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「疲労回復」と「野菜」の意外な関係

実は、疲労回復に逆効果な野菜があるって知っていますか?

野菜といえば、ビタミン豊富で、疲労回復に良いというイメージをお持ちですよね。
疲労回復したいのに、逆効果な野菜を摂ってしまっては意味がありません。

疲労回復に効果的な野菜と、逆効果な野菜についてしっかりと理解することが大切です。

この記事では、薬剤師が以下について解説します。

  • 疲労回復のための野菜とは何か

  • 野菜のどんな栄養素が疲労回復に良いのか

  • 本当に野菜は疲労回復につながるのか 

野菜に含まれる栄養素を知り、効率的に疲労回復させましょう!


疲労回復するための野菜は?

まず食品の中で、野菜の位置づけを確認していきましょう。
小学校や中学校の授業でも使われている、「3色食品群」と「6つの基礎食品群」です。[1]

  • 「3色食品群」・・・体の中でどんな働きをするのか「赤・緑・黄」に分類

  • 「6つの基礎食品群」・・・バランスよく摂ることを目的に「3色食品群」をさらに6つに分類

下の表に、食品に含まれている栄養素の分類である「3色食品群」と「6つの基礎食品群」をまとめてみました。[2]

この中で、野菜は以下のように分類されるのがわかります。

  • 「3色食品群」では、緑の「体の調子を整える」

  • 「6つの基礎食品群」では主に「第3群 緑黄色野菜」と「第4群 淡色野菜、果物」


カロテンを豊富に含む「緑黄色野菜」

「6つの基礎食品群」の「第3群 緑黄色野菜」に分類される代表的な野菜は以下に示します。
緑黄色野菜と聞くと、なんとなく鮮やかな色の野菜を想像しますよね。

緑黄色野菜:アスパラガス、かぼちゃ、トマト、にんじん、ピーマン、ほうれん草など

文字通り、緑や黄色、赤など色の濃い野菜というイメージですが、「原則として可食部100g当たりカロテン(カロチン)含量が600マイクログラム(μg)以上の野菜」と定義されています。[3]

疲労とカロテンの関係について詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
旬の野菜を摂って疲労回復!おすすめ野菜を紹介

ビタミン・ミネラルが豊富な「淡色野菜・果物」

「6つの基礎食品群」の「第4群 淡色野菜、果物」に分類されるのは以下になります。
緑黄色野菜とは対照的に、色が薄い野菜を想像することが多いですね。

淡色野菜:キャベツ、きゅうり、ごぼう、大根、白菜、ねぎ、れんこんなど
果物:いちご、なし、バナナ、みかん、りんごなど

実は色の濃淡ではなく、緑黄色野菜以外の野菜は淡色野菜に分類されます。

野菜に含まれる疲労回復の栄養素

「緑黄色野菜」と「淡色野菜・果物」の栄養素の特徴をおさえておきましょう。
日本医師会ホームページの「健康の森」で紹介されています。[4]

野菜は、たくさんのビタミンやミネラルを含んでいることがわかりますね。

ビタミンA、ビタミンC

緑黄色野菜や淡色野菜に含まれるビタミンAやビタミンCは、体内の活性酸素を減らす抗酸化作用があります。

活性酸素は、細胞などを酸化することで疲れの原因に。
ビタミンAやビタミンCが酸化を防いでくれることで、疲労回復につながります。

疲労と活性酸素の関係について詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてください。
>>そもそも疲労ってなに?疲労の種類と原因を解説

