【読書】「[新版] MBAクリティカル・シンキング」を読みました【ビジネスパーソン】【思考法】
はじめに
今回読んだのは「[新版] MBAクリティカル・シンキング」(グロービス・マネジメント・インスティテュート 著)です。今回は私の親が昔買ったと思われる本ですので、少し昔の本になっています。どうやら現在は第三版が出版されているようです。そちらの目次を確認したところ、大きな差異は見られませんでしたが、章の編成などが再構成されているみたいです。第三版はKindleでも利用可能になっているので、そちらの方が手に入れやすいかもしれません。
↑ こちらが私が読んだものです。
↑ その改訂版。こちらはKindleでも読めそうです。
ページ数は演習問題を含んで約200ページなのでそこまで長くはないと言えるでしょう。少し教科書チックな文章が苦手な方もいるかもしれません。しかし身につく思考力、発想力は本物だと思います。また論理的に考える能力が身につくことで、誰にでも話を理解してもらえる話をすることができるようになります。なのでコミュニケーション力も副産物として身に着けることができます。
どんな人におすすめか
本のタイトルにMBAとありますから、経営者を志す人、若しくは経営者に向けた本なのかと身構えてしまうかもしれません。しかし、この本はそういった方々以外のすべてのビジネスパーソンにも役立つ内容と言えるでしょう。こんな方々におすすめです。
・論理的な思考力を身に着けたいビジネスパーソン
・問題解決能力を身に着けたい人
・「伝える力」を身に着けたい人
・考える力を養うべき学生
本自体はビジネスパーソンに向けられたものですが、内容は中高生、大学生が学生のうちに身に着けておくべき「思考法」だと思います。
※MBAはMaster of Business Administrationの略で、日本語に直すと「経営学修士」のことです。日本ではMBAという名前の方が有名で、意味があまり知られていない気がします。日本と海外で少し資格取得制度に違いがあるようですが、基本的にはビジネススクールや経営学の大学院を卒業した方に与えられる学位だそうです。
内容
そもそもクリティカルシンキング(Critical thinking)とは何でしょうか。Criticalは「懐疑的」「批判的」という意味であるので、そのまま日本語訳すると「批判的思考」という意味になります。本書ではこの思考法を用いて、「物事を正しい方法で正しいレベルまで考える」ことを実現することを目標にしています。
この効用は次のように箇条書きされています。
・問題解決や意思決定の効果・効率が増す
・それまでにできなかった斬新な発想ができる
・それまで見落とされていた機会や脅威に気づく
・相手の言いたいことやその前提を的確に理解できる
・会議や議論を効果的に進め、集団としてよりよい意思決定をすることができる
・説得や交渉、部下のコーチングなどがうまくできる
クリティカルシンキングを行う上で、その土台となる4つの基本姿勢があります。
①目的は何かを常に意識する
②前提条件、置かれた環境に合わせて考える
③イシュー(考えるべきこと)を踏まえたうえで、「考える枠組み」を考える
④問い続ける
この4つを日頃から意識するだけでも考え方に変化が生まれるとのことです。
そしてクリティカル・シンキングにおける3つの手法が章ごとに分けられて解説されています。
①正しく論理を展開する
文章や発言などの一つの理屈がどのように成り立っているかを考え、主張に説得力を持たせようとするものです。論理展開の方法は「演繹法」と「帰納法」の二つに還元されます。どのような複雑な論理もこの二つの組み合わせで成り立っているということです。この二つの論理展開を理解し、正しく使えるようにすることがまず第一歩です。
②因果関係を把握する
よく「それは因果関係が逆ではないですか?」という言葉を耳にします。論理展開が正しくても、原因と結果を逆にしてしまい、因果関係が間違っていると、全体としても間違った結論に至ってしまいます。それを避けることで、正しい結論に至ることができます。
③構造的にアプローチする
上記の二つで現実の世界から「パーツ」を切り取って理解できるようになっても、現実はその一つ一つを見るだけでは理解できません。このパーツが組み合わせれた現実を「構造的」に理解する手法を身に着けることで、思考の「漏れやダブり」を防ぐ、MECE(ミーシー、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)な論理展開を行うことができるようになります。
これら三つの手法を、現実にあるようなケースを使った演習問題を解きながら身に着けることができます。
感想
コロナウイルスによって自宅待機を余儀なくされている方や、在宅勤務によって移動時間が短縮され、時間に余裕ができた方もいるかと思います。また、仕事自体が休みになっている方や、休みを持て余している方もいらっしゃるでしょう。コロナによる自粛が明けた後の仕事を変えるきっかけになる一冊かと思います。