「子どものいる暮らしの中ではたらく」ということについて考える座談会
市川望美です。
東京アラートも解除され、ロードマップは2020/6/12にステップ3へ移行。6/19には休業要請も全面解除。感染防止策を講じながらではありますが、「ステイホーム」な生活から、経済活動・社会活動が全面的に再開されていく段階となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか・・?
予想していなかった大きな力が働き、今までの常識や方法論が通じなくなって、新しい未来へ押し出されるような状況のことを「ビッグ・プッシュ」というそうですが、新型コロナウイルスによるこの状況は、私たちの働き方や暮らし方を変えるビッグ・プッシュとなるのでしょう。
ステイホーム期間中の過ごし方を振り返り、どのように日常を再開させていくのか。今まで通り?それとも新しい形に?むしろ、これを機にやめちゃう??今までだと選択しにくかったことや、考えもつかなかったことも現実化できるのかも。
きっと、ストレートに、シンプルに考えることが許されるタイミングなのではなかろうか。このビッグ・プッシュを追い風に、今までの自分のあたりまえを越えて。
そんな時は誰かと、できれば、違う価値観の人と話すといいなと思います。
もやもやしたり、ぐるぐるするときは、自分の中の「あたりまえ」や「役割意識」に気がつかず縛られていたりする時。
でも、知らない誰かに「それってどうしてですか?」とシンプルに質問されたりすると、「え?私なんでそう思ってたんだっけ・・・?」と立ち返るきっかけになったりするのです。同じ境遇だったり、「あたりまえ」を共有している人たちと話していると出てこないのが、「そもそも」だったりする。
そもそもを問う必要がないから「あたりまえ」なんだもんね。
一度前提をまっさらにして、「子どものいる暮らしの中ではたらくということ」を考える。
Polarisは、2012年の夏から継続して『子どものいる暮らしの中ではたらくを考える座談会』というワールドカフェスタイルの座談会を開催し続けています。
11月の申し込み https://kodomonoirukurashi211122.peatix.com/
Polarisを立ち上げた一番大きな理由は、育児離職をしたり、育児をきっかけに働き方を見直したいと思った人たちが現実的にとりうる選択肢が少ないと思ったから。特に、「再就職」「パート採用」など雇用されるスタイルを望んでいない人たちが選べる選択肢が少ないから、働くことをあきらめたり、無理をせざるを得ない状況に対する、「もう一つの選択肢」がつくりたくて、Polarisを創業しました。
『0か100じゃない働き方、暮らし方を選べるようにすること。』
それがPolarisが選んだ、社会に対する役割であり、提案でした。
それを実現するために、業務請負という形態かつチームではたらくことを前提とした「セタガヤ庶務部」をつくったり、「キャリアブランク」「キャリアロス」とされてしまう期間の経験を仕事で価値に転換できる事業「くらしのくうき」を立ち上げたりしましたが、その手前にある壁は、「働くとはこういうことである」「子育て/母親とはこういうものである」といった、それぞれの中にある「あたりまえの形」でした。
「フルタイム正規雇用」こそが「正しい働き方」だという考えが拭い去れないと、自分が望む「小さなはたらきかた」を肯定しきれなくてモヤモヤしたり、「子どもの近くで笑顔でいることが母親としてなすべきこと」といった規範意識が強すぎると、在宅で仕事をしたいと望んでいたはずなのに、罪悪感でつぶれそうになったり・・・
自分の中に染み付いたあたりまえというものは、思っている以上にかたくなだ。普段はナリを潜めていても、ふとした時に登場して、自分の選択に迷いを生じさせたり・・一歩踏み出した人をググっと引き戻す力がとても強いのが「今までのあたりまえ」。
なので、多様な働き方や、多様な経験を活かす仕事を創るだけでなく、自分の気持ちを「まっさらなところ」から見てみる機会がつくりたくて企画したのが、「子どものいる暮らしの中ではたらくを考える座談会」でした。
「子どものいる暮らしの中ではたらく」ことを社会共通のテーマとするために。
そして、もう一つ大事にしているのは「子連れではたらく」とか「子どもと一緒にはたらく」ではなく、「子どものいる暮らしの中ではたらくということ」を考えること。
子どもがいない人だったり、子どもがいる暮らしの中ではたらくということをしていない人たちも、同じ話題の当事者となって考えたいという思いがあったからそんな名前にしています。
直接的に自分の暮らしの中に「子ども」は存在していないけれど、「子どものいる暮らしの中ではたらく人たち」と一緒にはたらくことはある。
