【書評1】発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術
▪️紹介する本
私の最近15年くらいの人生は、「探し物」、「遅刻」、「先延ばし」、「グチャグチャの部屋」といったキーワードからは切り離せない物になっていました。
最近仕事において、書類を紛失する、事務仕事でミスを連発するなど、自信を喪失する出来事が重なり、自覚がかなり強くなってきていたのと、なんとかしたいという思いからADHD関連の本を何冊か購入していました。
母にもそのことについて度々話しており、帰省の際に勧めてくれたのが本書です。
▪️本の目次とあらすじ
●第1章 自分を変えるな、「道具」に頼れ 【仕事】
●第2章 全ての会社は「部族」である 【人間関係】
●第3章 朝起きられず、夜寝られないあなたへ【生活習慣】
●第4章 厄介な友、「薬・酒」とどう付き合うか【依存】
●第5章 僕が「うつの底」から抜け出した方法【生存】
といった内容でADHDの人々が人生で出会うであろう困難について、著者自身の経験から編み出したライフハックについて紹介しています。全体的に軽快なテンポで書かれていて、要所要所で笑える部分もあり、読了時は前向きな気分になっている自分がいました。
内容の充実度が物凄く、全てに触れるのは至難の技なので、最も私の今後に生かせそうだと思った「先延ばしの対処法」ついて紹介したいと思います。
長期タスクに手をつけられない病を解決する方法
①とりあえず手を付ける
“僕がよくやっている机の上を5秒で片づける「儀式」を伝授しますので、よく覚えておいてください。”
“(1)まず机の上に腕を置きます。
(2)次に、その腕を右もしくは左に大きくスライドさせます。
(3)大量に物が落下しますが、作業スペースだけは確保できるはずです。後から拾えばいいんです。”
②ハマる状態を作り出す
「手をつける」ことができたら私にとっては8割成功な気がしますがまだあります。
著者は「サンクコスト」という概念をパチンコの例を使って説明しています。
“人間が強力なモチベーションを手に入れるのは「取り返したい」というときです。「欲しい」という感情より「取り返したい」という感情のほうが、何十倍も強いのです。”
パチンコは500円ずつの投資が積み重なり、損失額が大きくなると、今までかけた労力や、時間、お金と言ったものを取り返したいという気持ちが大きくなります。
これを良い方向に利用するときも同様で、毎日、毎週少しずつの時間と労力の投下を繰り返していくことで、クオリティーの高い物を完成させたい、成功させたいという思いを強化することができるというのです。
私自身が小中学校、高校のテスト勉強、そして卒論までも最後の追い込みでなんとかしてきた人間なので、締め切りが差し迫ってきてから重い腰を上げるのが常でした。この悪い癖をやめたいのにやめられない。私はずっと死ぬまで直前二徹を繰り返すのか...と諦めモードでしたがなるほど。パチンコだと思って気楽に取りかかり、毎日少しずつを繰り返せばいいのか。(ちなみに私自身はギャンブルの経験はありません)
今まで出会ってきた本では、「意志力」を使うことの重要性を訴えたり、「人生の限られた時間、もう無駄にするな!」といった主張で先延ばしに対処しようとするものが多かったのですがどれも全く効果がありませんでした。これならできそうです。
▪️最後に
悩んでいる時、気持ちが沈んでいる時というのは、自分を俯瞰的に見ることができなくなりがちな気がします。実際に私がそうでした。しかし今回この本を読んで他の方の葛藤を知ることで自分自身が抱える問題も第三者的な目で見ることができるようになりました。
冷静になって自分の傾向を知り、その傾向に合った対策をすることで行き詰まっている現状を打破したり、自分の能力を開花させたりということが可能になると思います。
自分と同じように悩んでいる方がいれば、今後の方向性についてヒントが見つかるかもしれません。
▪️次に読みたい本
①時間感覚がすっぽり抜け落ちている
時間の量を正しく把握できない、かつかなり甘く見積もる癖があるので治したい。
②複数のタスクを管理・同時並行させるのが極めて難しい
恐らく基本的に脳内がとっ散らかっているので、整理しながらでないと仕事ができない。次々と違う作業をしなければならない時はメモリーオーバーになる。現在やっている仕事がマルチタスキングを必要とするのでなんとかしたい。
上記の解決法について示唆してくれるような内容の本があれば読んでみたいと思いました。