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ひとりになって この春僕は数年ぶりに独身に戻った。 お互いにフリーランスという立場の僕たちふたりは「夫婦」というより互いの仕事を尊重しつつ、干渉し過ぎず、依存もしない良きパートナーであった。しかし僅かな接点である「暮らし」の中で相容れない部分が少しづつ、本当に少しずつ見えて来てしまったのだった。どちらかの不義理であったり、経済的な問題など明確なひとつの大きな理由がない代わりに、どこをどうすれば2人の関係が改善できるのか出口の見えない中で出た結論はこの関係を解消する事
「徹くん、話があるんだけど」 磯野が柚木に声をかけてきた。いつになく神妙な面持ちだったので、二人で会議室に入ってドアを閉めた。 ヨッシーさんやガシャポン、小峰くんには伝えた話なんだけど、と前置きした後、磯野が言いづらそうに話しはじめた。 「僕、編集部を辞めるんだ」 えっ、と思う半面、どこかで予期していたことでもあった。すでに三人に伝えたということは、彼らからの遺留の言葉は受け付けなかったということでもある。自分には事後報告なのだ、ということに気づいて、少しイラっとした