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【詩】#36 夕暮れを集めて、夜明けとくっついて

病室から見える空は小さく
となりのビルは解体中だった
夕暮れは曖昧な言葉を重ねて
ベッドに近づいてきた
シーツは堅かった
髪が伸びていた
一か月くらい電話に出なかった
低い風が吹く時は散歩に出かけた
あの通りとあの木の間に橋を架けた
その橋を鳥たちが行き交うのがうれしかった
今まで入ったことのないカフェで町の途中を見ていた
コーヒーを注文した時なぜかかなしくなった
半分くらい飲んだところで
手紙の続きを書いた
書いているとわかるんだ
この手紙を出すことはないと
体中が痛いのだから
そろそろ帰らなくてはいけない
だけど映画も見なくてはいけない
ぼくは映画館で
小さな花を摘んでいた
片手で
橋の下にはいつの間にか川が流れていた
その川を眺めていると
星が集まってきた
おしゃべりな宇宙がぼくに囁く
あなたにわかるはずがない
だからもうやめてもいいのよ
そんなことを言われても
終われないよ まだ


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