サイコパス社長に出会い、逃げるまでの100日間の話【第一章】
サイコパスとは?
- 良心が欠如しており 他者に冷淡で共感性が無い 平然と嘘をつき 表面は魅力的 -
2019年春、サイコパスに出会った。
メガネをかけた普通の男性。
初めて会った時の印象ではどのような人柄であったかと聞かれると
特に覚えていないほど普通。
社長をしているだけあり、結構大きな家に住んでいた。
新たな仕事のはじまり
昨年春頃、久しぶりに友達からメールが届いたことから始まった。
「私が最近はじめたWebの仕事を一緒にしない?」というお誘いメール。
私は20代後半の女。フリーランスでデザインなどパソコンを使うような仕事をしている。
自らの仕事のスケジュールを調節すれば何とかやっていけると想定し、友達からの仕事のお誘いを承諾した。
私は友達の働く会社の社長とも電話連絡を取り、簡単に自己紹介。
話はとんとん拍子に進み、一度事務所に挨拶をしに行くことになった。
私が住む街と同じ都道府県内、山をいくつか越えた標高数千メートルという土地の住所をメールで受け取った。
普段乗ったこともないような電車を乗り継ぎ、最寄の駅から坂道を20分ほど歩いて行くとなんとか辿り着くことができた。
第一印象。社長は、至って普通の30代男性。
事務所は自宅と兼用ということもあり、家からは奥さんと子どもの声が聞こえる。
通された2階の部屋は約12畳と広く、パソコンが3台、ソファ、本棚が並び、全体的に綺麗に片付いていた。
この日は顔を合わせるちょっとした面接といったところ。
ほとんどの人がこの社長を見て、物腰は柔らかく、おだやかであると判断することは間違いない。
「自分の仕事と並行してうちの仕事もやってもらったらいい、お互い良い仕事ができそうだね」と話し合った。
基本的にWebの仕事はパソコンを通じて行うため、在宅で仕事ができる。
これからはオンラインを通して仕事を教わるという流れを説明され、この日は帰宅した。
片鱗が見えた埋め合わせ
後日、仕事のスケジュールの埋め合わせをしようと電話連絡が来た。
思い返せば、ここから既にサイコパスの片鱗は見え始めていたのかもしれない。
「明日、この仕事できますか?」と社長は聞く。
「申し訳ございません、明日午前中は別の仕事が入っております。午後からであれば可能です」と、私が説明すると
「なんでだよ!どうして別の仕事を入れたんだ!」と声を大きく荒げた。
初めて話し合った時に、自分の仕事もある旨を伝え了承を得ていたにも関わらず、社長は私が別のスケジュールを入れたことに怒っている。
あの優しそうな人が急に大きな声を出したことに驚いてしまったが、私は悪いことをした。
「私の都合でスケジュールを入れてしまい申し訳ございません」と謝ると
「うちに来て仕事の話もすすめた。こっちの仕事を優先させるのが普通だよね?」とのこと。
ここの仕事を優先させるのが普通...そうかもしれない。
私は社会について勉強不足なのだと思い、このことに対し1時間ほど謝罪の言葉を述べた。
ミスに対する謝罪
後日、あらためて仕事を受けた。
社長が手掛ける企業のWebサイトを初めて見せてもらった。
社長がパソコンを操作しているのが、画面越しに見える。
「このWebサイトを更新していってもらうからね~。全然難しいことは無いよ。君にもできる」
と、この間怒っていた声とはまるで異なり、穏やかな様子に安堵した。
「こんな感じで、取引先からメールで届いた指示内容をWebサイトに更新していってもらいたいんだ。あ...こんなところにミスがある。ごめんなさいは?」
「?」
「だから、ごめんなさいは?って言ってるんだよ。今、ミスが見つかったでしょ。普通さ、謝るよね。どうして謝らないの?理由は?」
サイトの右下に現れている小さな記号のことを言っているようだが...。
「申し訳ありません。初めて見せていただいた仕事(Webサイト)で、私にはそれがミスかどうかわかりませんでした」
「だから、謝れって言ってるんだよ。ミスが見つけられなくてすみませんでした、でしょ。こんなの見たらミスってわかるでしょ普通」
「すみません」
これで社長と会話して3回目。
Webサイトの仕事は今回が人生で初めてであるとはいえ、私は仕事のできない自分に嫌気が差した。
続き ⇒ サイコパス社長に出会い、逃げるまでの100日間の話【第二章】
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