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コートールド美術館展 魅惑の印象派@愛知県美術館 鑑賞メモ

イギリスのコート―ルド美術館、そのコレクションが国外に出ることは基本的に無いらしい。

印象派を今一度、しっかり見ておこうと考えた。マネの《フォリー=ベルジェールのバー》が見られたのがとてもよかった。この作品を見ることも目的のひとつ。ゴドフリーの『コンセプチュアルアート』によれば、最初のコンセプチュアルな作品であるという。

この展覧会は初期から後期に到るまで作品を網羅しており、最適なのではないかと考えた次第。そして結論から言えば、幅と奥行き、とても素晴らしいコレクションだった。連続して愛知県美術館のモダニズム系のコレクションに接続できたことも大きいと思う。上野の東京都美術館で展覧会を開催していたときに見れば良かったのだろうけれど、東京のこの手の展覧会は激しく混雑するだろうと予測、愛知県美術館への巡回展に副業のついでに寄ってみた次第。まだ、2月に入ったばかりの時期だった。

マネの煌びやかな作品の数々から始まる。時系列で展示されいた作品群。様々な作品を鑑賞している中で気が付いた。セザンヌの《大きな松のあるサント=ヴィクトワール山》、モネの《アンティーブ》は、浮世絵にしか見えなかった。浮世絵の影響といえば、ドガの《舞台上の二人の踊り子》に特徴があらわれている。

セザンヌの形と構成への探求も興味深いし、中世的な田園風景の中に蒸気機関車が描かれていることに、近代への転換が見て取れる。ルノワールの《桟敷席》をじっくりと鑑賞することができたのが、とても良かった。二十歳前後の頃、ルノワールのブロンズが2,000万円で販売されていることを知り、頑張って稼ごうと思った時期があったことを思い出す。

印象派が活躍した時代、この頃は変革の時代だった。産業革命、フランス革命、国家と国民の出現。芸術の分野でいえば、写真の発明。化学と技術の結合によるイノベーションという言葉の出現。今の時代に接続する時代背景があると思う。科学的な発展の例としてチューブ入り絵具が出現したこと。(それ以前はどのように絵具を販売していたのだろう…)カメラ、チューブ絵具、そうした新しいメディウムをアーティストはどのように解釈するのか、様々な試みがあった。

2020年の今で言えば、AI(現時点では機械学習)をアーティストがどのように解釈するのかが気になる。僕の研究の方向性としては、ある分野では人間の認知能力を超えたAIに対して、人間の認知能力を再解釈するというか見直すというか、そうした問題点と現代アートとの接続点について整理していきたいと考えている。3月に開催するオラファー・エリアソンの展覧会が、ひとつのキーになるのではないだろうか。

コレクション展では、近現代へ接続する有名な作品が展示されていた。愛知県美術館は、すごいコレクションを持っているのだと認識する。ムンク、ピカソの青の時代、パウル・クレー、カンディンスキー、アンディ・ウォーホル、ティルマンス、ライアン・ガンダーなど、多彩な作品だった。


あいトリの名残、ジェームズ・ブライドルの《ドローンの影》。

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Tsutomu Saito
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