【今月の一冊】藪の中
ハッと思い出したかのように太宰治が読みたくなる時がある。
大体天気が悪かったり、自分の気分が湿っぽい時だ。
今回は連勤最終日にそれがやってきて、朝出勤前にいそいそと探した。
が、目当ての人物の作品は、一冊も我が家の本棚に並んでいなかった。
実家に置いてきたのか、もしくは前に彼と一緒に住んでいた家に置いて忘れてきたのか。後者だったら故意ではないので、なんだか損をしたような気持になってきた。
仕方ない、昔の太宰はきれいさっぱり諦めて、新しい太宰を読むことにしよう。
ちょっと早く出て最寄りの書店に寄り、1冊選んで電車に乗ろう。
そう思って家を出ようとしたら、机の上に立てかけておいた、芥川龍之介の作品が目に留まった。
と、いうわけで今月の一冊は芥川龍之介の「藪の中」です。
芥川龍之介で太宰欲を満たした女。
満たせるんかい。代用きくんかい。
これ、文鳥文庫の蛇腹式の小説。
薄くて軽くて、さらっと読めて、しかも150円。
とても良い。真の本好きではないから、本のとびらを開くのがおっくうな時があるんだわ。
そんな時にも読みやすい。開く、とかじゃなくて 広げる、感じだからかな。
バッグにぽいっといれておくとすぐシワシワになっちゃうけど(雨の日とか特に)。
他に梶井基次郎の「檸檬」と、村上春樹の「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」も買ってみた。
文鳥文庫の紹介はここまでにしといて、今回の「藪の中」。
芥川龍之介の中でも名作中の名作。
私、今回はじめて読みまして。
「真相は藪の中だね~」なんて使ってたけどまさかこれからきているとは。
読み終わった感想一言目、「文学~~!」だった。
こんなに文学文学してる小説、ある??THE文学だよね、文学of文学(?)
ちなみに初版が1922年なので、ちょうど100年前につくられた物語。
AmazonのKindleに入っていたので、アマプラ入ってる人は是非読んでみて。
ちょっとURLの貼り方がわからなかったので調べてから載せるね。
あらすじ
藪の中である男が死んでいた。その男の死について尋問を受けた7人の証言を並べた物語。
あらすじ雑すぎる?
ゆるゆるな考察
この話、結局誰が殺したのか、はたまた自殺だったのか、結局わからずじまいで終わってしまう。
100年経った現代でも考察されている、結局誰が殺したのか、という話なんだけど
いろいろ考えた結果、私は奥さんが殺した線かなと。
んで、旦那さんがそれをかばった感じかなと。
多襄丸の白状
確実に盗人ではないと思うのよ。
だって二人とも殺しませんでした!なんてプライドが許さないと思う。
この言い方っぷりを見ると
「強い男を殺せるけど女は殺さない、そんなオレ…」って酔いしれてるんだと思う。
男殺して女奪ってかーえろ!って思ってたのに、振り返ったら「エッ女いないんですケド…」ってなる。
じゃあもうこの男殺す必要なくない?なんか強そうですし…逃げよ…でも逃げたとかダサいし死んだらしいから俺が殺したことにしよ的な…
あとなにがむかつくって盗人の話がいっちばん長いのよ。ペラペラしゃべりやがってね!!(口の悪さ多襄丸の如し)
縄の話とかいろいろ矛盾は生じるんだけど、盗賊の話はこの辺で。
清水寺に来れる女の懺悔
なんでかは分からんが殺したと思うんだ。
あの時代で、襲われて相手(盗人)を仕留めずに町に帰ったとしたら面目が立たなかったのかなと。だったらもう自決したほうが…ってなりそう。
で、殺した後で縄をほどいたと思うんだ。供述の通り。
自分に都合の悪いことは言わないだろうけど、ワンチャンほんとに自分も死のうと思ったのかな。
巫女の口を借りたる死霊の物語
最初は死人がわざわざ嘘をつくまい、と思っていたので男が自決したんだと思ってた。
がしかし。
ほんとは妻に殺されてて、「わたしもすぐにお供します」とは言っていたけど
もし妻が自決出来ていなかったらどうする?罪じゃね?罰は受けるんじゃね?俺の妻が痛い思いを??と考えた男は妻を守るために嘘をついたのだと考えたのよ私は。
ということはこれは…愛の…物語…!!!
とか考えたけどほんとは死人がほんとのこと言ってる風にして、実は巫女がただ嘘をペラッペラ話してただけだったらおもしろい。
一生出来ない答え合わせ
こんなにいろいろ考えても、結局答えは藪の中。
お願いだから巫女の口を借りて、私に説明してくれ龍之介。
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