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信州蓼科の旅(5)雨天は承知で再び出かけ、互いが知らなかった家族話を発掘!(旅で★深読み)

9月中旬に2泊+2泊の蓼科の旅に出たことは既に書きました。

10月の初めに再び、しかも出発の翌日翌々日と雨が降るのをわかっていながら出かけたのは、出稼ぎ中の次女が短い帰国日程の中で合流可能なのが、ピンポイントでこの日程のみだったからです。

曇天の諏訪湖(中央道SAより)

茅野駅で娘をピックアップして、昼食はレストラン「竜神亭」へ。
蓼科は、東急グループが持っているリゾート地区、三井グループが持っている地区、トヨタグループが持っている地区、など《群雄割拠》のようで、「竜神亭」は、広大な「三井の森」内にあります。

ランチはコースまたは帝国ホテルのカレーの選択、コースのメインは、魚、肉、ハンバーグから選ぶ仕組みです。
私は仔牛のカツレツデミグラソースがけにしましたが、なかなか美味でした(写真撮り忘れ)。いわゆる、薄く叩いた牛肉を揚げた「ウィナーシュニッツェル」とは異なり、かなり厚めの肉の、つまりはトンカツ風のカツレツで、ソースも実は「デミグラ」などではなく、何やら複雑な名前が付いておりました。

食後はすぐ脇にある竜神池の周りを少し散歩。
やはり天気がイマイチなので、人影は疎らです。

曇天の竜神池

早めにホテルにチェックイン。
今回は本館から少し離れたコッテージを予約しました。
連泊なので、例によって「清掃不要!」と申告すると、ここはうれしいことに、宿泊費から500円値引きしてくれました。

小雨も降り始め、コッテージから靴を履き傘をさして本館の温泉にでかけるのはやや面倒ながら、悪天の日はお客が少なくお風呂がすいているうれしさもあります。

この宿の露天風呂からは八ヶ岳が眺められるのですが、残念ながら、雲の向こうです。

いつもはこの向こうに八ヶ岳が見えるのですが……。

今回も夕食は宿に頼んでいないので、自宅から持参したビールとワイン、生ハム+キュウリ、海苔巻きアラレなどをコッテージの2階に並べ、ささやかな家族《Reunion》宴会を始めました。

娘は帰省しても仕事などほとんど自分の話をしないのですが、この日はけっこう吞んだせいか、昔話を始めました。
(ちなみに、アフリカの仕事場で5週間ぶっ続けの「Camp生活」に入ると、酒は1滴も吞めないとのこと)

中学3年の時、部活の前に腹が減るので買い食いしていたら、先生に叱られた ── なぜそれがいけないのか、まったく理解できなかった、と言う。
なぜいけないのか、と先生に尋ねても満足がいく答えはなく、反省の色がないとして目を付けられていたそうだ。

「あ、それ、俺と一緒じゃん!」
と同じ市立中学の30年先輩として、下記の経験談を話すと……

私は中学3年の時、毎週学校の塀を乗り越えて校舎横のユニーに出店していた「寿がきや」で昼ラーメンを食べていました。
それを学校に言いつけた裏切者がいて、職員室で正座させられた上、
「内申書に《素行不良》、と書くぞ!」
と教師に脅されました。
この程度で《素行不良》とは、ひどい話です。

https://note.com/pochipico/n/nf852d383c52c

「キミ(と父親のことを呼ぶ)の場合、塀を乗り越えたことに問題があったんじゃないの? アタシは買い食いだけだから、話が違うよ」
と冷たくのたまう。

「母親(=私の妻)も煙たがられていたしね……」
と、彼女が娘の成績の事で音楽教師に文句を言いに行った話も話題に出ました。
「だって、テストはいいのに成績がひどいんだもん、当然行くでしょ」
「いや、あれは仕方ないよ。だって、アタシ、音楽の時間にみんなと一緒に歌、歌わなかったから」
「え! なんで歌わないの? ……知らなかった!」
「ただ、歌いたくなかったから」
── このように、歴史の陰に埋もれていた事実が出てきます。

「いや、そんなの、大したことないよ。お母さんが『要注意人物』視されたとしたら、お前の入学前の説明会だよ」
「え、何があったの? アタシ、その話、聞いてない!」


中学入学の2週間ほど前に、父母を集めて講堂で説明会がありました。妻と並んで、私も久しぶりに母校に足を踏み入れたので憶えています。
制服や校則のことなどが説明された後、質問はないか、と尋ねられました。
「ハイ!」
すぐ隣の人物、つまり妻が、ただひとり、手を挙げました。

「クラスの名簿って、どういう形式でしょうか?」
「は?」
説明にあたっていた教頭だか教務主任だかは、明らかに戸惑っていました。
「……えーっと、アイウエオ順ですが……男子が先に来て、それから女子で……」
── まあ、そうでしょう。

妻は尋ねました。
「どうして男子が先なんでしょうか?」
「はあ?」

おそらく、そんなこと、彼らは考えたこともなかったでしょう。
「……どうしてって聞かれても、ずっとそうなので……特に意味はなく……」
「特に意味がなければ、女子が先の学年があってもいいはずですね?」
「……はあ」
彼らはただ、顔を見合わせるばかりでした。

妻は、
(こりゃだめだ、こいつらに何言っても)
と思ったらしく、
「── けっこうです」
と着席しました。


(妻はいやがっていましたが……)
私がその話をすると、娘は、
「へえ……初めて聞いた。お母さん、やるじゃん!」
と顔をほころばせました。

(うーむ。オレは「キミ」だったのに……)
少々不満ではありましたが、私もその時、妻を誇らしい気持ちになった(少々恥ずかしくもあり……)ことを想い出しました。

「でも、あの時、もう少し踏み込むかな、って思ったんだけど、あっさり引き下がったよね」
今さらながらにそう言うと、
「だって、ヤツラ、何も考えてないっていうのがわかったんだもん。それ以上相手にするのは時間の無駄でしょ!」

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