『八重山おばぁのぬちぐすい』を読んで
「ぬちぐすい」とは、沖縄の言葉で「いのちのくすり」。
八重山諸島でみつけた、たくさんの「ぬちぐすい」。
それは生きるための食べ物であったり、人との繋がり、心の支え。
この本を読んで印象に残ったのは、石垣島で出会ったタマヨおばあさんのお話。
タマヨおばあさんはちまき作りの名人。ちまき作りは、まず竹の葉をゆがくところから始まる。丸2日かけて作られるちまきは、家族みんなの大好物。そんなタマヨおばあさんの言葉。
「美味しく食べるものもよ、難儀せんと美味しく食べられないよ」
ネットでレシピ検索する際に「〇〇 レシピ 簡単」と打ち込んでしまう私には、はっとさせられた言葉でした。なんでも簡単に、ラクにできることばかり選んでいたことを思い知らされました。簡単に楽に美味しくできれば、それが一番いいのだけれど、美味しいものはやっぱり手間がかかっている。
YouTubeで料理人の方の動画を見ていると、ただお肉を煮込む料理にしても、まず焼いてから茹でて煮込む、といった前工程がありました。煮込む前の処理のおかげでホロホロで美味しいお肉になるということを知りました。なんでもかんでも楽を求めたらダメだなと思い知らされました。
文明は発達しているけれど、美味しいものを作るのは時間や手間がかかってしまう。けれど、苦労して、面倒なことをすると美味しいものができる。家電に任せてほったらかしでも美味しくできるかもしれないけど、その時の温度や湿度、素材の状態に合わせて作る料理にはかなわない。そして何より家族が作ってくれた、心がこもったものは、お店の料理にはかなわない。
家族に感謝を伝える方法として、言葉で伝えることもできるし、行動で伝えることもできる。そして料理で伝えることもできると教えてもらいました。