連載【新コロ恐怖症という病】~18.令和版堕落論~
各地で緊急事態宣言。
夜浅い時間から街頭の灯りは消され。
酒の提供を禁止する禁酒法。
都道府県を跨いだ移動自粛を呼びかける時代錯誤。
あれやこれやと生活を縛りあげられているのに粛々と従う民衆。
思考停止。
奴隷根性。
「これはおかしい」と声を上げる人をみんなで叩く悪魔の正義。
まるで
無理心中。
日本国一致団結集団自殺。
まるで
先の大戦。
「一億総玉砕」「欲しがりません勝つまでは」
そう叫びながら竹槍で戦車と戦おうとしていた日本人。
まるっきりそれと同じ空気感。
さきの終戦の翌年。
坂口安吾の「堕落論」が出版され「続堕落論」とともに当時の国民の心を鷲掴みにした。
それから令和の時代。
新コロという日本においては脆弱なウイルスが、いとも簡単に、その空気感を再現した。
良くも悪くも日本人という民族性が如実に浮き彫りにされた。
今こそ
坂口安吾の「堕落論」「続堕落論」を読み返す時であろう。
何十回も読み返している坂口安吾の「堕落論」「続堕落論」はYASUという人間の価値観に染みついている。
今回の【新コロという病】は「令和版堕落論」と題して書いていこう。
①もうダメかもね日本。
戦後という大量生産、大量消費の資本主義時代は「真面目を勘違いした日本人気質」にピッタリと嵌った。
※13.~真面目とは何かをブルハーツを聴きながらクソ真面目に考える~
※https://note.com/poetyasu/n/ndf55d15083ea
真面目という名を借りた思考停止。
それが日本人。
単純労働、単純生産、大量生産、大量消費。
戦後の時代は、思考停止し文句もなくただ黙々と働く事を「真面目」とう言葉で誇る日本人気質にピッタリと嵌った。
戦後の日本は奇跡的急成長を遂げた。
しかし、これも資本主義の宿命。やがて大量生産、大量消費は飽和状態となり狭いシェアを奪い合う安売り競争に陥った。
目先の利益の為に身も心も安売り競争に必死な日本人。
その間に世界は大きく変わった。
インターネットの普及により組織の壁は壊され、新しい価値観が動き出した。
「同じ事の継続」ではなく「新しい発明」の時代に、日本は様々な壁を越える事無く、それぞれの組織の壁の中に閉じこもり、完全に世界から置いてけぼりを食らった。
完全に世界から置いてけぼりを食らっていると言う事にも、気づいているのか気づいていないのか。
それも日本人気質というべきで、永遠に同じ事を繰り返す事で、打開策を見出す事もなく、目の前の「真面目」にしがみつく事で安心し。ますます落ちて行く。
そこに新コロ騒動だ。
幸い、日本においては、新コロなどたいしたウイルスではない。
これは客観的に数値を追えば誰でも分る事だ。
中学レベルの学力があれば誰でも分る。
※その根拠は過去記事を参照ください。
しかし、マスコミは目の前の利益の為に煽り報道を繰り返し。
医療関係者は保身の為に国民を脅しつづけ。
民衆は簡単に騙され、また「思考停止という真面目さ」にしがみつく。
政治家はバカじゃない。だから「新コロなどたいしたウイルスではない。」と言う事は承知している。
それでも、世論の忖度するだけで、断固とした新コロ共存政策が打ち出せない。
みんながみんな、それぞれの組織の中で、縦割り組織の中で、自分がやれる事をやっているふりばかりしている。
※15.~イマジンを聴きながらイマジンできない日本の縦割り組織を憂う~
※https://note.com/poetyasu/n/n8903c83c541c
新コロ騒動から1年半。
全く学習する事なく、同じ事を繰り返し繰り返し、着実にこの国は落ちていく。
幸い日本においては新コロはたいしたウイルスじゃない!ここは起死回生のチャンスだ!という感覚は誰ひとり持たない。
仲良しごっこでお手手つないで一緒に落ちて行く。
それが日本人なのだ。
もうダメかもね日本。
