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詩「帰宅」のポエトリーリーディング
Poetic Mica Drops音担当茂野です。
今週は、現在制作中のアルバムから、収録候補「帰宅」を取り上げてみます。
この「帰宅」、今までライブでやったことはありましたが、CDや配信でのリリースはしていませんでした。今回のアルバムには収録してみたいと考えています。
「帰宅」詩の全文
ここで、詩を全文掲載してみます。一度読んでみてください。
人によってそれぞれ思い出は違いますが、切なかったり楽しかったり、幸せだったり辛かったり、様々な記憶がよみがえってくると思います。
「帰宅」
古い家へ帰る
とっくのむかしに家は取り壊されたので
それはきっと夢かなにかで
門扉に白い旗がびゅうびゅうはためき
その家が
いまはもうないことを告げていた
日当りのよい居間
むかしの猫が振り返る
縞模様の背中がひかる
こんなところにいたなんて
元気そうでよかった
最後おまえは
ずいぶん痩せてしまったものね
晴れた日は富士山のてっぺんが見える窓
姉が割った浴室のドア
絨毯のしみ
廊下に照りこぼれるまぶしい光
窓という窓をひらき
かよう風に耳をすます
どこかで誰かから聞いた言葉が
つむじ風になり天窓から抜けていった
古い家を出る
長居してはいけない
いつかまた
ひとりで帰る場所なのだと
はためく旗が告げている
2020年に出版された草間小鳥子の詩集「あの日、水の森で」にも「帰宅」は同タイトルで掲載されていますが、詩の言葉が一部違っています。興味のある方はぜひこちらもチェックしてみてください。
音楽違い、AとB
この「帰宅」をアルバム用の音源作品として仕上げていく段階で、音楽候補を2バージョン考えています。
人の記憶、心情を、少し切なく表現するか、やや温かく描くか。
メロと楽器違いで2バージョン作って、比較していこうと思っています。
先ずは「帰宅」音楽A。
楽器はしっとり系のエレキギターで、少し切なさを感じさせる方向で表現しています。ライブのときは、このバージョンでやっていました。
次に「帰宅」音楽B。
こちらはピアノです。少し温かさや嬉しさが感じられる方向として考えてみました。
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