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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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#アート思考

伊藤雅浩「絶対写真論 アルゴリズム・オブジェクトとしての写真へ」読書メモ

写真は、かくも深遠なものなのか。 何が写真となるのか。写真を取り巻く技術や考え方の変遷を捉える。 伊藤雅浩の絶対写真論 カメラでの撮影、現像、プリントが技術の進化や、アナログからデジタルへのシフトよって、技術から操作へと変遷してきた。撮影にあたり専門スキルが必要ではなくなる。つまり、デスキリングが行われた。 フルッサーの言葉を引用し、カメラの操作者(いわゆるカメラマン)ではなく、カメラを作った技術者がアーティストと呼べるのではないかと問題提起する。そこに疑問を持ち、それ

人工自然

WIREDの記事、スペキュラティブ・デザインの川崎和也氏によるテキスト 彼が主宰するワークショップに参加したことがあり、WWFFの機械と衣服を聴講したことがある。 この後も書籍出版のトークイベントなどに通った。そろそろ、リアルイベントも頻繁に行われるようになるだろうか。 ジェームズ・グレアム・バラードの短編集の参照から記事が始まる。着る人の感情によって自律的に形状を変化させる衣服、従来の生地で作られた衣服は顧みられない。 わたしたちがいま着ているようなコットンやポリエ

多様性とアイデンティティと対話(ダイアローグ)

僕はヨーロッパ資本の会社に勤務している。日本で論じられる、感じるよりも早くダイバーシティ&インクルージョン(D&I)のトレーニングが始まったと思う。確か2000年代半ばあたりに年に一回くらいの必須のトレーニングがあった。一番印象に残っているのは、インド系の留学生から就職も留学先の国で採用された従業員が、英語の発音によって教育を受けていないというレッテル貼りをされてしまった。そのために孤立してしまったという。実際として彼女は博士号を持っており、教育もヨーロッパで受けていた。あい

アート | ビジネス思考

社会人向け大学院に通い始めた当初は仕事に関連付けようとは思っていなかった。MFA(Master of Fine Arts)が取得できればいいだろう、それくらいに考えていた。このあたりのことについては、次のnoteにまとめた。 ところが、最近は現代アートの研究(修士論文の執筆経験)が仕事に役立っていると感じる。直接的ではないにしろ、アートを言葉で説明するということがビジネススキルと密接に関連しているように思う。 アートの研究が、仕事の何に役に立つのか?日常生活、世間には様々

MOMAのテキスト「What NFTs Mean for Contemporary Art」を読んで思ったこと

NFT が注目されて久しい。作品に限らず、売り方、どんな作品が売れたのか、アートをNFTのコンテキストに持ち込んだときにどんな影響、反応、変化を受けるのか、NFTの技術的観点そのものについて、様々に議論があり、いろいろなテキストがある。そんな大量のテキストの中から、MOMA の『What NFTs Mean for Contemporary Art』が目についた。 冒頭のリードから、アーティストとキュレーターが語るBeepleそしてNFTがどのようなものかという点を整理して

George Baker, An Interview with Pierre Huyghe, October Vol. 110, Autumn, 2004 読書メモ 《Streamside Day Follies》

美術史家 George Baker によるピエール・ユイグへ2004年5月にニューヨークで実施されたインタビュー。それが October に掲載されていた。PDFのダウンロードは有料だけど、オンラインで読むならタダでいい。 この頃はHugo Boss Prize 2002を受賞した後。 インタビューのタイミングは、ピエール・ユイグがニューヨークのDiaで展覧会を終えた後、展覧会開催の9か月前からニューヨークに滞在していた。展覧会の終了は1月、インタビューは5月に受けている

学びの動機

2019年4月に入学した社会人向け大学院、現代アートの研究に飛び込んだ。無事にM1を終えて、修士論文着手の許可がでた。美術教育を受けてきたわけではないので、知らないことだらけの1年目、戸惑うことや、こんなはずではなかった、なんてことがいろいろとあった。自分の学びが修士課程の研究というよりも学部レベルであることに、嫌気がさしたこともあった。 なぜ大学院に進学しようと思ったのか、入学時に整理したことが出てきたので、ここでも振り返りをしておこうと思う。 本業のために、毎年、スキ

