
マハラージャン『蝉ダンスフロア』に揺れる
ここ最近、マハラージャンの『蝉ダンスフロア』ばかり聴いている。
もうね、10年ぶりの雪国の冬が、きつすぎるの。
無理。
寒すぎるし、雪やばすぎ、道こおりすぎ、運転こわすぎ。
「すぎ」をつけても全然言いすぎてない、なんなら足りないくらいだよ。
初雪が降ったあたりの、余裕があった頃の記事なんて、はるか昔のことのよう。
そんな時代もありましたわ。
あたしゃ今もう小難しいこと考えらんないです、スタミナもメンタルも朝イチの雪かきで全て無に帰すんだもの。
無理。
……まあでもそうばかりも言ってられず、今はここで生きてゆかねばならんので、何とか小さな楽しみで命の炎をつないでいく必要がある。
そこで今ゾッコンなのが、マハラージャンの『蝉ダンスフロア』だ。
んまーーーそのなんと耳心地のいいこと。
寒かろうが、疲れていようが、流れれば無条件に身体がゆれだす名曲だ。
冬に蝉の歌を聴く季節感のなさもなんのその、一度聴けば耳はそのトリコ、寝ても覚めても
ミーン、ミーン、ミーン♪
と鼻歌まじりに小躍り、てな具合だ。
本曲の歌詞が、音としても物語としても風景としてもものすごく好きなのだが、中でも冒頭のこの詞がお気に入りだ。
3年間は土の中で
さらに2年の我慢して
地上へ這い上がって
愛を求めて飛び回る
土の中で「その時」を待つ蝉の辛抱強さに、わたしの今の雪国での日々を重ねているところがある。
さすがに3年も2年も待てはしないが。
蝉の生涯をなぞりながら感じる、我慢と、開放と、刹那の色っぽさ、7日間の切なさといった移ろいが鮮やかで大好きだ。
とにもかくにも、あたしゃ今すこし疲れ気味なのかもしれない。
寒さで心身があまり動きたがらないし、動いたら動いたでその消耗はいつもよりも激しい。
まだ先日味わったSNSでの恐怖を引きずっているし、まあいろいろあって人間の怖さも再確認しちゃったりとかして、いろいろと、溜まっているものがあるみたいだ。
だから今は、目を閉じて心地よい音楽に身をゆだねていたい。
小難しいことは置いといて、ただただ好きに揺れていたい。
感じるままに踊っていたい。
蝉が地上に出るのを待ちわびるように、
わたしは雪どけの日を待ちながら、
今は『蝉ダンスフロア』だけを聴いていたいのだった。