クレームは宝の山-3〜沈静化後の社内での取り扱い方〜
クレームに関する今回の投稿(3週シリーズ)は、今週が最後となります。
クレームは、沈静化した後の社内での取り扱いが重要です。
取り扱い次第によっては、組織づくりや個人と組織の成長の機会にすることもできます。
以下、詳しく述べていきます。
私は、これまで多くの企業のクレーム対応の現状を見てきました。
企業における、クレーム沈静後の取り扱いについて、以下の2通りの傾向があると考えます。
対処療法型
根本解決型
対処療法型
対処療法、つまりは、発生したクレームに対処することです。
こちらの企業では、都度のクレームに対処しますが、そこで取り扱いを終了してしまいます。
当然、問題の解決に向けて、迅速かつ誠実に対応することは、大変重要なことです。しかし、ここで留めてしまっては、再発防止や組織の成長には繋がりません。
根本解決型
根本解決とは、クレームや関連する課題を根本から解決することを指します。
こちらの企業では、都度のクレームに対処した後、再発防止や未然防止のために、要因の特定や分析、そして仕組み(マニュアルやルール等)の見直し、組織構造の見直しなどを、再発や未防に防ぐ行動を徹底的に行います。
その過程や結果で、人材や組織の育成に繋がります。
以下、「根本解決」の方法について、3つのポイントを記します。
第1回と同様に、以下のモデルケースを使って、ご説明します。
1. 要因の特定や分析
担当スタッフ、店長(現場管理者)、当日出勤スタッフへ当時の状況について、聞き取りを行います。
その際、「犯人探し」や「あら探し」のような雰囲気とならないように注意が必要です。
あくまで、目的は「根本解決」であり、店舗をもっとよくする為、再発防止に繋がる施策を実施する為、お客様により一層ご満足頂く為といった「理由」や「意味」を明示することが重要です。
その他に、上記のケースであれば、なぜ料理提供に時間がかかり過ぎたのかや、なぜ間違えた料理が提供されたのかについて、根本となる要因の特定や分析を行うことが重要です。
2.仕組みの見直し
マニュアルやルール、人員配置、オペレーション等、仕組み自体に要因があると判断した場合は、要因箇所を見直す必要があります。
その際、現場の長である店長と、店長の上司であるマネージャーとで話し合った上で見直しの方針を決めるなど、現場のリーダーですり合わせした後に、本部や経営陣へお伺いを立てる形をお勧めします。
例えば、以下の図のようにD店で発生したクレームについては、D店の店長とエリアマネージャーとで仕組みの見直しや解決策や改善策を考案し、本部へ提案するイメージです。
このようにクレーム発生後、現場で既存の仕組みを見直すことは、内省が進み、個人や組織の成長機会に繋がります。
逆に、本部主導で仕組みを見直し、現場に落とすという方式を採ると、現場の内省機会の損失に繋がってしまう場合もあります。
※但し、現場に仕組みを見直すための土壌が不足している場合や、仕組みを見直すスピードを重視する際などは、本部主導で行う場合もあります。
3.社内での共有
一度発生したクレームは、他店舗でも発生に繋がる可能性を孕んでいます。
他店舗間でも、クレームの内容、解決経路や顛末、再発防止策のための取り組みについて、共有することをお勧めします。組織としての学習も進みます。
但し、クレーム発生の当事者を匿名にするなど、心理的安全性への配慮は、組織感情の醸成において、重要なポイントとなります。
このように、クレーム解決後の社内での取り扱いによって、学びや成長の機会へと繋がるのです。
株式会社JEAN
河上 朗
マッケニーさんのCMC Language ServiceのHPはこちら: