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【エッセイ】⑨100日後に福祉でITやる犬
⑨トイレの住人わんこ
我の体調不良は誰の目から見ても明らかで、本社の支援員わんこにも報告が行き届くまでに至っていた。
そこで、本社の支援員わんこの働きかけで、我は仕事終わりにその日の様子の報告会をさせていただくことになった。
我は、申し訳なさとありがたさを頭から爪先までひしひしと感じていた。
仕事中は、我がトイレに行くたびに、部屋の中の全員に心配をかけた。
「戻ってきてくださいね」
おじいわん支援員は、必ず声をかけた。
「戻ってきますってェ!」
我は、少しぶっきらぼうに、笑いながらそう答えていた。
それでも、体調を崩してからの最初の我は、戻ってくる日と戻ってこない日があった。
その間、何をしていたのかというと、最初は精神面の不調が強かったのでデジタル犬小屋のトイレに篭りっきりになったり、本社のトイレにわざわざ向かっては籠ったり、デジタル犬小屋の隣の棟に行ってトイレに籠ったり、基本的にはトイレの住人になっていた。
それでも回復が見込めない時は、本社の所長室に逃げ込み、面談を受けていた、という感じだ。
本社の支援員わんこからしても、おじいわん支援員からも、ここまで手のかかる、そして周りを心配させて困らせる犬は初めてだっただろう。
それでも、本社の支援員わんこも、おじいわん支援員も、ずっと気持ちの面で寄り添ってくれていたのは、こんな馬鹿な我でもわかるくらい、明確な事実だったのだ。
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2024.1.9(木)
ponogarden