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コメディ礼賛 (4)漫画「世直し源さん(「ヨシイエ童話」より)」 《国会議員》の本質を突く
まもなく自民党の総裁選挙、そして、衆議院選挙がある。
選挙後の国会では内閣総理大臣指名選挙が行われ、選ばれた総理大臣が国務大臣を指名する。
憲法第68条1項により、国務大臣の過半数は、国会議員から選ばれなくてはならない。しかし、現実には、多くの場合、その全員か、ほとんど全員が国会議員から選ばれている。
その理由は、悲しいけれど、誰の目にも明らかな、きわめてレベルの低い動機に起因する。それどころか、憲法に規定のない副大臣ポストまで法律で作り、国会議員を(必ずしもあてなくても良いにもかかわらず)あてている。
下図は、ステテコと腹巻を常時着用している、《世直し源さん》こと、本田源太郎総理の改造内閣である。
憲法で制約のある半数きっかりは国会議員から選んでいるが、残り半数は非・国会議員である、《その道のプロ》を指名している。
(女性閣僚が少ない点は批判があるかもしれない)
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61717876/picture_pc_371430b7369710afc6dcc2c11f5c9a6c.jpg)
業田良家のコメディは傑作ぞろいだが、《世直し源さん》は日本の政治システムの本質を突き、かつエンタメとしても一流の作品である。
《源さん》総理も、最初の内閣では国会議員から国務大臣を選んだ。だから、《第一次本田源太郎内閣》の集合写真は、こんな感じだ:
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61720759/picture_pc_2f5eb8ffe387b955ed1010a2f03ce23a.jpg)
《源さん》はおそらく、《選挙で選ばれた国会議員》という人たちの《本質》を見抜いたのだと思う。これは、個々の《人間》の《資質》や《能力》、《倫理》などではなく、システムとしての問題である。
つまり、《選挙》で選ばれる《国会議員》は、本質的に、自分の《支持者》のために仕事をする人たちなのだ。だから、政党も、《支持者》の数が得やすい人を候補者にする。政治家の二世三世、タレント・スポーツ選手などの有名人が候補になるのは、必然である。国務大臣向きの能力があるから選ばれるわけではない。
下記のように、「山田村」の《支持者》から頼まれ、「山田村」の発展のために尽力するのは、「山田村」を地盤とする《国会議員》として、当然のことなのだ。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61722688/picture_pc_5b81d204a496db753a01e533e5befa43.jpg)
そこで、《源さん》はふたつの手を打った。
ひとつは、上記のように、改造内閣では、国務大臣の半数は非・国会議員とし、ポストに対してベストな人材を選ぶことにした。
国会議員が選挙に勝ったのは、専門家としての見識があるとか、マネジメント能力の高い人だっただからではない。一定数の支持者がいたからにすぎない。
もちろん、従来、その中では相対的に能力の高い人が国務大臣に指名されるのかもしれないが、あくまでも《政権党国会議員内でのベスト人材》であって、《ユニバーサルなベスト人材》ではない。
もうひとつは、《国会議員》と《支持者》との結び付きを断ち切り、国会議員に、本来の《日本全体》について考えてもらうため、《議員性根たたき直し法案》を提案し、成立させることである。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61722501/picture_pc_89cca1432264281e787167f3cd80bac2.jpg)
この法案の骨子は、国会議員の年俸を(当時の)落合博満選手なみに上げ、その代わり、政治献金禁止を含め、《国会議員》と《支持者》との、あらゆる接触を禁じるものである。
もうひとつ、重要な《骨子》があるが、それはここで言わない方がいいかもしれない。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61724430/picture_pc_5ce52648bb6d6ad7e6c1a2f68e6bf430.jpg)
上図のように、《源さん総理》の活躍で、多くの国会議員の《性根》はたたき直されつつあるが、《支持者》は収まらない。
この法案は、《国民》の大々的な反対に遭い、国会には(トランプ支持者を連想させる)デモ隊に襲われる。しかし、《国民》と称するのは、実は《支持者》たちであり、《圧力団体》の集合体なのである。
我々は、この《支持者》を《国民》と《言い換え》る論法に、常にさらされていることも、《源さん》は看破している。
そして、《源さん》は、この《国民》と称する人たちと、素手で戦うのだ。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61724106/picture_pc_c0cbed1df9f9fae1bf79b694c5f5ce6f.jpg)
もちろん、作者は、これが《童話》であり、こうはならないことをよくわかっている。
でも、総理大臣も、国会議員も、本当はよくわかっているはずだ。
彼ら自身も、《日本》というシステムの中で身動きができなくなってしまっている。
与党はもちろん、野党も誰も言い出さないのが不思議で仕方がない。
現有憲法の中で、最優先で改正しなくてはいけないのは、
《憲法第68条1項》
だと私は思う。
《国会議員》には《立法府》でしっかり仕事をしていただき、各《国務大臣ポスト》には、マネジメント能力に優れた《国内ベスト人材》を充てて欲しい。
さらに言えば、せっかく作った《副大臣ポスト》には《当代一流の専門家》を充て、ベスト・マネジャーとトップ専門家のコンビネーションで、《優秀な官僚》が力を発揮できるようにリードして欲しい。
もちろん、《国内ベスト人材》が、たまたま国会議員の中にいれば、就任をお願いすれば良い。
ただし、その場合は、総理大臣ともども、国務大臣就任期間は国会議員資格を停止するのが賢明なシステムと思う。その期間は、《支持者》によって選ばれた《立法府》の一員ではなく、100パーセント《行政府》の人間として、仕事をしていただきたい。
そうなれば、現職の総理大臣すら、「桜を見る会」でその《支持者》に気を使わねばならないようなことは減らせるはずだ(ホントかな? でも、そうであって欲しい)。
《源さん総理》が行ったように、《議員性根たたき直し法案》で全国会議員を《支持者》と切り離すのは困難だが、せめて総理及び国務大臣を切り離すため、国会議員資格を停止するのである。