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【雑記】さようなら青い鳥 2016年以降のTwitter史とSNSの構造的な問題点について
2016年以降のTwitter史
本記事では、2016年からTwitter(現X、以降Twitter)を使用してきて思ったことについて、印象的な出来事や、SNSの問題点なども絡めながら紹介します。
ものごとが急速に消費され、昨日の投稿さえ思い出せない現代において、あえてこうした記録を残しておくのは価値のあることだと考えて記事を書きました。
読みながら「そんなこともあったな」と思い出していただけていたら幸いです。
なお、参考文献は記事中に添付しました。
※思い出したことがあれば追記します
※内容は全て2024年6月時点のものです
※本記事のAmazonへのリンクはアフィリエイトです
2016年
・Twitter利用開始
・サードパーティのTwitterクライアント「Matecha」利用開始
当時、おすすめサードパーティクライアントを紹介する記事で、アプリが使いやすいことに加えて「作者がいい人」と紹介されていました。
わたしも実際にフォローしてそう思いましたし、何より開発に対してとても真摯な方だと思いました。
このMatecha(と姉妹アプリのSobacha)はその後も使い続けることとなります。
2018年
User Stream廃止(8月24日)
User Streamとは、自動でタイムラインが流れる機能のこと。ツイ廃(ツイッター廃人)御用達の機能でした。
廃止により、Twitterが盛り上がったときのタイムラインが勢いよく流れる様はもう見れなくなってしまいました。
これに伴って、サードパーティTwitterクライアントのUser Streamも廃止されました
上記については以下の『mikutterの薄い本 vol.14 『レズと青い鳥』』で詳しく解説されています。技術書です。
また、IT mediaでも特集がありました。
これは個人的に大きな出来事で、Twitterから離れる理由の一つになりました。
移住先としてMastodon(マストドン)が人気に
MastodonはUser Streamが使えました。
移行するユーザーもおり、わたしもアカウントを作成しましたが、結局あまり使いませんでした。
そしてしばらくすると、移行したユーザーも結局はTwitterに戻ってきていました。
2022年
Twitter買収(4月〜10月間)
10月27日、紆余曲折の末にイーロン・マスク氏がTwitterの買収を完了しました。
同じ頃からTwitterの動作が不安定になりました。
このとき、わたしは6年間メインで使用してきたTwitterアカウントを削除しました。
2023年
Twitterから「X」へと名称変更(7月頃)
・アイコンも青い鳥から𝕏に変更
・「ツイート」から「ポスト」に変更 etc…
ちなみに、アイコンの青い鳥はメーテルリンクの著書にある「幸せの青い鳥」のこととされています。
そのことにちなみ、「ツイート」には「鳥のさえずり」という意味が込められていました。
しかし、今やそれも失われてしまいました。
Twitter API有料化(1月〜2月頃)
Twitter APIを取得して動くシステムやサービスの提供に多額の費用が発生するようになりました。
その結果として、小規模の事業者や個人開発者は事実上サービスが提供できない状況に陥りました。
個人開発のサードパーティTwitterクライアントも停止に追い込まれました。
ずっと使ってきたアプリの機能が徐々に制限されていく様を指を咥えて見ているのは、とても辛いものでした。
Matechaも2023年2月13日に開発停止しました。わたしの知る限りでは、最も長く使えたサードパーティTwitterクライアントでした。
※余談ですが、このときMatechaの製作者のわかめそばさんに感謝を込めてギフトカードをお送りしました。本当にお世話になりました。ありがとうございます
開発支援はこちら。
度重なる仕様変更とその影響
・有料プラン開始
・「TweetDeck」が「X Pro」へ名称変更(有料プランのみ利用可能に)
・投稿のインプレッション数が収益になるプラン開始により「インプレゾンビ」発生
※インプレゾンビとは、投稿の閲覧数を稼ぐために、伸びている投稿にリプライを過剰に行ったり嘘の情報の投稿を繰り返すアカウントのこと
・ホームタイムラインの横に「おすすめ」タブ開始
・タイムラインに「◯◯さんがいいねしました」、と投稿が表示されるように
・ホームのタイムラインでも投稿が時系列で表示されなかったり、間引かれたりするようになり、投稿を追いづらくなった
・種々の変更に伴う改修により、投稿や通知の閲覧に制限がかかる事象が発生
買収とこれらの仕様変更によって、それまでTwitterが有していたインフラ的な側面が失われたと考えています。
Meta「Threads(スレッズ)」 配信開始(7月頃)
2023年7月、IT大手のMetaからTwitterに似たSNSの「Threads(スレッズ)」が配信されました。
