読書日記97「総理の夫」-原田マハ
知人に勧められて読んだ。
日本初の女性総理大臣の夫である主人公が未来の人間が読むことを想定した日記という形をとって書かれた本だ。主人公は大企業グループ一族の次男で、鳥の研究をしている。この人物ののほほんとした感じが物語に柔らかさをもたらしていた。頼りないように見えるが芯があり、嘘や見栄、小賢しさのようなものが通用しないところに好感を持った。
物語の最後には妊娠が発覚した総理が、辞職するかいなかで揺れる場面が描かれる。この場面で女性が総理大臣の場合には、そのようなことが起こる可能性があるということに気付かされた。無意識のうちに、日本に女性総理大臣が誕生したとしても、それは子育て世代ではないと考えていたのかもしれない。
国会議員は国民の代表であるのだから国会議員の男女比は、本来は日本の男女比に近い数値であるのが理想だと思う。理想とは乖離した現実について改めて考えさせられた。