はじめに
※長くなりました。。本題はこちらから。
2023年3月26日追記:ここでの議論を大学IRに適用した記事を書きました。
大学職員のみなさま、今日もChatGPT使っていますか。
既に大賑わいのChatGPT界隈。エンジニア、デザイナーを中心に、その大波は全てを巻き込み現在に至ります。今しがたプラグインまで発表されてしまった。大学職員界隈でもChatGPTの活用事例が色々提案されているようですね。界隈には思ったより浸透していないようです。
ともかく、今が楽しくて仕方がありません。
今回、「ChatGPTを扱う職能を持った大学職員がいたら何すんだろうな」という興味で記事を書きました。
大学で働いてきた私の経験や主観をできるだけ排除した抽象的な言語オブジェクトとして大学職員の要件を定義し、ChatGPTを扱う職能を与えてみて、その大学職員が一体何をするのか?という実験です。
結論は「想像以上にすげー色々やってくれそう」でした。
この記事の全ての土台は、ChatGPTをリリース当初から使い込んでいる先人たちの知恵です。可能な限り引用元を示すつもりですが漏れがあると思います。ご了承ください。なお使用バージョンはGPT-4で、使用言語は英語です。-3.5でも日本語でも似たような結果が得られると思います。たぶん。
前段:ChatGPTの使い方
ChatGPTの最低限の使い方を抑えていないと、よからぬ勘違いが起きてしまう可能性が高いです。今後ChatGPTを搭載したAI製品はもっとチューニングされるはずなのでここまで気を遣う機会は減ると思いますが、トゲトゲ剝き出しのChatGPTを扱うために着けると便利な手袋の紹介です。
あまり使っていない人が記事を読むかもと思って5つまとめました。
n番煎じなので、興味ない方は飛ばしてください。
1. 相手に敬意を払って対話する
敬語で話すと出力の質が上がります。
相手をロボットだと舐めた口聞いていたら出力の質が落ちます。
こちらの記事が詳しいです。
2. 指示、文脈、入力、出力を明示する
Generative AI界隈のスター、深津さんが最初に発信した(と私が思っている)プロンプトデザインです。この4点を明示すれば出力の質が上がります。
動画44:00-より
3. ソクラテスメソッドを導入する
一方的に何か教えたり教わったりするだけではもったいない。対話を通じたアイデア・思考のブラッシュアップが有効です。
動画5:55-
4. プライバシー保護された情報を入力しない
terms of useに、API以外から取得したコンテンツをサービスの開発および改善に役立てる的なことが書いてあります(2023年3月24日現在)。
Webアプリ版ChatGPTを使うならネットの海に放り投げて良い情報を使えば無難だと思います。
5. 入力と出力は表裏一体
想定していた出力結果が得られない場合や、「やっぱAIなんてこの程度か」的な感想を抱いた場合は、入力の質が低いことが多いです。「知の鏡」という表現がすごく好きで援用しますが、ChatGPTはもう一人の自分を映す鏡だと思います。
本題:抽象化された大学職員オブジェクトがChatGPTを活用してみるデモンストレーションをChatGPTにさせた
実行の方法
大学職員は一枚岩ではありません。大学職員であれば、多層にわたり折り重なった価値観や環世界がうずまく、職場としての大学をよくご存じだと思います。部署が違えば世界も様変わり。なので「ぼくが考えた最強の業務改善方法と、それを実現するためにぼくが考えた最強のプロンプト」を記事に書き殴っても界隈への貢献は極めて薄いと思いました。すでに多くの先駆者が記録を残していいて、なによりChatGPTの環境も目まぐるしく変わっていくので。
そこで、「ChatGPTが抽象化した大学職員像」の中に定義された部署および能力等に「ChatGPTアシスタント」という未来の職能を措定・追加した上で、「ChatGPTアシスタント」の活用方法とその具体的なプロンプト文をChatGPTに訊くことにしました。
おおまかな手順は以下の通りです。主語はぜんぶChatGPTです。
大学職員オブジェクトの要件を定義する
要件に大学職員の能力”ChatGPTアシスタント”を追加する
特定の部署が抱えている問題・課題を3つ提示する
3.の部署に属する大学職員が持つ能力“ChatGPTアシスタント” が、3.問題・課題の解決に寄与する方法を提示してもらう
4.を実現するための入力プロンプト文(=ChatGPTにインプットする文章)を提示してもらう
プロンプトは結構長くなった(途中でかなり寄り道している)ので、要所のみ示します。落合陽一先生考案の言語オブジェクト実行プロンプトを参考にしました。感謝と感動を。多分まだ全部理解できていない。
プロンプト全体に需要があればGitHubにでも公開します。
実行(1) 大学職員オブジェクトの要件を定義
大学職員を言語オブジェクトとして実行した結果が以下の通り。
マネジメントオブジェクトを除いたサブオブジェクトは以下の5つ。
アメリカのカレッジ的な雰囲気はありますね。これを大学職員の部署ということにしましょう。このサブオブジェクトに知識、能力などが定義されています。これは各大学職員が持つべきステータスでしょう。
この時点で既に楽しいですね。ドメインに依存して論じられがちな大学職員の要件を比較的客観的に定義できるとは。サブオブジェクトをもっと改造して部署を追加しても良かったんですが、今回は行っていません。
実行(2) 要件に含まれる大学職員の能力として”ChatGPTアシスタント”を追加する
以下のプロンプトを実行しました(イメージが伝わってほしいので日本語訳にしてます)。
出力結果がこちら(同じく日本語訳)。
いいですね。「ChatGPTアシスト」、分かりやすい。
実行(3)(4)(5) 問題・課題に基づくChatGPTの活用方法の提示
以下の3つはまとめて実行しています。
以下のプロンプトを実行しました。
以降、部署ごとに出力結果のDeepL翻訳を羅列します。順番が実行順そのままなので、上記リストと異なります。すみません。。
途中で出力が切れた部分を継ぎ接ぎしていますのでその点もご承知おきください。
結果(1) 人事課
結果(2) 教務
結果(3) 学務
結果(4) ファイナンシャルエイド
結果(5) 入試課
所感と結論
今回は可能な限りドメイン知識を排除した大学職員像を措定したうえで、「ChatGPTを扱う職能を持った大学職員がいたら何すんだろうな」について出力してみました。今まで大学職員を語るときはドメイン知識ありき(というか排除不可)だったので、比較的ノーマライズされたLLMがはじきだす「大学職員像」をベースに議論できることは大変おもしろいのではないでしょうか。
実情にそぐわない意見が出力されるのはある意味当然ですが、可能な限り抽象的なレベルに引き上げた大学職員像を具体的・現実的な線に落とし、むしろ非常に説得力のあるグッドプラクティスが出力されたように思えます。私が経験していない部署しかありませんが。
また全体的にアメリカンな大学職員の風味は拭えませんね。私の能力不足に依るところが大きいです。大学職員オブジェクトにjapanドメイン、japanコンテクストを付与すればまた結果が変わるかもしれません。
結果、プロンプトで職務や事細かに指定せずに大量の成果を出力してくれたことに感動しました。非常に高い生産性ですね。「想像以上にすげー色々やってくれそう」という結論に至りました。
ちょっと疲れたので、考察などはまた別の機会に。
この調子で、大学職員オブジェクトに他の部署を色々追加してもいいですね。存在しない部署をサブオブジェクトに設けても面白くなるはず。
大学で「ChatGPT使って何できんのw」と聞かれたときに、
この記事が役に立つかもしれません。
それではまたどこかで。感想や批判をお待ちしております。