拝啓、そちらの景色はどうですか
拝啓
そちらの景色はいかがですか?
どんな風景が見えますか?
綺麗なお花畑が広がっていますか?海は凪ぎ打ってますでしょうか?
神様は居ましたか?はたまた鬼ですか?
今はどんな気分でしょう?
清々しいですか?それとも後悔していますか?
いろいろ聞いても返事は頂けませんよね。
そうですよね。
仕方ないですよね。
あなた様が今日そちらへ行ってしまったことを私は仕事中にサボっていじっていたTwitterで知りました。
あなた様の意を決した行為は数多の人から写真に撮られ、拡散されておりました。
中にはあなた様の容姿を『陰キャラ』と揶揄する人もおりました。
私はそんな奴らを軽蔑します。
あなた様が振り絞った最後の勇気を侮辱すること、到底許せません。
どんな思いで生きてきたのか。
どんな人生だったのか。
私には決してわからいけれど、わかってあげられないのが悔しいけれど、
けれどもう戻って来れないあなた様に一言言わせてください。
よくがんばった。本当によく頑張った。
けど、けど、けどもう少し生きてても良かった。生きていてほしかった。
私も全てに絶望し、クローゼットの取っ手にベルトを括り付け、そこに首を巻き付けて体重をゆだねたことがあります。
辺りが真っ白になるあの感覚。
苦しさを超え、死が間近に迫るあの感覚。
あれに打ち勝ったあなた様は勇気のある人です。
大勢の人の前でそれに至ったのは一矢報いたかったからですよね。
あなたを苦しめたこの世に気づかせたかったんですよね。
私はあなたを見つけました。
だからもう少し生きていてほしかった。
一緒にいろいろな話をしたかった。
まだ、生きていてほしかった。
あなた様にはもう明日は来なくって、ずっと今日の景色だけが残るのかな。
せめて素敵な夢を見てほしいと思います。
ずっと続く素敵な夢を。
清々しい雲一つない冬の空の下新宿駅南口の歩道橋で命を絶ったあなた様。
どうかゆっくり眠ってください。
草々
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