Twitter代替アプリの新しい選択肢として登録者数が急速に増加し、ニュースにもなりました。
しかしそこには、必ずしもTwitterのフォロワーさんがいるわけではありません。サービスの替えはきいても、人の替えはきかないからです。
果たせるかな、その後は利用者が激減しました。
Mastodonのときと同じように、他のサービスに移っても結局は戻ってきたという方が多かったのでしょう。
こうしたTwitterの代替アプリとしては、他に「Bluesky」などが生まれました。
買収後のTwitter
Twitterに起きた変化
買収後のTwitterでは、ユーザーの側でも変化がありました。
以下、2023年7月以降の所感です。
・過激な投稿が増え、ユーザー同士の対話がより困難となった
・広告が増え、投稿を追うのが難しくなった
・いざこざばかりが目につくようになった
・インプレゾンビの跋扈によってか、以前よりもリツイート数、いいねの数が飛躍的に増加した(10万〜15万いいねを日常的に見かけるようになった)
はっきりしているのは、その良し悪しではなく、今後はこれが普通になるということです。
「インプレゾンビやめました」
インプレッションを稼ぐために過激な投稿を繰り返していたインプレゾンビ。
しかし、「インターネットの良心」的なエピソードとして印象に残っている出来事があります。
インプレゾンビをしていた人が一つのツイートによって、「現地の風景や食事」を投稿するようになりました。
(聴こえますか、アラブやパキスタン、イラン等にいるインプレゾンビのみなさん、、、カタコトでもいいので日本語でしゃべりながら地元の料理や音楽をカメラで撮ったもの、自分の日本語学習進捗をXにアップロードしインプレを稼ぐのです、、、そちらのほうがハラールです)
— 𐬴𞤥𞤢𞤧𞤢𞤴𞤢-ߛߊߣ🐟 (@masayasan201911) May 13, 2024
目的は「インプレッションを稼ぐ」ことであっても、言わば健全な方法で耳目を集めることができました。
それはあくまで一時的なものかもしれませんが、「地理的な条件を無視して人と交流できる」というインターネットのメリットを強く感じた出来事でした。
SNSの構造的な問題
エコーチェンバーに注意
SNSは、様々な人の意見が見られるようでいて、実際は「自分が欲しい情報」ばかり入ってくるようになっています。
投稿に沢山の「いいね」が付くと、あたかもそれが正しいかのように思えるかもしれませんが、そうではありません。
世界のうち日本の、そのうちTwitterを利用するわずかな人たちのうち、ごくごく一部の人が、その投稿にいいねしているに過ぎないのです。
それも賛意とは限りません。
これはゲームデザイナーの桜井政博さんのエコーチェンバーの話がわかりやすいです。
こうしたSNSの現状は、人の「他人のお墨付きが欲しい」という欲望を、グロテスクなほどありのままに写し出しています。
アテンション・エコノミーの拡大
SNSは「アテンション・エコノミー」と深いつながりがあります
(横文字が好きなわけではないのですがこういう言葉が多いのです……)。
詳しくは以下のリンク先で解説されています。
つまり、
閲覧数が収益に繋がるようになる
↓
アテンション・エコノミーが形成・拡大
↓
一部のユーザーは閲覧数を得るために過激な/嘘の情報を発信してしまう
といった流れが作られてしまっています(大雑把な紹介です)。
先述の「インプレゾンビ」の発生には、こうした背景がありました。
投稿の質よりも「注目を集めるか否か」が重要視されるアテンション・エコノミーを反映した結果といえます。
2024年に行われた都知事選でもそれが顕著に表れました。
ひとりの発信する者として
このように、現代ではエコーチェンバー、ないしはアテンション・エコノミーの拡大が進みました。
これをわたしは、SNS、ひいてはインターネットの構造的な問題として認識しています。
そしてもちろん、こうして記事を書いていることからわたしも当事者と言えるでしょう。
ですが、情報のリファレンスを取ったり、過激な表現を使わないなどして気をつけています。
お気づきの点があればコメントで教えていただけますと幸いです。
これからも、ひとりの発信する者として、初心を忘れずに記事を書いていきます。
おわりに
本記事では、2016年からTwitterを使用してきて思ったことについて、印象的な出来事や、SNSの課題なども絡めながら紹介しました。
種々記載しましたが、かねてから収益構造を指摘されてきたTwitterにとって、買収とそれに伴う(ユーザーにとっての)環境悪化は時間の問題だったのでしょう。
――幸せの青い鳥を探しに行くが、見つからない。しかし帰ってくるとそこに青い鳥がいた――
まさにメーテルリンクの著書『青い鳥』のストーリーの中にいるのではと感じます。
もう、Twitterに青い鳥はいません。
ならば、帰って探すしかありません。
身近な幸せは気が付きにくいものですが、目を凝らせばそこにあるものです。
今回、Twitterの歴史を振り返って、SNSは貴重な時間を充てるに値するか否か。ユーザーによる深い検討が必要だと考えました。