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『万事塞翁が馬のように』

様々なものを身に纏ってきた

キラキラした薄いペラペラのもの

色と香りが濃厚で分厚くて重いもの

人様の注目を集めるため

気高い風格を示すため

大切な人と逢うため

厳かに弔いをするため

送り出したり出されたりするため

都度纏い直すもの

染みが付き傷だらけになったもの

幾度となく洗い擦り切れたもの

新しいものや古いもの

なかなか捨てられないもの


あの日あの時の出来事と共に

一切合切

その全てのものが思い出になる


今まで纏ったものを脱ぎ捨てて

随分と身軽になったものだと

あの大きな秋空に向かって嘯いてみた


跡形もなく何も

残らない方がいいかのように

次から次へととめどなく


限りなくゼロに近づいていく



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