②武士道から日本のカラクリを探る
日本人の大好きな武士道。
僕の大嫌いな武士道。
安吾は「堕落論」でいう。
実は日本人の気質は武士道とは真逆にあると。
【元来日本人は最も憎悪心の少い又永続しない国民であり、昨日の敵は今日の友という楽天性が実際の偽らぬ心情であろう。昨日の敵と妥協否肝胆かんたん相照すのは日常茶飯事であり、仇敵なるが故に一そう肝胆相照らし、忽たちまち二君に仕えたがるし、昨日の敵にも仕えたがる。生きて捕虜の恥を受けるべからず、というが、こういう規定がないと日本人を戦闘にかりたてるのは不可能なので、我々は規約に従順であるが、我々の偽らぬ心情は規約と逆なものである。】
つまりは、武士道とは日本人のいい加減さを制御する為につくられたツールに過ぎない。
武士道が日本人の本質であるなどとは大間違いだ。
日本人の本質は真逆にあるのだ。
武士道とは日本人の弱点に対する防壁でしかないのだ。
安吾は「堕落論」の中で「武士道」の他にも「天皇制」や「女心」などを例にして、日本のカラクリを暴いている。
つまり、僕はそれらをこう解釈する。
いつしか日本人はツールを本質と見誤った。
「武士道」とは「真面目さ」であり。
実はその「真面目さ」とは「日本人のいい加減さをコントロールする制御装置」であり。
「制御装置」が働けば人は「思考停止」するのだ。
「思考停止」した人間は「奴隷根性」に捕らわれる。
日本人の「真面目」とは「思考停止」であり「奴隷根性」であり。
本来の「真面目」から言えば、本来の「真面目」を真面目に考えない点において、実は日本人はもっとも「不真面目」な民族はないだろうか。
僕らは「真面目」に満足するのではなく、僕らが捕らわれているカラクリを真面目に考えなくてはならない。
ツールに操られるのではなく、その本質を考えなくてはならない。
ツールや規則や命令に盲目的に従う前に、その本質を考えなくてはならない。
③ブラック企業を作っているのは社長ではなく社員だ
新コロ騒動で人それぞれがそれぞれに誰かを叩いて安心しようとしている。
しかし考えてみてほしい。
その誰かを生みだしている遠因は自分にもあるのだ。
ブラック企業で働いている人はブラック企業を叩くが、そこで働いている自分の責任を忘れている。
勘違いしない方がいい。
ブラック企業は社長が作るのではない。
様々な慣習やルールが積もり積もって増殖してブラック企業になるのだ。
よく目を凝らしてほしい。
ブラック企業の黒幕は、遠い所にいるかいないか分らない社長ではなく。
あなたの目の前に座っている上司だ。
そして、ともしたらあなた自身がブラック企業の黒幕である可能性も高い。
くだらないルールや慣習に「これはおかしい」と思いながら口に出さず従うなら、そのルールや慣習を受け入れたという事だ。
そのくだらないルールや慣習を受け入れたという事は、あなた自身がブラック企業の遠因なのだ。
♪爆弾が落っこちる時 何も言わないってことは
♪爆弾が落っこちる時 全てを受け入れることだ
byブルーハーツ
ワイドショーに踊らされて誰かを叩いて安心ている暇があるなら。
自分を顧みて。本質を考えた方がいい。
あなたが叩いているその人を生みだした遠因はあなたにもある。
③目を背け思考停止した時点で、戦争に新コロに魂を売ったという事だ。
坂口安吾の「堕落論」「続堕落論」は先の戦場から語っている。
戦場と新コロとを同列に語るにはいささかレベルが違い過ぎている事は承知の上だが。
この新コロ騒動と戦中の人の心の共通点を考えたい。
安吾はいう
【私はおののきながら、然し、惚れ惚れとその美しさに見とれていたのだ。私は考える必要がなかった。そこには美しいものがあるばかりで、人間がなかったからだ。 ~略~ たとえ爆弾の絶えざる恐怖があるにしても、考えることがない限り、人は常に気楽であり、ただ惚れ惚れと見とれておれば良かったのだ。私は一人の馬鹿であった。最も無邪気に戦争と遊び戯れていた。】
