book #8 「そして生活はつづく」と、オモシロガル の話。
・人生の転機には…
振り返ると、私の人生の転機にはいつも、音楽と本との出合いがある。人生の中に一定期間のどん底があるのならば、自分史の2番目の「奈落の底」で出会ったのが、星野源さんとその作品たちだった。(ちょうど8年ほど前、実家が被災し東京と熊本を行き来する生活をしていた時に支えられた。)
「頑張って!」とか「大丈夫!」とかそんな無責任な励まし方はしない。現実はものすごく泥臭く、杞憂で、苦しみや憤りを含めた喜怒哀楽に満ちている、と。だからこそ、生活とどう向き合うのか。ただ過ぎゆくままに生きるのか、苦しみに朽ちるのか、それとも面白がるのか。
あぁ、「つらい、苦しい、地獄だ」と口にしていいんだ!と、優等生ぶる生き方しか知らなかった私には、衝撃だった。そして肩が軽くなった。
自分の弱さを見つめたり、ムダの中に意味を見出したり、生きづらさを芸の肥やしにしたり。
決して腐らず、きれいごとも言わず、しっかり誠実にヒトにもモノにも接する優しさと強さが、曲から本から伝わってきて、ヨワヨワの私にものすごく響いたことを思い出す。
最近は、伊集院光さんの本から「日々を面白がる」ことを学んでいるので、ふと過去の自分と源さんのことを思い出しながら再読 。
・【スキの抜粋】↓
『今まで自分が受けてきた嫌なことや、ストレス、怒り、不満などによって私はいつしか屈折した考え方をするようになった。しかし、そこから生まれたアイディアを原動力にものを作ってお金を稼ぎ、ご飯を食べているという部分もあるにはある。』
『みんなばらばらでいいじゃないか。そう思えるようになってからはずいぶんと楽になった。それまでは周りにうまく合わせられないことに罪悪感を感じていたのだけど、そのときから集団の中でひとりになることを堂々と楽しめるようになった。
本当に優秀な集団というのは、おそらく「ひとつでいることを持続させることができる」人たちよりも、「全員が違うことを考えながら持続できる」人たちのことを言うんじゃないだろうか。』
『てっきり悲しい思い出ばかりだと思っていたのに、実際に思い起こされるエピソードは親にだまされ遊ばれたという、バカで、くだらなくて、楽しいものばかりだった。私はそういったことをほとんど忘れてしまっていた。
そして、学校での辛い体験を思い出さないようにすることで痛みを増長させ、「私は心に傷を負った人間です」と思い込もうとしていたのだ。』
『でも不思議だったのは、本を読みながら帰宅したときも起きたら詞ができていたときも、気絶してしまったときも全て、無意識な自分から目覚めた瞬間、なんだかスッキリして気持ちよかったということだ。
一度眠ると小さい悩み事はすっかり忘れてしまうようにわ無意識になることで現実の問題を乗り越えたり整理したりする効果が、もしかしたらあるのかもしれない。』
『「あなたも私もないように」というのは、おそらく私が舞台やライブ会場で感じた、自分がなくなったという感覚と同じものなんじゃないか。自分だとか他人だとかいうことがどうでもよくなる瞬間。それは仕事や日常をよりよく過ごすためのヒントではないかと思う。』