ビタミンB1、ビタミンB2

緑黄色野菜や淡色野菜、果物に含まれるビタミンB1、B2は糖質や脂質をエネルギーに変える働きがあります。

ビタミンB1、B2はエネルギーを作るのに必要な栄養素です。
糖質や脂質と一緒に補給することで、エネルギーを作り出し疲労回復させてくれます。

こちらの記事で、ビタミンと疲労回復について詳しく説明しています。
>>疲労回復に必要なビタミンの働きを薬剤師が解説

ミネラル

緑黄色野菜や淡色野菜、果物に含まれるミネラルは、連携して体の機能を維持しています。

ミネラルをしっかり補給することで、体の機能が維持され疲労回復するというメカニズムです。

ミネラルの働きについて詳しくはこちらの記事から。
>>納得!「バランスよい食事」と「疲労回復」の関係

疲労回復には野菜も含めバランスが大切

野菜には、たくさんのビタミンやミネラルが含まれていることがわかりました。
では、野菜だけをたくさん食べていれば疲労回復できるのでしょうか?
疲労回復のためには、5大栄養素をバランスよく摂ることが必要になります。
5大栄養素をバランスよく摂ることで、効率よくエネルギーを産生できるからです。
食品であれば、「6つの基礎食品群」から1日30品目以上を選んで、バランスよく食べるようにしましょう。
おおまかな料理例であれば、「食事バランスガイド」で5つの料理グループを食べることがポイントです。[5]


引用:農林水産省 食事バランスガイドについて

食事バランスガイドとは、1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いか、コマでイメージしたイラストです。

それぞれの料理グループをどれだけ食べたら良いのかの量は、1つ(SV)、2つ(SV)で数えていきます。

例えば、果物1日分は2つ(SV)なので、朝にみかん1個、夜にりんご半分を食べると2つ(SV)となり1日分を摂ったことになる計算です。

野菜も含めて、バランスよい食事を摂ることが疲労回復につながります。

疲労回復にこんな野菜は逆効果?

野菜が疲労回復に良いことはわかりました。
ただし野菜を摂る上で、注意してほしい点もあります。
時には、野菜を控える必要があるので気をつけましょう。
体調の悪いときに、水に溶けにくい不溶性食物繊維を多く含む野菜を食べると、胃腸に負担をかけてしまいます。


【不溶性食物繊維を多く含む野菜】

  • にら

  • れんこん

  • 春菊

  • きのこ

  • ごぼう など

体調の悪いときは、不溶性食物繊維よりも水溶性食物繊維を多く含む野菜を食べるようにしましょう。[6]
水溶性の食物繊維は、腸への刺激が少なく、さらに腸内環境を整えてくれるからです。


【水溶性食物繊維を多く含む野菜】

  • 大根

  • にんじん

  • 白菜

  • ほうれん草

  • かぼちゃ など

疲労回復には野菜を取り入れた食事を

今回の記事では、以下のことをお伝えしました。

  • 疲労回復するための野菜は、「緑黄色野菜」と「淡色野菜」

  • 「緑黄色野菜」はビタミンA、ビタミンC、カルシウム、鉄、ビタミンB2の供給源

  • 「淡色野菜」はビタミンC、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンB2の供給源

  • ビタミンAやビタミンCには、抗酸化作用がある

  • ビタミンB1、ビタミンB2には、糖質や脂質をエネルギーに変える働きがある

  • 野菜も含めて、バランスよい食事を摂ることが疲労回復につながる

  • 体調が悪いときは、水に溶けにくい不溶性食物繊維を多く含む野菜を避ける

ポイントは、食事前に、サラダやおひたしなどの野菜が食卓にあるのか確認することです。
バランスよい食事で、野菜の栄養素をしっかり摂り、疲労回復しましょう!

【参照】

[1]小学生・中学生向け食事バランスガイド活用事例集,農林水産省

[2]特定保健指導の実践的指導実施者研修教材 [1] 「食生活改善指導担当者テキスト」(3)栄養指導,厚生労働省

[3]e-ヘルスネット > 健康用語辞典 > 栄養・食生活 > 緑黄色野菜

[4]日本医師会 あなたの健康を応援する「健康の森」健康になる 食品群

[5]e-ヘルスネット > 栄養・食生活 > 賢く食べるためのコツ > 食事バランスガイド(基本編)厚生労働省

[6]持田製薬,Enjoy Food編 Chapter 2 調子が悪い時の食材選びのポイント


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