カップ焼きそばの食べ方
私はハラが減らない。小食というわけではない。ラーメン屋に行けば、ラーメン大盛にチャーシューをトッピングし餃子をつけて野菜炒めも食べる、気が向いたらミニソースかつ丼を備え付ける。
30歳。175㎝。65㎏。やや細身体系(腹は出てる)である人間にしてはよく食べる方だと思う。
だけど、あまりハラが減らない。仕事の日は昼食をとらない。朝は軽くパンをむしって夜はガッツリ食べるのがこのところのお腹スケジュールである。
休みの日はとくにハラが減らない。朝起きてコーヒーを一杯飲んだらあとは水かお湯か白湯でしのぐ。お昼になったからって食べるとは限らない。3食決まった時間に食べるのではなくハラが減ったら食べる。俺の流儀。
13時になるとさすがにハラが求めてくる。求めてくるんだけど、超絶めんどくさがりな私は動こうとしない。少し考えてようやく思い腰を上げる。まずは家にカップ焼きそばがあるか探る。台所をガチャガチャすると妻に怒られるので、ソーッと、空き巣のように物色する。
ない。
さて、困った。
カップ焼きそばがないとなにか作らなければならない。私の手札は、たまごチャーハン、たまごとハムを一緒に焼いたやつ、醤油チャーハン、スパゲッティを茹でで素を入れる。
これしかない。大貧民なら確実に負ける手持ちの弱さだ。おわかりだと思うがあまりにも弱小な手札なのでチャーハンを2つに分けた。
世の主婦なら一瞬で作れるであろうメニューだが私には無理。作るのをやめる。めんどい。世の主婦の凄さを痛感する。
買いに行こう!
やっぱ。めんどくさい。
いっそのこと食べるのをやめようか。
いや、ここで何も食べなければ、おそらく15時に悶絶するほどハラが減る。仮に15時に食べてしまったら夜中になるまでハラが減ることはない。そんなことをしてしまったら妻が用意する夕食を完食することができない。空腹以上の地獄が待っていると予感する。
絶対に避けなければならない。
私は重い腰を上げる。カップ焼きそばだけを買いに家を出て車に乗り3分で着く薬局でカップ焼きそばを買って帰る。なんとなくもったいない気がする。書店によってなんとなく一周して帰る。このほうがよっぽど時間の無駄だと思うのは脇に置いておく。
そして家に帰ってからの私の行動は速い。早速、カップ焼きそばにお湯を注ぐ。3分。この3分ですべてを終わらせる。
一緒に買ってきたネギトロの包装を破り捨て蓋をゴミ箱に押し込む。皿を出し醤油を入れワサビを入れる。YouTubeで観たい映画をレンタルしテレビに飛ばす。うまく接続できないとテレビとスマホをたたき割りたくなるが、それこそ3分で済まないので堪える。なんとか接続。箸を用意し、一瞬ビールがよぎるが振り切ってお茶を用意する。
ジャスト3分。すべての任務が終了し食がはじまる。
7分。食した時間。長い長い思考と葛藤と準備がかかっているのに終わるのは一瞬。
食事は花火のように儚い。
以上。終わり。