SDGsの背景にあるもの
こんにちは、CMC Language Services*のマッケニーです。
前回の記事、「CSRはどこかへ行ったの?」では、私が翻訳者として不思議に思うぐらいCSRというキーワードが使われなくなってきたというテーマに触れたが、今回は、CSRの背景ついて少し触れてみたいと思います。
ご存じの方も多いと思うが、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念はずいぶんと昔からあります。欧米系でいうと、世界恐慌(せかいきょうこう、The Great Depression)の影響を大きく受けた1930年代には、既に企業の存在意義や会社取締役が持つべき社会的責任が議論されていました。その有名な一例として、「バーリとドッド論争」があります。
この「バーリとドッド論争」は、第32代アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトの代表政策、「ニューディール政策」に大きく貢献した人物として知られている弁護士のアドルフ・A バーリ(A.A. Berle)と、ステークホルダー理論の生みの親として知られている同じ弁護士のマーリックドッド(Merrick Dodd)との間で繰り広げられた論争です。その論点が「会社とは何のために存在すべきか」でした。簡単にまとめると、バーリ氏は企業は社会のためにあるべきというスタンスに対して、ドッド氏が真っ向から意見で、企業の責任は利益を追求することにある、と言えます。
でも実はそのもっと昔から、日本人なら一度は聞いたことがあるかもしれない、「三方良し」というあります。三方良しという表現自体はわりと現代のもので1980年代から使わられるようになったそうだが、その言葉に込められている考え方や理念は江戸時代から受け継がれていると思われています。
CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉は1953年代にアメリカの経済学者H.R.ボーエンが初めて使ったと言われているが、CSRが経営に導入すべき考え方として大きく認識され、「概念」から目標へと成長したのは、グローバル化の第3波のはじまり、1970年代後期からです。
これは世界規模で経営を展開する企業が増える中、その物流や経済活動に伴うインパクトがあるという認識が広がり始めた時代とも言えます。利益のみ追求では環境・社会・人は守れられないという現実と持続可能な社会を創る必要性が共通意識として受け入れられるようになったことが、CSRを形へと進化させたといえるでしょう。
その進化の形の一つ、今や大きく知られているSDGs(Sustainable Development Goals)の前身である、MDGs (Millennium Development Goals)でした。
そこで、次回はこのMDGsとSDGsの背景にも触れて、その次にはこれらとCSRと関係も見てみたいと思います。