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ここにラインですか

図書館で借りたのに読みきれず、かと言って買うほどでもなくて…。
そんな思いからメルカリで本を買った。

1400円の本が格安の400円だった。
少し破れているらしいけれど、カバーの傷なら気にしない。

ネコポスが届き、早速評価をしてから読もうとして、結構な棒線が引いてあることに気づいた。

鉛筆だったので消してから読み始めると、一部はボールペンだ。

このぉ〜!そんなこと状態の説明に書いてなかったわよ!と思ったが、他より格段に安かったんだし、棒線もそんなに多いわけじゃないから、気にしないでおくことにした。
中身が肝心なんだから。

ところで私は、つい2年ほど前まで、本にラインや書き込みは絶対しなかった。
最後まで綺麗に読みたいから。

それが読書会に参加するうち、書き込まないといられなくなり、これは教科書なんだと割り切ることにした。

でも今回のはそれとは違う。

他人の引いた棒線は、読んでいても目障りだった。

ところが、少し慣れてくると「え?あなたそこが大事なとこ?」などと会話するような気になってきた。

そいつがまた(そいつ呼ばわりして失礼)、ズレたとこにブレたラインを引いてる。

そして読み進んだあるところで、「あ、私もここ、大事だと思った!」と気の合うポイントがあった。

そして途中で読む気がなくなったのか、50ページあたりからラインは引かれなくなっていた。

「どうしたのよ、ここ大事なポイントじゃない?」と言っても、私の声は届かない。

またひとり孤独にラインを引きながら、続きを読んでいる。

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御手洗 育/暮らしのエッセイスト
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