結婚式が行われるオスマン帝国の首都ブルサへ/イスケンデル・ケバブの話など マルマラ海沿い街道の旅★2019(20)
オスマン帝国の古都・ブルサ
教え子の結婚式の前日、彼女の実家があるBursaに移動しました。
Bursaは人口順では巨大国際都市イスタンブール、首都アンカラ、エーゲ海の真珠と称えられる港町イズミルに続く、人口ではトルコ第4の都市です。
また、1326年から1365年までオスマン帝国の首都でした。
その前はYalova(↓)でしたが、その頃は国家というより部族集落だったため、ここBursaを《オスマン帝国最初の首都》と呼ぶ人も多いようです。
Bursaは下記の地図のように、マルマラ海から内陸に20 kmほど入った位置にある、人口230万人ほどの大都市です。
もともとは絹織物など繊維産業が盛んでしたが、最近ではトルコの自動車産業の中心となっています。なんだか日本の中京地区に似ていますね。
今回のブルサ訪問はもちろん結婚式出席のためですので、忙しい彼女の親族が観光案内しようというご好意はお断りして、リラックスして過ごしました。
実はブルサに来るのは2回目で、前回(2015年)にはいくらか街を歩いたので、この回はまず、その時の写真とエピソードを使ってBursaを紹介させていただくことにします。
2015年の9月初めに、友人Mが主催者となって、彼の大学で材料関連の学術会議が開かれました。会議が終わった後、親しい出席者を車に乗せて案内してくれたのがブルサでした。
トルコで1番美人が多い街(個人の感想です)
ブルサは2400 m級のウルダー山が近くにあり、冬はスキーリゾートとしても知られています。7月まで雪があるので水が豊富で、オリーブの木が至る所に植えられています。オリーブはほとんど手間が要らず、ひと月雨が降れば十分なのだとか。
友人によれば、冷戦の終了と共に、それまで《東側陣営》であったブルガリア(かつてオスマントルコ領内)から移民が流れ込んで来たそうです。ブルガリア人には優秀なエンジニアが多く、政府が彼らをブルサに移住させたのがきっかけで、この街で産業が発展したとのことです。
それだけでなく、シルクロードの西端の街として栄えたブルサは、歴史的にも移民が住み着きやすい街でした。このため、混血美人が多く、《トルコで最も美人の多い街》だそうです(もちろん、個人の感想です)。
── と友人が力説するので、キョロキョロしながら歩いていましたが、《なるほど感》はありましたね。
ブルサの名物料理・イスケンデル・ケバブ
「お前たちにぜひ、これを食べてもらいたい!」
と力説しながら連れて行かれたのが、有名な老舗レストラン「イスケンデル」です。海外からわざわざ食べに来る人もいるのだとか。
12時開店とのことで、30分ほど待っていましたが、後ろにどんどん行列が長くなっていく。食べ終わって外に出る時にはこんな具合(↓)に!
この店には、なんと料理は1種類しかない。もちろん《イスケンデル・ケバブ》です。お客の選択肢は、➀サイズ、と➁バターをかけるかかけないか、の2点のみ。
《イスケンデル・ケバブ》はブルサの名物料理で(以下、引用)、
作る工程はこの店を紹介したyoutubeを見ていただく方がいいでしょう:
「この店に来たら、バターをかけてもらわなきゃだめだぜ!」
と言うので、じゃあ全員それ! するとテーブルまでフライパンを持ってきて、《溶かしバター》をかけてくれる。
これは、それまでに食べたフツーのヨーグルトケバブに比べて、《濃厚》バターと《さっぱり味》ヨーグルトと《甘酸っぱい》トマトソースが混ざり合って、はるかに旨かった。
うん、キミが力説しただけのことはあったよ。
ところで、「イスケンデル」はこの料理を考案した職人の名前で、1867年に最初のひと皿が作られたそうです。
ちなみに、「アレクサンダー(大王)」と同じであり、「宇宙戦艦ヤマト」が向かう惑星「イスカンダル」も「アレクサンダー(大王)」にちなんで名付けられたそうです。
シルクロード終点の隊商宿《コザ・ハン・シルクバザール》
さて、お腹が一杯になったところで行くのは《コザ・ハン・シルクバザール》です。
この街はシルクロードの終点として、古くから絹糸・繭の取引がされてきたところですので、隊商宿(ホテル)がありました。
ここがそこ、1490年にベヤジッド2世が建てたキャラバンサライ(シルクロードの隊商宿)です。
建物の中は、「シルクバザール」というだけあって、絹織物の店がびっしりです。99%がイスラム教徒のトルコでは、絹のスカーフは必需品です。
観光客をトラップしようと店主店員が手ぐすね引いて待ち構えていますね。
ここで「奥さんにお土産のスカーフを買うべし!」などと言われても、過去にさんざん「美的センス」を罵られてきましたからね……。平和のため、何も買わないことにしてマース。
さて、今回は(今回も)少々脇道に逸れました。
次回は新婦の自宅を訪ねます。