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成熟した文化とは

アラン・ドロンが亡くなってしまいましたね。
知り合いじゃないけど、なんか、寂しいです。
最後の生けるレジェンドが、本当にレジェンドに。
亡くなってもなお、スキャンダルもすごい!
子供達の争いや、内縁の日本人妻のことなどが
BBCの記事にも騒がれていて、それもまた昔のスターらしいです。ミーハーに記事をしっかりチェックしています。
ちなみに、私は、ジャン=ポール・ベルモンドの方が好きです。

そして、たまたま少し前に、お仕事の関係で、
「フランスの男と女は、歳をとるほど恋をする」という本をいただきました。
フランス映画の配給・制作会社の社長さんで、ライターや広告など、多岐にわたってご活躍されている、髙野てるみさんの著書です。
これまでのご経験と、フランス映画を土台に書かれたエッセイです。
「ココ・シャネル 女を磨く言葉」
「仕事と人生がもっと輝くココ・シャネルの言葉」
などの著者でもあります。

映画好きな人、フランス映画を見たいけれど、
何をみたらいいかわからない人、
映画は興味なくても、自分の人生に潤いを持たせたい人、
ドロっとした気持ちを共有したい人、
これからの人生を自分らしく、楽しく生きたい人におすすめです。
ちょっぴりフランス人になった気分も味わえると思います🇫🇷

恋、愛、恋愛と言われると、私も含めて、日本では、ある程度以上の年代や既婚者は、「関係ない」と感じてしまいがちですが、恋愛とは、どんな関係においても、例えば、人と人の出会い、人とモノの出会い、人と生活、人と仕事、何の間にも存在しうるのだと思うのです。
心にうるおい、ときめきを与えて、人を輝かせてくれるものじゃないかなと。そのことに年齢は関係ないわけで、むしろ、生命力の源ですよね。

フランス映画を見ると、「自分の人生を、自分らしさで彩っている?」と問いかけられる気がします。

フランス人は、(それはもう十人十色だと思いますが)他のヨーロッパの国の中でも、一際、自分らしさ、自分の考えをはっきりもち、主張することの大切さに重きを置いている文化だと思うんです。

フランスより少し控えめで素朴だった、私の住んでいたスペインやベルギーなどの国も、日本にいる時より気軽に、
「ねえ、あなたは、どう思う?」
という問いかけをされて、意見を交わすことが多く、お互いの自分らしさへの敬意が溢れていました。

ハリウッド映画も面白いのですが、フランス映画はそれと違って、善悪の二択ではないし、ハッピーエンディングだとは限らないし人のドロっとした内面もしっかり描かれていて、私は、リアリティを感じるので、好きです。
だって、実際の人間って、善悪、白黒で分けられないですものね。一人の人間の中に、白も黒もあるし、黄色も緑も赤も、透明もあったりして、複雑に全ての要素がヨリあってできている。

それらの全て、人間の中にある美醜をひっくるめて、洗練された形にしているのが、フランス映画の良さだなと思うのです。
そして、それは、成熟した文化だなと思うのです。そんなところが好きです。

ちなみに、ハリウッド映画だけど、ララランドが、すごく評価されたのは、いわゆるハッピーエンディングではない、エンディングのリアルさじゃなかなと思います。
それに文句を言う知人がいて、私が「だからこそ、リアルでいいんじゃない」というと、ご機嫌を悪くされていたので、人好き好きですが。
何でも綺麗に収めようとすると、嘘っぽくなって、軽々しくなるから、面白くて軽いものはそれでいいけれど全部そんなふうになったら、文化の薄っぺらい世界になってしまう。

日本も、素敵な伝統文化があるから、おそらく成熟した文化があると思うのですが、今、表面化して主流になっているのは、幼い文化だと思います。外国から見ると「こどもの国」に見えます。

それは、若い人が、あんな大人になろうとか、大人になることに希望を見出せなかったり、成熟したいと思える目標がない国になってしまったからなのかなと思います。
大人も生き生きして、若い人に希望を与えられるような生き方ができない環境なのかもしれません。

ヨーロッパにいると、街には、素敵な大人のマダムやムシューがいて、大人も生き生き自分らしく生きている人が多いです。(もちろん皆じゃないですが)
台湾に行った時も、高齢者がものすごく元気に見えました。

日本は、すっかりストレス社会でくたびれてしまったのかもしれないですね。大人の元気が吸い取られてしまう社会。
でも、実は、ものすごく洗練された素敵な人も多いし、故郷の日本は大好きなので、もっと気持ちのいい国にできるといいなと思っています。

せめて、少しでも、自分自身が生き生きした、成熟した人間になれるように頑張りたいと思いました。髙野さんのエッセイは、そんなことを考えさせてくれました。

#フランスの男と女は歳をとるほど恋をする
#髙野てるみ