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2023年度 下関市立大学 前期日程(全学科共通 小論文「論述(長文理解)」 模範解答
設問1(300 字制限)
テクノロジーが私たちに与えるメリットは、情報の取得と発信が容易になったことにある。映画、音楽、ニュースを大量に短時間で消費でき、他者とのコミュニケーションも手軽になった。他方、デメリットは集中力の阻害である。われわれは、スマホの着信やSNSの「いいね」に気を取られると、せっかく集中していた作業も中断されてしまう。さらに、意図して同時に複数の作業こなすマルチタスクは、実は人間の脳の構造上不可能であり、作業を切り替えているにすぎない。これには時間がかかり、直前の作業への注意も残存する。だからマルチタスクは実は非効率的である。ゆえに、集中力を阻害することはテクノロジーのデメリットである。(294 字)
設問2(500 字制限)
ある作業から別の作業へ移るさいに、人間の脳は切替時間が必要である。直前の作業に脳の処理能力が残存している状態が「注意残余」と呼ばれる。注意残余から脱するには数秒から数分かかるとされる。そのせいで、同時に複数の作業をこなそうとするマルチタスクは、人間に困難な作業方法となっている。以下、マルチタスクの困難さを指摘するために、私はスマホと料理を例に挙げたい。
私は料理が趣味で、毎日台所に立つ。自分の知らなかった料理に挑戦することに面白さを感じている。それで、私はクックパッドというアプリを使用している。というのも、このアプリではユーザーがさまざまな料理のレシピを公開しているので、挑戦しがいのある料理の発見とそのレシピを知るのに重宝するからである。私はスマホでクックパッドを開いて、レシピを確認しながら調理を進める。鍋とスマホどちらにも注意が集中しなかったり、レシピの文字情報や料理の画像情報と鍋を振る動作とのギャップで作業がぎこちなくなったりもする。私はこのマルチタスクに危険を感じることさえある。これは注意残余の影響によるだろう。だから私はクックパッドのレシピを事前に覚えるようにしたい。
(494 字 400 字詰め原稿用紙25 行に収まることを確認済み)