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いのちのイメージトレーニング。

診断されてから尚のこと、私はうつ病患者になっていきました(まさに「病は気から」)。

起き抜けや、家族ために食事の支度をする夕刻、最も体調が悪くなりました。
朝のキッチンで、はたまた夕食の準備をしながら、何故だか涙が止まらない 。
夕刻は特に誰もいないので座り込んで嗚咽することもあり 。

朝は何とか起き上がり弁当を3つ作って、家族を玄関で見送ると、洗面所で吐き気がとまらなくなる(食べてないのでカラアゲというヤツです)。
私はこの時期にも小学校の読み聞かせ活動を続けていました。

痩せたので周りは心配してくれましたが。

そんな風に外出して人に会ったりしていると、突然からだじゅうの血液が逆流するみたいな不安感に襲われることがありました。
このまま痛みが良くならなかったら…という、ぐるぐる思考にも悩まされました。
抗うつ剤や安定剤は、多少は効いていたと思います。だけど症状を完全に取り除いてはくれなかった。もちろん痛みも。

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その頃は毎日の体調や気分を日記に書き留めており…日記はかなしみと不安と絶望の言葉であふれました(私は昨年、この日記をすべて処分したんです。もう二度と読み返すことはない!と確信出来たから )。

外気功を施してくれる治療院や鍼灸院にも通いました。

外気功とは施術者が手を当てて患者の悪い気を外へ出してくれ、痛みや不調を癒すという東洋民間治療のひとつ。

私は特定の宗教に帰依してませんし、スピリチュアルなものに触れた経験も皆無でしたが、その時は治るためには何でも試そうという前のめりな姿勢でおりました 。外気功も多分心理学的に有効なんだと思います。

「手当て」という言葉もあるくらいですから…。

その外気功の先生が施術後、
「あなたのカラダはどこも悪くない。ただ心がかなり弱ってる。自分を大事にしてくださいね」と言ってくれ、私はその場で子どものように泣いてしまいました (よい先生でした )。

漢方薬、ホメオパシー、アロマテラピー、ヨガ、こんにゃく湿布、胎盤注射、骨盤体操、冷え取り絹肌着、緑茶テラピー、元気の出るコトバを目に付くところに貼るetc.よいと聞いたもの、読んだものはなるべく試してみました。

 あの頃は治療のためにずいぶん散財したよなぁ… と振り返ると胸が痛みますが、人間、必死になると冷静さを欠きますね。

うつ病、更年期障害の書籍やブログなどを読み漁り 。似たような症状に悩んでいる経験者のブログにメールを送ったこともあります。

とにかく良くなりたかった。

痛みもうつ病も体調不良もいっぺんに消したかった 。
藁にも縋(すが)るとはこのことだと思いました。


そんな折、買い物ついでに立ち寄った書店で一冊の文庫本を見つけました。(一応、Amazonのリンクを貼っておきますね)

「いのちのイメージトレーニング」(田中美津/著)です。

イメージトレーニングって何?と、好奇心をくすぐられました。
パラパラと内容を眺めてみると、瞑想をしながらイメージを膨らませるトレーニングを続けることによって、ストレスやトラウマなどから自分を解放する方法が解説されている…ということがわかりました。

「藁にも」とりすがっていた私のこと。
どんなことにもトライしてみようと逆に開き直っていた時です。

ここで作者の田中美津さんのことを少し…。
田中美津さんは、70年代初頭のウーマンリブ運動の旗手として活躍。「それから大しておもしろくもない活動でさらにエネルギーが奪われ……もともと弱かった私のからだは一層ヨレヨレになってしまって……(本文より)」の状態でメキシコへ渡る。
4年の滞在後、日本へ帰国し鍼灸師に。そして、その後出会ったイメージトレーニングで体調の回復を実感。自らインストラクターも始めるようになったお方であります。

 田中さんの本には難しい言葉が一切なく。そのほとんどが語り口調で書かれている。
「そんなこと、気にしなくたって生きていける!必ず治るよ。大丈夫だよ」と、陽気な近所のおばさん(田中さんごめんなさい)に言われているような安堵感と親しみ、ぬくもりを感じて、私は繰り返しこの本を読みました(お風呂の中に持ち込んだりしていたので、今ではかなりボロボロに。)。

そして…私は田中さんの本を頼りに瞑想とイメージトレーニングを開始したのです。

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 田中さんの本には、まず、イメージトレーニングとは無意識下の自分に「ダイジョーぶだよ」という癒しの声を届けることだとありました。

 イメトレ(イメージトレーニング)はこうなったらうれしい自分、うれしい事態を先取りして深い呼吸と共に繰り返しよいイメージをする自己催眠法。
それによって、心だけでなく体をもポジティブにしていくという方法です。

 子どもの頃から空想癖が強く、ぼーっと空をみたり花畑 に座っていたりするのが好きだった私には「イメージ」という治療法があっているのではないかと直感的に感じました。

(食欲がわかず)たいした食事もしないから、当時の私には(家族を送り出せば)昼間に使える時間は豊富にあり。

 田中さんの本を傍らに置いて、ゆらゆらと風に吹かれて揺れる木になってみたり、イルカと海を泳いだりするイメージに集中しながら、ゆっくりと規則的に呼吸を続けることから始めたんです(本には具体的なイメージがたくさん載っています)。

田中さんは「すでに病から治った自分」としてトレーニングをしてほしいことを繰り返し書いています。
「治ったら嬉しい」ではなく「治ったからハッピー!」な自分が今ここにいることを感じる。


…って言われても…最初の頃は「どん底みたいなところに居る今の自分がハッピーな状態をイメージできるわけないでしょ?」と、本にツッコミつつ半信半疑でした。
でも、始めてみると…呼吸に合わせて木になって体をゆらすイメージではうっすら眠気がやってきたほどリラックス出来ました(最初から出来たわけではありません。続けていくうちにうまく出来るようになったのです)。

 毎日、だいたい昼頃の30分~40分をイメトレに当てました。調子が悪すぎて出来なかった日もありましたが、呼吸法だけでも続けていこうと思っていました。

そんな風に淡々と続けて数か月経ったある日のこと。
ちょっと不思議な体験をしたのです 。

(続)


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