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蓮台寺ミナトSS『過去と未来の物語』最終章
最終章ー1 孤独ではない戦い
「んん……」
ミナトが意識を取り戻すと、ぼやけた視界のまま辺りを見渡す。
しゃがみこんでいた足元を見ると、そこには鈍色の金属部品や色鮮やかなケーブルたちで形作られた実験器具。周りには無骨なテーブルや機械。見覚えがある。どうやらここは未来の奪取er協会の研究室のようだ。
「ッ!ショータくん!」
近くに鐘太郎が倒れているのを見つけ、ミナトはすぐに駆け寄る。うつ伏せにな
蓮台寺ミナトSS『過去と未来の物語』第二章9~11
第2章ー9 順調な歩み
「なぁなぁ、鐘太郎のお姉さんすげー美人だって聞いたけどマジか?」
昼休みにいつも通り屋上で飯を食っていると、隣に座っているクラスメイトが話しかけてきた。コイツはなんて名前だっけかな。
「美人?あー、えっと……いや、もしそうだとしてもあんまり自分の肉親って褒めたりしなくないか」
「須崎から聞いたんだけどよ、なんていうか、銀髪のロングが良く似合う美人らしいじゃないか。おいお
蓮台寺ミナトSS『過去と未来の物語』第二章5~8
2章1-5 察しの良い友人
「やぁ、また来たよ」
学校から帰宅してしばらくしてから、玄関のチャイムが鳴ったのでドアを開けると、せっかく暖めた玄関の中に、冬の訪れを告げる冷たい風が忍び込んでくる。まぁそんな予感は若干していたが、須崎が立っていた。悪い予感ほど当たるというものだ。
「うわ、また来たよ」
「また来たよ、とはご挨拶だな」
須崎はため息を吐いた。困り顔も妙にさわやかでむかっとくる。
「
蓮台寺ミナトSS『過去と未来の物語』第二章1〜4
第二章 取り戻す、歴史
2-1『消去された記憶』
「はじめまして、マスター。あなたの歴史、紐解かせてね?♡」
あの時と一字一句変わらない、ミナトのキメ台詞。その再現度の高さに、出逢ったあの日の情景がフラッシュバックする。
「ミナト・・・・・・おかえり」
・・・・・・でも、あの頃みたいに、よそよそしくなんてできない。俺は再現をすぐに切り上げるべく、ミナトを抱きしめた。
「えっ、えっ・・・・・
蓮台寺ミナトSS『過去と未来の物語』第一章8〜12
1-8『真意を知れば』
「なんだよ……マジか」
俺は、解っているが現実を受け入れられず、もう一度カバンを漁る。やはりそのカバンの中には、弁当を包んでいるいつもの紺色のハンカチが見当たらなかった。
深く息を吐き、天を仰ぐ。弁当を忘れてしまうと、もうどうしようもない。この学園の購買は秒速で売り切れてしまうから、どこかへ買いに行かなければならない。しかし、ここは田舎の中の田舎。コンビニすら蓮台寺駅前
蓮台寺ミナトSS 『過去と未来の物語』第一章1〜7まで
第一章 積み上げる、歴史
1-1 『ありきたりな導入』
蓮台寺家にミナトという女の子が居候するようになってから、1週間が経とうとしていた。
「ミナト!また勝手に俺のコレクションを‥‥!」
「あら、歴史を紐解くのが私の仕事よ?」
そんな使い古した逃げ口上には騙されない。俺の……なコレクションを机の上に散乱させて放置することのどこが歴史の紐解きだ!
そう、まだたった1週間しか経っていないと