「どちらが本当なの」

K F Cの中では、クリスマスソングが流れていた。

周りにいる家族やカップルたちは、一緒に過ごすのだろう。

骨なしチキンとポテトを頬張り、ペプシコーラで流し込む。

窓から見える景色、真っ先に見えるのは医療モールの看板。

バイトの女子たちは、元気良く挨拶を繰り返している。

賑やかな環境と、現実の風景を交互に見ると、

どちらが本当の世界なのだろうと考えてみたくなる。

家に帰り、少し体を温めるために蓋付の器に煎茶を入れる。

蓋を取ると、裏側に付いていた水滴がポタポタと机の上に、

こぼれ落ちる。

今日は、ハンバーグを作ろうとミンチ肉を買ってきた。

前回、黒焦げになったので、今回は気を付けようと思う。

残っているパン粉と、レシピを交互に見ながら、

失敗しないように、同じ過ちを繰り返さないように、

脳内シミュレーションを行う。

交互に見ると気移りしちゃうのか、一点突破が良いのか、

また、色々と考えて見たくなった。

あれやこれやと、見て試して、繰り返している。

何が成功するのやら、誰が認めてくれるのやら、

この先も、1ミリも油断を許さないことは間違いない。

ある意味、クリスマスソングに気を許した自分自身に対して、

少しだけ、自ら、緊張感を与えてみた。