そういうときに「子どもはそっちの問題、こっちは関係ない」と思わずに、一緒に考えてもらえたらいい。個人や家庭、小さな関係性の中で抱えないといけなかったことを社会全体で考えられるようになれたら、もっとみんな暮らしやすくはたらきやすいのではないか。
「子ども」だけでなく、色々なものを抱えながらはたらいている人たちがいるはずなのだから、そういった「暮らし」を持ち寄って、自分たちに何ができるのか考えたり、何ができるのかは分からないけれど、とにかくその存在や思いを共有できる場になったらいいなと思って、ずっと開催し続けています。
ダイバーシティ&インクルージョン
きっと、私たちは本能的に、「インクルージョン」に意識を向けていたのだろうと思う。「ママたち」を「分けて」考えるのではなく「社会の一員として認め」てもらって「一緒に」考えたい、という願いが、この長い座談会の名前に込められているんだなあ・・・。
「ダイバーシティ」という言葉は、「インクルージョン」もセットで使うものだ、ということを知ったのはたぶん2016年頃なのですが、そういうことを感じていたのだと思います。「多様」=それぞれでいいよね、といいつつ、その背景に(でも僕らとは別世界の話だけどね)という思いが見え隠れするのを感じて、「それぞれでいいで終わらせてほしくない」と思っていたのだと思います。
「子ども」の暮らしも大切にしたい。
また、どうしても、はたらく上で子どもというのは「預ける・預けない」といった問題でとらえられてしまうことも多いのだけど(都市部は特に)、親が健やかにはたらくことと同じように、子どもが子どもらしく過ごすことも大事にしたいと思っているから、ということもあります。
「子連れで」とか「子育てママが」と言ってしまった時点で、「子どもの暮らし」が尊重できない気がする・・。母(だけではないけれど)の問題、子どもの問題ではなく、「子どものいる暮らし」という「環境の問題」としてとらえたいからのこの表現なのだなあ。
「ステイホーム(タウン)」な働き方から感じる変化の兆し。
と、長々書いてきたわけですが、コロナによる「ビッグ・プッシュ」は、私たちのそんな思いを一気にバーン!と社会に突き付けた気がしています。
ステイホームで多くの人がリモートワークをする様になって、画面越しに「子どものいる暮らし」が目につくようになったのではないでしょうか。
今までだったら、そうせざるを得ない人たちや、ライフスタイル、価値観としてあえてそうしている人たちだけが、子どものいる暮らしの中ではたらいていたかもしれないけれど、コロナによって、望むと望まざるとにかかわらず、子どもの暮らしと親の暮らしが混ざりあわざるを得なかった。
対象となる子どもの幅もグーンと広がって、乳幼児から大学生までが同じ状況になった。
直接経験しなかったとしても、ニュースやメディアで、学校や幼稚園がお休みになって働くことがままならない人たちの声を聞くことも多かったのではないでしょうか。
今までならあまり関係なかった人たちも、ジブンゴトとして考えざるを得ない当事者となりました。
社会的な問題って、当事者の枠をどう広げていくかが大事で、そこがものすごく大変なんだけど、ビッグ・プッシュは一気に同じテーブルに多くの人たちを座らせてくれた。
この座談会も、この流れを受けて少し役割を拡大する必要があるなあと思っているし、今だからこそ見えること、話せることも沢山あると思うのです。
ぜひぜひ、私のことだ!と思われた方も、そうでない方もご参加くださいませ。多様な人たちの観点が持ち寄られることを願います。
子どものいる暮らしの中ではたらくを考える座談会
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【開催概要】
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日時:2021年11月22日(月)21:30-23:00
会場:Zoomによるオンライン開催
参加費:500円
定員:15名
申し込み:https://kodomonoirukurashi211122.peatix.com/
自分が大切にしたい暮らし方とはたらき方。どちらかを選ぶためにどちらかを我慢するのではなく、どうやったらうまく混ぜられるのか。気持ちを持ち寄って、そうか、そういう風なんですね、と理解しあえるだけでもいい。
個人だけの問題とせず、チームや、仲間や、組織や、地域や、社会で協力しながら、なるべく多様な選択肢を共存させるにはどんなことが必要なのか。具体的なアイデアも考えられるかもしれない。
私も、もう子どもは高校生だから、「子どものいる暮らしの中ではたらく」ことの直接的な当事者じゃなくなってきたなーと思っていたのに、改めて子どものいる暮らしの中ではたらく機会が数ヶ月続き、いままでとは違う感覚でこのテーマを考えるようになりました。
きっと、今だから思うこと沢山あるはず。
オンラインでの開催ですので、是非お気軽にどうぞ!色々なエリアの方とお話しできればうれしいです。