読書日記88「民王」-池井戸潤
家族がドラマを観ていたので設定は知っていたのだが、池井戸作品であることは最近まで知らなかった。
SF要素が入っている以外にもストーリーのテンポ感、登場人物の性格などが池井戸作品の中で異色だと感じた。
この物語を通して考えたのは、国内の政治について、なぜ本質からずれていることばかりが注目されてしまうのかということだ。スキャンダルを起こした閣僚に対して、主人公である翔がスキャンダルを起こした事実と本人の業績は関係ないと一蹴する場面がある。自分は一度、SNSの普及により、言及しやすいことから言及され、複雑な議論が回避される傾向にあることが要因だと考えた。だが、SNSが普及しているのは他国も同じである。となると、分かりやすい言葉で議論ができるされていないことが一因ではないかと考えた。日常会話に使わないような表現を多用し、全体を聞かないと理解が難しいように議論されている。そのことが、切り取りやすく、理解しやすい部分にスポットが当てられるやすくなる原因となっているのではないか。そんなことを考えた。