ポジショニングマップを用いたセルフブランディング#3_後編_3次元目の軸で更なる差別化を
バイオ系の研究者 兼 研究所主催者 兼 職業デザイナーをしているポンヌフと申します。ポジショニングマップを用いたセルフブランディングの記事では、前編として商品開発のノウハウについて、中編として能力開発・人材開発への応用についてのノウハウを説明しました。後編では、2つの軸を使ってポジショニングした上で、3軸目を使って更なる差別化を図っていきます。
復習ですが、ポジショニングマップは、商品やサービスの開発において使われる手法の1つです。よく用いられるのは、独立した2つの要素を軸にして、他社製品をマップし、他社製品のないニッチな(競合の少ない(希少性のある)+需要のある)部分に対して製品を展開することによって、競合と差別化した商品を開発するという考え方です。このポジショニングマップの考え方は、商品開発だけでなく、人材開発(ブランディング)にも活用できます。顧客の需要に対して、他社が展開していない能力を獲得して示していくという点で、商品開発と人材開発は同じなのです。
三次元の軸を考える
ある程度、自分自身のポジションをマッピングできたら、3軸目を考えることで、さらに競合との差別化をさらに考えていきます。ここで用いる3軸目は、”高価⇔安価”のように、両方良い面・悪い面を含むもので軸をとる必要はなく、資格の”あり・なし”やスキルの”得意・不得意”など、片方が良いものを置くことができます。資格、スキル、仕事、所属の4つの観点で、競合にはない自分自身のアピールポイントをさらに考えてみましょう。
①資格による差別化
価値のある資格を組み合わせ希少性をつくります。資格を2~3つ、組み合わせるだけで、簡単に「世界で私だけです」とか、「日本に10人もいません」といったアピールが可能になります。なお、資格は権威のあるものや難関資格を組み合わせれば良いというものではなく、希少性と仕事のアピールに繋がることが大切です。また実際に、異分野の専門性を2つ持つことによって、Π型人材(2つの専門性を持つ人材)やH型人材(越境型人材)としてのポテンシャルを高める(アピールする)ことができます。
バイオ分野の技術者や研究者においては、”バイオ系資格×「情報系資格・環境系資格・化学系資格」”など、同じ学術系の2つめの専門性をアピールする方法が良く見かけます。そのほかに、「経営系資格」や「技能系資格」を組み合わせると言った事例も見かけたことがあります。一番のおすすめとしては、資格ではありませんが、”博士”があります。博士は万能な権威付け&専門性証明のクレームであり、資格と同様にブランディングに役立ちます。しかし、博士は人口が多いので差別化には殆ど役立ちません。もう一つ、差別化できる資格を取得するとしたら、次にお勧めなのは”技術士(生物工学”でしょうか。
②スキルの差別化
資格による差別化同様と同様の戦略で、2つのスキルを組み合わせて希少性をつくります。2分野の技術を融合させることによって、新しい技術を構築します。
③仕事による差別化
仕事による差別化も、考える価値があります。2種類の仕事をすることで、ユニークな肩書を作れる可能性があります。冒険家+エッセイスト、研究者+プログラマー、パティシエ+造形師など、互いの職業の親和性で新たな境地を探索することができるかもしれません。
④所属による差別化
複数の所属を持つことによって、差別化を図ります。研究者であれば、学会や委員会の組み合わせによって、ユニークな所属のポートフォリオを創り出すことができます。務めている会社を複数持ったり、NPO法人に所属したり、大学の非常勤講師を務めたりする方法もあります。複数のキャリアを持つことによって、自分自身の差別化につながるだけでなく、2つの異なる領域の技術や知見、人脈をつなぎ合わせることによって、自分と周囲にイノベーションを起こしやすくなることが期待できます。