戦争という悲惨な日々の中、人は思考停止となる。
思考停止となると爆弾すら、燃える街すら惚れ惚れと見えるのだ。
新コロ騒動で思考停止した人も実はこれに似ている。
誰かの言葉を鵜呑みにただ従う事で楽しく文句を並べて、誰かを叩いて無邪気に新コロと遊び戯れているにすぎない。
ものの本質から目をそむけている事においては全く同じだ。
恐怖ゆえに目を背けるのか。
目を背けるるから恐怖なのか。
その前後は違えど、目を背け思考停止した時点で、戦争に新コロに魂を売ったという事に変わりはない。
♪爆弾が落っこちる時 何も言わないってことは
♪爆弾が落っこちる時 全てを受け入れることだ
byブルーハーツ
④自由とは何か。
安吾はいう
【終戦後、我々はあらゆる自由を許されたが、人はあらゆる自由を許されたとき、自らの不可解な限定とその不自由さに気づくであろう。人間は永遠に自由では有り得ない。なぜなら人間は生きており、又死なねばならず、そして人間は考えるからだ。】
自由とは何だ。
自由とは死を覚悟する事だ。
自由とは自分で考える事だ。
自由とはそれ故に生きると言う事を真剣に考える事だ。
自由とは不自由さの上にできている。
自由とは自分で考え自分で生き、それ故に生まれる「自らの不可解な限定とその不自由さ」を受け入れて成長する事をいう。
誰かに与えられた自由など自由ではない。
まして誰かに与えられた不自由に甘んじるなど、死んでいないだけで生きていない。
やれ緊急事態宣言だ。やれ自粛しろだ。
誰にも僕が「生きる自由」を「活きる自由」を縛られる権利はない。
新コロが怖いなら「あなたには引きこもる自由がある」と僕は言ってあげる。
けして僕は新コロ恐怖症の人の自由を束縛はしない。
ただし。
僕の自由を新コロ恐怖症の人が束縛するなら許さない。
⑤人生には自己満足を追求する自己責任がある
安吾はいう
【特攻隊の勇士はすでに闇屋となり、未亡人はすでに新たな面影によって胸をふくらませているではないか。人間は変りはしない。ただ人間へ戻ってきたのだ。人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。】
特攻隊の勇士も戦争が終われば法律を破って闇屋となる。
未亡人も戦死した夫を忘れ新たな恋愛に落ちる。
それが人間なのだ。
それを安吾は「堕落」と言っている。
安吾のいう「堕落」とは悪い意味ではない。
しかしこの「堕落」という表現が誤解を与えるかもしれない。
付け加える。
安吾は「続堕落論」でこういう
【人間の、又人性の正しい姿とは何ぞや。欲するところを素直に欲し、厭な物を厭だと言う、要はただそれだけのことだ。好きなものを好きだという、好きな女を好きだという、大義名分だの、不義は御法度ごはっとだの、義理人情というニセの着物をぬぎさり、赤裸々な心になろう、この赤裸々な姿を突きとめ見つめることが先ず人間の復活の第一の条件だ。そこから自分と、そして人性の、真実の誕生と、その発足が始められる。
日本国民諸君、私は諸君に、日本人及び日本自体の堕落を叫ぶ。日本及び日本人は堕落しなければならぬと叫ぶ。】
つまり「堕落」とは自分に正直になれと言う事だ。
正直とは自暴自棄ではない。
自分で考え自分で生きる事だ。
これを説明するにもっとも適した言葉はくしくも、僕が生みだした僕の人生のモットーがある
「人生には自己満足を追求する自己責任がある」
くしくもこの言葉が安吾のいう「堕落」にもっとも端的に表現している言葉のような気がしている。
安吾のいう「堕落」とは自分で考え自分の人生を謳歌する言葉だ。
「人生を謳歌」するには責任がある。
つまり、自分で自分の人生を生きると言う事だ。
「人生には自己満足を追求する自己責任がある」
新コロごときのウイルスで引きこもるなんて僕はこの言葉にかけてできない。
⑤間違えた真面目さをかなぐり捨てて正しく堕落しろ!
ここまで日本人の「間違えた真面目」を「正しい堕落」を語ってきた。
まとめよう
安吾はいう
【あの偉大な破壊の下では、運命はあったが、堕落はなかった。無心であったが、充満していた。】
人はその境地にあれば運命を天に任せる。
そこには堕落すらない。
無心とはどこか不思議な充満感すら感じる。
しかしこの状態では自分は自分ではない。
自分すら投げ出した充満感ならそれは信仰宗教やスピリチアルと同じだ。
あくまでも自分は自分を生きなければならない。
信仰宗教やスピリチアルのように見失った自分を取り戻すには堕落しきるしかない。
人は堕落してはじめて自分を見つける。自分に気づく。
【人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。】
のだ。
もう日本は着実に下り坂を転げ落ちている。
見方を変えればこれは日本の再生のもっともな近道なのかもしれない。
日本よ。どんどん堕落したらいい。
そうして底辺のどん底となった時、やっとお人よしの日本人も一人一人が人生を考えるであろう。
そしてはじめて「正しく堕落」するのであろう。
そこまでは、その状態になるまでは。
この国はしばらくダメかもしれない。
一刻も早く堕落しろ。
一人一人が間違えた真面目さをかなぐり捨てて正しく堕落しろ!
新コロは良くも悪くも社会を変えた。
もう後戻りはできない。
日本が再生するには
間違えた真面目さをかなぐり捨てて正しく堕落するしかない。
過去の記事
連載【新コロ恐怖症という病】 ~1.新コロ騒動前の社会を把握しよう~
https://note.com/poetyasu/n/n798e531f028f
連載【新コロ恐怖症という病】 ~2.PCR検査の嘘~
https://note.com/poetyasu/n/nb46423cbef59
連載【新コロ恐怖症という病】 ~3.医療崩壊という逆ギレ~
https://note.com/poetyasu/n/n11c806eee69c
連載【新コロ恐怖症という病】 ~4.ロックダウンは無意味~
https://note.com/poetyasu/n/nb28e385dd825
連載【新コロ恐怖症という病】 ~5.GOTOを考える~
https://note.com/poetyasu/n/n913eec6d1166
連載【新コロ恐怖症という病】 ~6.収束への道~
https://note.com/poetyasu/n/ne3f2a872bcc9
連載【新コロ恐怖症という病】 ~7.リア充をここぞとばかりに叩く引きこもり達~
https://note.com/poetyasu/n/n3e6b059d0c9b
連載【新コロ恐怖症という病】 ~8.緊急事態宣言という無理心中~
https://note.com/poetyasu/n/nde3967a6a09c
連載【新コロ恐怖症という病】9.~死ぬる時節には死ぬがよく候~
https://note.com/poetyasu/n/n35cb89417cc9
連載【新コロ恐怖症という病】10.~この国に勝海舟や坂本龍馬はいないのか?~
https://note.com/poetyasu/n/n4d4f17fa9bd5
連載【新コロ恐怖症という病】11.~ニュースを見る目~
https://note.com/poetyasu/n/nb55cc4fc4197
12.~日本が陥る社会心理学的メカニズム~
https://note.com/poetyasu/n/ndb7e22cf0602
13.~真面目とは何かをブルハーツを聴きながらクソ真面目に考える~
https://note.com/poetyasu/n/ndf55d15083ea
14.~ブルーハーツを聴きながら 生きる為に死を考える?~
https://note.com/poetyasu/n/n83f0d0d82c26
15.~イマジンを聴きながらイマジンできない日本の縦割り組織を憂う~
https://note.com/poetyasu/n/n8903c83c541c
16.~RADWIMPSを聴きながらボロ泣きしながら「目を覚ませ!」と叫ぶ「立ち上がれ!」と叫ぶ~
https://note.com/poetyasu/n/neaf43243c014
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