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秋は映画音楽作りの季節?

Poetic Mica Drops音担当茂野です。
ここのところ私自身の活動、ある新作映画の音楽作りに追われていていました。
まだ作品の内容は公表できませんが、監督はY氏、原作は小説。ミッション系女子高校を舞台にした物語で、2人の女子高生を中心に、生徒間の人間関係、感情の変化、友情、憧れ、嫉妬、憎悪、孤独、心の傷を、鋭利な光りと影で描いていて、とても感じる作品になっています。
劇場公開は来年を予定。情報公開となった時点でまたお知らせします。

夏に撮影、秋に仕上げ

今までにたくさんの映画音楽を作ってきましたが、夏に撮影して、秋に仕上げに入る作品が多いことにあらためて気づきました。
仕上げとは、ポスプロとも言いますが、撮影後の映像の編集、グレーディング(色や画質の調整)、CG合成、サウンドデザイン(整音や効果音付け)、そして音楽作りです。
 
今回のY監督新作も今年の夏に撮影、秋から仕上げでした。
私にとって、秋は映画音楽作りの季節といってもいいのかもしれません。

ここで、夏に撮影、私が秋に音楽を作った映画をいくつかピックアップしてみます。

河瀬直美監督「萌の朱雀」

1996年夏に撮影、秋に音楽を仕上げた作品。1997年公開。
出演:尾野真千子、國村隼、他。
河瀬直美監督のデビュー作。1997年カンヌ国際映画祭にてカメラドール(新人監督賞)受賞。私にとって最も思い出深い作品の一つです。
私は撮影現場に何度か行き、現地の環境の中で音楽のイメージを作っていきました。
予告編がYouTubeに公開されています。


映画詳細

河瀬直美監督「殯の森」

このタイトル、もがりのもり、と読みます。
2006年の夏に撮影、秋から音楽の仕上げを進めた作品。2007年公開。
出演:尾野真千子、うだしげき、他。
このときは長期間撮影現場に滞在していました。ある重要なシーンの音楽は、撮影隊が森に行っている間に、実際に劇中に出てくる部屋のピアノで作っています。
ピアノのレコーディングは、撮影地の森の中で、夏の終わりに、当時11歳の天才少女が弾いています。
2007年カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞。


映画詳細

松永大司監督「トイレのピエタ」

2014年の夏に撮影、秋から音楽作りを進めた作品。2015年公開。
出演:野田洋次郎(RADWINPS)、杉咲花、他。
このときは、音楽が入りそう(または入れたくなりそう)なシーンの撮影現場になるべく行き、その場の雰囲気を肌で感じるようにしていました。
この作品、自転車で爆走したり、制服のままプールに飛び込んだり、ずぶ濡れで自転車を二人乗りしたり、青春映画の夏を象徴するシーンが満載なのです。
夏にそれらを撮影現場で見ていた私は、そのシーンを思い出しながら、まだ夏の匂いが残る秋に音楽を作っていました。


映画公式サイト
https://radwimps-members.jp/archives/toilet/


戸田彬弘監督「市子」

2022年の夏に撮影、秋から音楽作りを開始。2023年公開。
出演:杉咲花、若葉竜也、他。
この作品の撮影現場に立ち会うことはできませんでしたが、この映画の元になった舞台演劇作品「川辺市子のために」のときにも私が音楽を作っていたので、先行してイメージを膨らませていました。
舞台演劇、映画、ともに無戸籍問題という重いテーマを描いた作品ですが、映画化において、戸籍のない女性”市子”を演じる杉咲花氏から受ける印象が強烈に加わったことで、音楽は新しく発想して作った部分も多かったです。
ギラギラした夏の映像を見ながら音楽作りを進めた2年前の秋、残暑が残る季節、いろいろな記憶が蘇る作品です。


映画公式サイト

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