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自分の不眠タイプに合った漢方薬をみつけよう

「明日の朝早いのに、なかなか寝つけない…」
「何回も目が覚めて、寝た気がしない」
「なぜか早朝に目が覚めてしまう」
「睡眠時間のわりに、熟睡した感じがしない」

人生の1/3を占めると言われる睡眠ですが、あなたは質の良い睡眠がとれていますか?

睡眠は、たまった疲労を回復し、エネルギーを節約できるのでとても効率のよい休養です。
しっかり休養をとって、起きている時間は元気に活動したいですよね。

今回の記事では、以下を中心に解説します。

  • 不眠のタイプ

  • 不眠の原因

  • 不眠の対処法

ストレスや疲労の原因にもなる不眠を知って、自分にあった対処法を見つけましょう。


不眠にはどんなタイプがあるか

不眠を想像すると、寝つきが悪いことを想像することが多いかもしれません。

実は、不眠には4つのタイプがあるので、下の表で確認してみましょう。[1]

厚生労働省の健康実態調査結果の報告によると、中途覚醒を感じる人が最も多く、続いて熟眠障害、早朝覚醒、入眠障害の順です。[2]

睡眠時間については、6時間以上7時間未満が最も多くなりますが、個人差があるので基準とは言い切れません。
10時間ほど睡眠をとる人や、3時間程度で十分というショートスリーパーの方もいます。

日中を元気で快適に過ごせる、自分に合った睡眠時間を確保することが大切です

不眠の原因を知ってみよう

なぜ、不眠になってしまうのでしょうか。
不眠の原因は人それぞれで、1つとは限りません。

不眠の原因を突き止め、その原因に対して対処することが重要なポイントです

不眠の原因として考えられることを、表にまとめましたので、参考にしてくださいね。[3]

寝る前のスマートフォンなどは、目が覚めてしまい、寝つきが悪くなると厚生労働省から注意喚起されています。[4]

ふとんに入ってからスマートフォンを見るという方が、かなり多いのではないでしょうか。
良質な睡眠をとるためにはおすすめできません。

漢方薬は効果的?不眠への対処法4つ

思い当たる原因がある場合は、その原因を改善することを最優先に考えましょう。

それでも、不眠の症状が続く場合には、さらなる対策が必要です。

今回は4つの対処法を紹介します。

①生活改善、環境を整える

睡眠には、自律神経が深く関係しています。
自律神経を整えることで、不眠の改善にも。

  • 規則正しい生活リズムを心がける

  • 寝る前の飲酒、喫煙をさける

  • 適度な運動をする

  • 朝、目が覚めたら日光を取り入れる

  • 寝る前に、スマートフォンを見ない

厚生労働省は、健康づくりのための睡眠指針として、上記を含めポイントを示しています。

睡眠の質を良くするコツを知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
自律神経と睡眠をつなぐ深い関係、眠りの質を高める5つの秘訣

②市販薬・サプリメントを摂る

薬局やドラッグストアで購入できる、医薬品やサプリメントを活用する方法もあります。

市販薬として代表的なのは、ジフェンヒドラミンという成分の睡眠改善薬です。

あくまで「一時的な不眠」の薬であることが、効能効果に書かれています。
2〜3回服用しても改善しない場合は、薬剤師や登録販売者に相談してください。

またサプリメントとして、アミノ酸のグリシンやGABAが使われた機能性表示食品が販売されています。


機能性表示食品は、健康によい効果の表示が可能ですが、特定保険用食品(トクホ)とは異なり届出だけで審査はありません。

上記の2つは機能性表示食品ですので、不眠の診断、治療、予防を目的としたものではないことを知っておきましょう。

アミノ酸だからと多く摂ることで、睡眠が改善するものでもないので注意してくださいね。

GABAは血圧を下げる働きがあるアミノ酸ですので、血圧の薬を飲んでいる方は薬剤師に相談しましょう。

③漢方薬で体質改善

不眠には、漢方薬もおすすめです。

いわゆる睡眠薬と異なり、漢方薬には直接眠らせるという働きはありません。
体の中の不眠の原因を解消することで、自然に眠れる体質へ改善してくれます。

不眠治療に使われる代表的な漢方薬を、表にまとめてみました。

それぞれの特徴を紹介していきますね。

イライラして眠れない時に「抑肝散加陳皮半夏」

神経の高ぶりを抑える抑肝散(ヨクカンサン)という漢方薬に、胃腸の働きを助ける「陳皮」と「半夏」を加えたものが、抑肝散陳皮半夏(ヨクカンサンチンピハンゲ)です。

【こんな症状におすすめ】
嫌なことをついつい思い出し、気になって寝つけない。[5]

疲れすぎて眠れないときに「酸棗仁湯」

酸棗仁湯(サンソウニントウ)は、興奮や緊張を和らげる「酸棗仁」など5種類の生薬で作られている漢方薬です。

【こんな症状におすすめ】
心も体も疲れきってしまい、途中で目が覚めてしまう、ぐっすり寝た感じがしない。[6]

貧血の方が不安で眠れないときに「加味帰脾湯」

帰脾湯(キヒトウ)に、心と体を落ち着かせる「柴胡(サイコ)」と「山梔子(サンシシ)」を加えた漢方薬が、加味帰脾湯(カミキヒトウ)です。

【こんな症状におすすめ】
からだの疲れが影響し、不安感から、眠りが浅く熟睡した気がしない。

冷え体質のイライラ不眠に「加味逍遙散」

更年期の症状で処方されることの多い、加味逍遙散(カミショウヨウサン)。
のぼせやめまい以外でも、神経の高ぶりを抑えイライラや不安なども抑えます。

【こんな症状におすすめ】
疲れやすい体質で肩こりもあり、イライラや不安から、なかなか眠れない。

④専門のクリニックや医院に受診

不眠の原因として、体やこころの病気があることは紹介しました。
原因となる病気を治療することは、不眠を改善する近道です。

体やこころの病気を治療するために、かかりつけの医療機関や専門のクリニックの受診も検討してください。

不眠には漢方薬も選択肢のひとつ

今回の記事では、以下について解説しました。

  • 不眠のタイプは「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」

  • 不眠の原因は、ストレスや病気、薬物、環境など様々でひとつとは限らない

  • 不眠の原因を探り、対策することが不眠改善のポイント

  • 4つの対処法は「生活改善」「市販薬やサプリ」「漢方薬」「受診」

  • 漢方薬は、自然に眠れる体質へ改善する

不眠の症状がつらく、日常生活に支障が出ている場合は受診が必要です。

病院にいくほどではない、忙しくて病院にいけない、でも「不眠をなんとかしたい」、「体質を改善してすっきり眠りたい」という方は、漢方薬を試してみるのはいかがでしょうか。

医師や薬剤師に相談して、自分にあった漢方薬を提案してもらいましょう。


【参照】

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット > 休養・こころの健康 > 睡眠と健康 > 不眠症

[2]令和2年度 健康実態調査結果の報告,p22,令和3年1月,厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

[3]Suimin.net > STEP1 睡眠や不眠について知る > 睡眠障害の原因

[4] 健康づくりのための睡眠指針2014,p10,厚生労働省

[5]漢方セラピー > 漢方薬を選ぶ > 漢方薬名解説 > 抑肝散加陳皮半夏

[6]ツムラ> 漢方について > ツムラの漢方処方解説 > 酸棗仁湯(サンソウニントウ)

[7]ツムラ> 漢方について > ツムラの漢方処方解説 >加味帰脾湯(カミキヒトウ)

[8]ツムラ> 漢方について > ツムラの漢方処方解説 >加味逍遙散(カミショウヨウサン)

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