
2023年度 下関市立大学 前期日程(全学科共通 小論文「論述(図表理解)」 模範解答
設問1(300 字制限)
図表1では、2012年度から19年度まで男性の育児休業取得率は年々上昇傾向にあり、20年度には顕著な上昇を見せている。図表2では、20年度は前年度に比べ、「育児休業に準じる措置」「テレワーク」「所定外労働の制限」の項目で、育児目的の労働者支援の進展を示している。図表3からは、育児休業取得期間が近年年を追うごとに⾧くなっていることが分かる。男性の育児休業取得率は女性に比べ、なおも非常に低水準にあるものの、20年度に状況改善があったことにより、男性が育児休業を取得しやすくなったと思われる。しかし、男性の育児休業取得を推進するには、依然として低水準にある多くの項目を高める必要があるだろう。(295 字)
設問2(500 字制限)
図表4では、男性正社員が末子の育休の取得を希望しなかった割合が5割を超えており、また育休を希望ないし申請しながらも取得に至らなかった割合が17.7%であった。図表5では、育休制度を利用しなかった理由として40%超の回答者が収入減への不安を挙げており、また育休制度を利用しにくい職場の雰囲気や会社の無理解も27.3%の回答者が挙げていた。図表6からは、妊娠・出産を会社に伝えた際に会社から説明や働きかけが特になかったという回答が63.2%に上った。
近年「産後パパ育休制度」が創設されたり育児休業の分割取得が可能になったりした。これらは上のデータの改善に資するだろう。とはいえ、育休取得を希望しなかった主たる理由である収入の全額保証を行わないかぎり、問題は解消されないと思われる。さらに、育休を希望ないし申請しながらも取得できなかった理由である会社の雰囲気や無理解を改善しなければならない。こうした意識改革が遅々として進んでいない現状を鑑みるに、政府が育休取得率の低い企業へ罰則を課すような強制力のある施策を考慮すべき段階に来ているように思われる。
(472 字 400 字詰め原稿用紙25 行に収まることを確認済み)