フィールドワーク 世界の教科書としての現代アート @ 東京都美術館 鑑賞メモ

2020年2月、東京都美術館で開催していた京都造形芸術大学の展覧会、フィールドワーク。現代アートを教科書として捉えての展示。 森美館長の片岡真美をキュレーターとして迎えた学生作品の展覧会。卒業展ではない。学部3年生も作品を展示している。 ポスターにも掲載されている作品。大漁旗を細く裂いて編み込み、帽子のような形を作っている。先に展示室に入っていた人が、下をのぞき込んでいた。吊られているのか確認していたものと思う。僕もつられて、下をのぞき込んでしまった。 大漁旗そのものに

『コンセプチャルアート』 読書メモ

正直、読むのが辛かった。読書のスピードは速い方だと思うのだけど、文章の書き方というか、言い方というか、持って回った書きまわしのように見えた。普段、よく読むのはビジネス書と技術書。結論は何?って観点で読んでいる。本書の難しさはゴールが見えないことなんだろうと推測する。 アートってロジカルに結論に導くものではない。ただし、議論はロジカルに行う。見かけ上は…?そうした対話、頭脳ゲーム、コンセプトとそれをテーマにした作品を解釈するために、読み込んでおくべき名著だと思う。 コンセプ

『美術の物語』 読書メモ

以前、読書メモのブログを持っていた。 何のきっかけか思い出せないけど、丸ごと全部消してしまった。本業の情報技術や経営管理関連の書籍のみならず、哲学、歴史など幅広く読書のメモを記録していた。 もったいなかった。まさか、大学院でアートの研究をするとは思ってもみなかった。 ゴンブリッチの『美術の物語』、ファイドンから出版されていたけど、日本撤退に伴って廃刊になった。古本がすごいプレミアがついていたから、河出書房新社から復刊されたのはありがたい。 現在重版中らしい。 201

人間の土地 / 王国 Domains展

たまたま通りかかった。 奈良原一高の展覧会。 訃報を見て、窓展で作品も見た。ゼミの同級生が、礼拝を研究しており、そこで名前が出ていた。 小さな展示スペースながらも、展示されている作品点数はとても多い。奈良原一高の初めての展覧会と二回目の展覧会の作品が展示されている。この展覧会と訃報は偶然であり、会期中の出来事に驚いている。そんな話をしている人があった。 モノクロの写真で提示された桜島の噴火で埋もれた島、そこで暮らす人々。自然の驚異、それを踏まえての人々の生活の力強さ。

窓展と、近美工芸館 さようなら

ゼミの友達から近美の窓展がいいと聞いていた。 窓? アートと建築の接続はよく聞くから、その延長だろうと思っていたのだけど、かなりのビッグネームが一堂に会した展覧会のようである。会期終了が近かったこともあり、取り急ぎ出かけてみた。 展覧会の意図はわからなかったけれど、展示されている作品が圧巻だった。 マティス、ティルマンス、デュシャン、ル・コルビジェに、ゲルハルト・リヒター…。コレクション展には、草間彌生、奈良美智、村上隆も、そしてここにもゲルハルト・リヒター。 外出

武田陽介 個展『RAM』と山本捷平 個展『Re: Reiterate』 - アンスティチュ・フランセ

京都で武田陽介の個展、『RAM』が開催されていることを知り、国立国際美術館でインポッシブルアーキテクチャ展を見た後に、見に行った。 武田陽介の京都初個展。 光の扱い方、捉え方が特徴的な作品を作ると認識していた。 ステートメントには、カメラの中が燃えるほどの露光をするとあった。 「Digital Flare」 カメラでないとみることができるない世界、画面の切り取りではない作品。通常、写真作品の場合、カメラで撮影する対象がポイントになるが、彼の作品ではカメラの痕跡、レン

「見えないかかわり」イズマイル・バリー展とWhat's Karl Gerstner? Thinking in Motion

2020年から兼業を開始した。 転職という選択肢もあるかと思うけど、新しい職場で一からポジションを取るのは、正直しんどい。けれども昨今の転職市場では、デジタルの人材は引く手数多、年齢もあまり関係がない。こうした状況は2025年あたりをピークとして2030年までは継続すると思う。ひとつの会社で年収を上げていくよりも転職をうまく使ってキャリアを形成していくというのもひとつの考え方だとは思う。 僕の勤務先が副業を認めていることもあり、デジタルの知見を本業と競合しない形でサービス