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2017 Power 100 @ FAZ

ArtReview の Power 100 はグローバル・アート・ビジネスへの影響力を示している。2019年版は草間彌生が 8位に入っている。日本からは一人のみ。

毎年発表されている Power 100 。2017年版について、ドイツのFAZが記事を出していた。2017年はヒト・シュタイエルが 1位、ピエール・ユイグが 2位だった年。

速報版は短いテキストで出ていた。それだけドイツで注目されたと推察。

2017年の Power 100は、古いネットワークを壊している。ビデオ・アーティストのヒト・シュタイエルが一番の影響力を示す年となった。

世代全体が指向している

Eine internationale Jury wählte die in München geborene deutsch-japanische Künstlerin dieses Jahr auf Platz eins der Rangliste „Power 100“.

ヒト・シュタイエルは、アート・マーケットで作品が取引されつつも、世界的な展覧会にも参加している。つまり、マーケット的な評価と批評的な評価を兼ね備えている。そしてビデオ・インスタレーションの作品はゲーマー世代にも刺激を与え、政治的なドキュメンタリーで社会批評も行なっている。また、大学で教鞭もとっている。

Das ist nicht die einzige Überraschung der aktuellen „Power 100“-Liste. In den vergangenen Jahren schien das oft strittig diskutierte Ranking von den immergleichen Mega-Galerien (Wirth, Zwirner, Gagosian) und Starkuratoren wie Hans Ulrich Obrist beherrscht zu werden. Inzwischen aber schwächelt der Kunstmarkt – und plötzlich wird auch das alte Netzwerk der Mächtigen aufgebrochen.

2017年のリストは、それまでの強者のネットワークが解体されようとしていた。メガギャラリー、スターキュレーター(ハンス・ウルリッヒ・オブリスト)に支配されていたランキングに異変が起こり、2017年のランキングに込められたメッセージとして、弱体化したアート・マーケットを再構築しようと試みているのかもしれないということ。

2位はピエール・ユイグ、3位はダナ・ハラウェイが入り、9位にはブルーノ・ラトゥールが入っている。Top 10に哲学者が二人ランクインした。

ダナ・ハラウェイは『サイボーグ宣言』と『状況下された知識』がアーティストへ影響を与えているとしている。

ブルーノ・ラトゥールは、OOOと思弁的実在論。これが近年のアート・ワールドの理論であると評価された。また、活動がアカデミックだけでなく、現実的な問題として社会と関わりを持たせていることも重要と。


ArtReview の共同編集者、Oliver Basciano は、2017年のランキングについて衝撃の物語と表現している。続けて、アート・ワールドの様々な力についてコメントしている。「アートの世界には、さまざまな力があるということを再認識させてくれるものです。一つの力は確かにお金ですが、知的、活動家、政治的な力もあります。」


ヒト・シュタイエルは、コマーシャル・ギャラリーに彼女の作品を提供しているにも関わらず、彼女をアーティストとして紹介させることを拒んでいる。そうした商業的な活動と、2015年のベニス・ビエンナーレ、2017年のミュンスター彫刻プロジェクトでの作品の提示。著作活動、インターネットの特設チャネルも開設している。

Power 100のリストに載るためには、若手アーティストにも影響を与えることが必要、ヒト・シュタイエルの作品は、デジタル化された現代を反映していると、ミュンスター彫刻プロジェクトの責任者 Kasper König 氏の発言。

ミュンスター彫刻プロジェクトの作品写真が紹介されている。ただ、写真だけだとよく分からない。彫刻なのに!?。。。


最近の少年は他の場所を探しているのかもしれない

ヒト・シュタイエル同様、ピエール・ユイグも世界的に活躍している。

ミュンスターでは、ユイグとシュタイエルの両方が代表として参加しており、小競り合いとされていた。それはドクメンタにも続くと。

テキストは《After ALife Ahead》(2017)に言及していく。

Huyghe hatte in einer verlassenen Eissporthalle eine Mondlandschaft entstehen lassen und sie mit Pfauen, Bienen und Krebszellen belebt. Mit Skulptur hatte das komplexe Biotop-System wenig zu tun, umso mehr mit dem Verhältnis des Menschen zu seiner Umwelt.

ユイグは、廃墟となったアイスリンクに月の風景を作り、クジャクやミツバチ、がん細胞などで盛り上げていた。複雑なビオトープシステムは彫刻とはほとんど関係がありませんでしたが、それ以上に人間とその環境との関係がありました。

普通のテキストだと思うけど、ここに使われている"Umwelt"に注目したい。2018年のサーペンタインギャラリーで展示されるfMRIから読み取った人の思考の画像、これにつけたタイトル。なぜ、ドイツ語なのか。そして、なぜ"U"を重ねているのか。



Ökologie, Umwelt, künstliche Intelligenz - all das sind aktuelle Themen der Kunst. Dass die 73 Jahre alte Wissenschaftlerin Donna Haraway auf Platz drei landet, ist daher nicht verwunderlich. Haraway macht derzeit mit ihrem schon 1985 entstandenen „A Cyborg Manifest“ über das Ende der klaren Trennung von Mensch und Maschine wieder Furore. Nicht nur Filme wie „Blade Runner 2049“ sind von ihren Theorien beeinflusst, auch Steyerl bezieht sich auf Haraways Cyborg-Manifest.

エコロジー、環境、人工知能、これらはすべてアートの現在のテーマである。73歳の科学者ダナ・ハラウェイが 3位に入っても不思議ではない。

1985年に人間と機械の明確な分離の終焉について書いた『A Cyborg Manifesto』で再び注目されている。『ブレードランナー2049』と同様に『A Cyborg Manifesto』からもシュタイエルは言及している。

1985年、この年は転換点の始まりだったのではないだろうか。


2017年の Power 100 のリストは変革の予兆なのか始まりなのか、ギャラリスト、コレクターがランキングは下がったものの、リストに入っている。ただ、ゲルハルト・リヒターがリストから消えた。「若い画家たちは今、他の場所に目を向けているかもしれない 」(„Jüngere Maler schauen vielleicht derzeit woanders hin“)とOliver Basciano は言う。

新たな絵画のシフトだろうか。


Power 100 2018の第3位には、ハッシュタグの#MeToo が入った。第2位はKerry James Marshall が入る。しかしながら1位は、David Zwirner が入る。

2019年版は、2位に Nan Goldin が入った。

Power 100 2020はよりD&Iが注目されるのではないだろうか。もうひとつのトピックとしてはオンライン化に関すること。



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