対して、look at ... の at は「一点に」なので、視線を向けるだけで、相手には到達していません。だから「…を見る」という意味だけなのです。
この look to... の持つイメージは私の私見ですが、自分なりに納得してるので、頭に定着して忘れられません。
to や at などの前置詞のコアを知ることによって、熟語の理解を深めてくれるのは間違いありません。
② With a heavy heart, ...「辛いけど、…」
「重たい心で」から「辛いけど」は推測しやすいと思いますが、この表現、あまりお目にかからないのではと思い取り上げました。
「心苦しいですが…」という日本語でもいいですね。
同じような意味でもっとよく使う表現として I’m sorry to say that ... があります。
With a heavy heart, I cannot help you.
I’m sorry to say, but I cannot help you.
二つ目の例文はよく使われると思います。二つとも同じような意味なのですが、ニュアンスには違いがあります。
With a heavy heart の方が、より emotional (感情のこもった)で、相手の気持ちに訴える強さを持っています。
他に with a heavy heart のように emotional な表現としてあげられるのは、
It pains me to say this, but I cannot help you.「こんなことを言うのは心苦しいが、君を助けることはできない」
です。
pain は「苦しめる」という動詞で、「これを言うことは私を苦しめる」という意味になります。
またそんなに emotional ではないですが、Unfortunately I cannot help you. や Regrettably I cannot help you. という英語も「残念さ」を表しています。
Thanks for reading! See you soon.